“可憐”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かれん64.8%
いじら7.9%
いとし3.6%
かわい2.6%
いと2.3%
いじ2.3%
いぢら2.0%
いじらし1.5%
しおら1.5%
あはれ1.3%
いたいけ1.0%
あわれ1.0%
いとほし0.8%
かわゆ0.8%
いぢらし0.5%
かあい0.5%
あはれむべし0.5%
いぢ0.5%
いとお0.5%
しお0.5%
しをら0.3%
しをらし0.3%
あどけな0.3%
あわれむべし0.3%
いたい0.3%
いたはし0.3%
いとおし0.3%
いとしぼ0.3%
かな0.3%
かはいら0.3%
かはゆら0.3%
かわいさう0.3%
しおらし0.3%
しほ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
髪の手ざわりの冷たいことなどもえんな気がして、恥ずかしそうにしている様子が可憐かれんであった源氏は立ち去る気になれないのである。
源氏物語:27 篝火 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「根に力を蓄え、望みは、永遠の結実に持て。——そういのるわしの施政が踏みしめて来た領土。ここの領民は可憐いじらしいものたちよ」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれど、妾もあの通り、可憐いとしい妹を振り捨て、受けられる栄華をも捨て切って、身も命も貴方に投げ出しているのではございませぬか。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの洋服屋も可憐かわいそうな男だ、四十幾つになって、店はつぶれる、妻には先だたれる、身を寄せるところさえもなくなり
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
我を可憐いとしと思へる人の何故なにゆゑにさはざるにやあらん。かくまでに情篤なさけあつからぬ恋の世に在るべきか。疑ふべし、疑ふべし、と貫一の胸は又乱れぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「あのがいとしい、可憐いじらしい。これへ招いて、幸右衛門から杯などやって欲しい。十内どの、どうであろう。千秋様、おぼめしは、どうお座りましょうの」
あはれむだらうか? いとふだらうか? それともまた淺猿あさましがるだらうか? さうしてあの可憐いぢらしくも感謝かんしや滿ちた忠實ちうじつ愛情あいぢやう
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
どうしたけな?』と囁いてみたが返事がなくて一層歔欷すゝりなく。と、平常ふだんから此女のおとなしく優しかつたのが、俄かに可憐いじらしくなつて來て、丑之助は又
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
が、また娘分に仕立てられても、奉公人の謙譲があって、出過ぎた酒場バアの給仕とは心得が違うし、おなじ勤めでも、芸者より一歩退さがって可憐しおらしい。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
可笑をかしき可憐あはれなる事可怖おそろしき事種々しゆ/″\さま/″\ふでつくしがたし。やう/\東雲しのゝめころいたりて、水もおちたりとて諸人しよにん安堵あんどのおもひをなしぬ。
兄は、妹のそのようすに気がつくと、「このような、可憐いたいけな少女の心にも何かなやみと云ったようなものがあり得るものだろうか。」
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
わたろうとしても渉り得ない二人の児童こどもが羨ましがってび叫ぶを可憐あわれに思い、そなたたちには来ることのできぬ清浄の地であるが、さほどに来たくば渡らしてやるほどに待っていよ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まづ歌ひつゝ空に漂ふ可憐いとほし雲雀ひばりが、やがて自ら最後をはりふしのうるはしさにで、心足りてもだすごとく 七三—七五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
私はもう今宵かぎり何うしても歸る事は致しませぬとて、斷つても斷てぬ子の可憐かわゆさに、奇麗に言へども詞はふるへぬ。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『怎したけな?』と囁いてみたが返事がなくて一層歔欷すすりなく。と、平常ひごろから此女のおとなしく優しかつたのが、俄かに可憐いぢらしくなつて来て、丑之助はまた
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おぢさん「は〻あ、可憐かあいいものだなあ。動物園どうぶつゑんなかでもよるなんかくま一番いちばんよくねむるつてね、嚊声いびきごゑ不忍池しのばずのいけまできこへるつてさ」
二人のあねは色白くして玉をならべたる美人びじん也、菓子をくひながらかほ見あはして打ゑみたるおもざし、愛形あいきやうはこぼるゝやう也。かゝる一双いつさうの玉を秋山の田夫でんぶつまにせんは可憐あはれむべしことたきゞとしてすつほんるがごとし。
たゞ五人の中央にけられたる初花太夫が、振り乱したる髪の下にてすゝり上げ/\打泣く姿、此上もなく可憐いぢらしきを見るのみ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その時、祠の陰から、お篠の代首を、今は口には銜えず、可憐いとおしそうに両袖に抱いた、仮面のような獅子顔の男が妖怪もののけのように現われ、お篠の横へ立った。
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
きょうは珍しく、書物に親しんでおられる——きょうはまた可憐しおらしく、亡き御先代のために、お仏間にお坐りになった——。などと油断していると、雷の子のように
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
満枝は惜まず身をくだして、彼の前にかしらぐる可憐しをらしさよ。貫一は如何いかにともる能はずして、ひそかかうべいたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
可憐しをらしき束髪の頸元深えりもとふかく、黄蘖染おうばくぞめ半衿はんえり紋御召もんおめし二枚袷にまいあはせを重ねたる衣紋えもんあやづ謂はんやう無く、肩状かたつきやさし内俯うつふしたるそびら金茶地きんちやぢ東綴あづまつづれの帯高く、勝色裏かついろうら敷乱しきみだれつつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お房の笑顔えがおには、親より外に見せないような可憐あどけなさがあった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
可憐あわれむべしお手飼の狆は、一棒をくらってころりと往生し、四足しそくを縮めて横たわりぬ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さぐることも發見みいだすことも出來でき有樣ありさま——それがためにならぬのはれてあれど——可憐いたいけなつぼみそのうるはしい花瓣はなびらが、かぜにもひらかず、日光にもまだ照映てりはえぬうちに
將監御拾おひろひ申上將監の子とならせ玉ひしは御可憐いたはしき御事なり御殿ごてんにて御成長あそばし候へば我々とても肩身かたみひろく御奉公ごほうこうつとむべきに殘念ざんねんの事なりと四人ともども申上しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これにも答えず、もとより警官には返すべきことばもなく、学士は見る目も可憐いとおしさに死んだもののようになっている蝶吉を横ざまに膝に抱上げた。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
乳母 ぢゃうさま! これさ、ぢゃうさま! ヂュリエットさま! ぐっすりと睡入ねいってぢゃな、ぢゃう? はて、仔羊こひつじさんえ! はて、ひいさまえ! ま、こゝなお寢坊ねばうさんえ! はて、可憐いとしぼさん! これの
ひっそりと、はかなく花を開いている小さな植物の可憐かなしさだった。愛情よりも愛憐を、男の心のうちに掻き立たせる、いたいたしさだった。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
すれば、かうなってしまうたうへは、あの若殿わかとの嫁入よめいらッしゃるがいっ分別ふんべつぢゃ。おゝ、ほんに可憐かはいらしいおかた彼方あなたくらべてはロミオどのは雜巾ざふきんぢゃ。
ローザラインのほしのやうな眼附まみつき、あの高々たか/″\としたひたひ、あの眞紅まっくれなゐくちびる、あの可憐かはゆらしいあし、あの眞直まっすぐすね、あのぶる/\とふるへる太股ふともゝ乃至ないしその近邊ちかまにある處々ところ/″\けていのりまするぞ。
此邸こゝ奧樣おくさまうもひとつた、繼母まゝはゝつたので平常つね我慢がまん大底たいていではなく、つもつて病死びやうしした可憐かわいさういづをとここと御座ござりますから、眞面目まじめかほであり/\をひましたを
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と案内する……処に……丸木橋が、おのの柄の朽ちたていに、ほろりと中絶えがして折込おれこんだ上を、水が糸のように浅く走って、おのれ、化ける水の癖に、ちょろちょろと可憐しおらしやか。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからはパツタリ来なくなつて了つたが、何か詫状のやうな手紙をよこしたさうな。若様だけに可憐しほらしい愛度気あどけない処があるよ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)