“いとし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
可憐32.6%
最惜27.9%
可愛16.3%
最愛7.0%
愛惜4.7%
2.3%
不憫2.3%
可惜2.3%
2.3%
2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
可憐いとしひとよと手を取らむとすれば、若衆姿の奈美女、恥ぢらひつゝ払ひけ。心き給ふ事なかれ。まづ此方こちらへ入らせ給へ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
汝のために相談をかけてやりしも勝手の意地張り、大体たいていならぬものとても堪忍がまんなるべきところならぬを、よく/\汝を最惜いとしがればぞ踏み耐へたるとも知らざる歟
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
が、あれは雪に霊があって、小児を可愛いとしがって、連れて帰ったのであろうも知れない。
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
渠女かれは始終、涙と太息ためいきとで聞いてしまつて、さて心の糸のもつれもつれて、なつかしさと切なさとに胸裡は張り裂けんばかり、銀が今の身の上最愛いとしと思ひつめては、ほとんど前後不覚。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
女は、高氏の曲もない飲みぶりに、その杯を愛惜いとしんで
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくいとしまれつつも宮が初一念は動かんともせで、難有ありがたき人のなさけそむきて、ここにとつぎし罪をさへ歎きて止まざりしに、思はぬ子まで成せしあやまち如何いかにすべきと、みづからそのゆるし難きをぢて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今はうつくしくるまの主ならず、路傍の酔客ならず名宣合なのりあへるかれとこれとの思は如何いかに。間貫一が鴫沢の家に在りし日は、彼の兄の如く友として善かりし人、彼の身の如く契りていとしかりし人にあらずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
なににつけてもしのばるゝはまたひとことなりしがおもひきやじようさま明日今日きのふけふのお物思ものおもいのちにかけておしたひなさるゝぬしはとへば杉原すぎはららうどのとや三輪みわ山本やまもとしるしはけれどたづぬるひとぞとかなしさ御存ごぞんければこそ召使めしつかひのれふしをがみてのおたのぢやうさま不憫いとしやとおもはぬならねどひとなんとして取持とりもたるべき受合うけあひては
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
真珠色をしたゆうべの闇が純白の石楠花しゃくなげの大輪の花や、焔のような柘榴ざくろの花を、可惜いとしそうに引き包み、せ返えるような百合の匂が、窓から家内へ流れ込む。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
母子の為には幾許いかばかりさいはひなりけん。彼は貫一に就いて半点の疑ひをもれず、唯くまでもいとしき宮に心をのこして行けり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
甲寅の歳、航海一条の口書に比する時は、雲泥うんでいの違というべし〔死に際して、なお口実の可否を論ず、これ死をいとしまずして、名を愛む所〕。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)