『のぶ。——刀箪笥を見てくれい』 袴の紐を締め終って、懐紙、印籠などを身に着けながら、柘植嘉兵衛は、次の間へ立つ妻の背へ云った。 『——下の抽斗じゃ。この正月、山浦真雄が鍛ち上げて来た一腰があるじゃろう。二尺六寸ほどな物で、新しい木綿に巻き …
著者 | 吉川英治 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「講談倶楽部 臨時増刊」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年9月 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約1時間33分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約2時間34分(300文字/分) |