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最惜
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いとし
ふりがな文庫
“
最惜
(
いとし
)” の例文
中にも慎ましげに、可憐に、床しく、
最惜
(
いとし
)
らしく見えたのは、汽車の動くままに、玉の緒の揺るるよ、と思う、
微
(
かすか
)
な
元結
(
もとゆい
)
のゆらめきである。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汝のために相談をかけてやりしも勝手の意地張り、
大体
(
たいてい
)
ならぬものとても
堪忍
(
がまん
)
なるべきところならぬを、よく/\汝を
最惜
(
いとし
)
がればぞ踏み耐へたるとも知らざる歟
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
従ってちっとも出ない。その為に、阿婆の寝酒はなおあくどい。あわれがって、
最惜
(
いとし
)
がって、住替を勧めても
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
可哀相に……お稲ちゃんのお
葬式
(
ともらい
)
が出る所だって、
他家
(
よそ
)
の
娘
(
こ
)
でも
最惜
(
いとし
)
くってしようがないって云うんでしょう。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……蚊帳のこの古いのも、穴だらけなのも、
一層
(
いっそう
)
お由紀さんの万事
最惜
(
いとし
)
さを思わせるのですけれども、それにしても凄まじい、——
先刻
(
さっき
)
も申した
酷
(
ひど
)
い
継
(
つぎ
)
です。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
最惜
(
いとし
)
げな。
早
(
はや
)
くから
御兩親
(
ごりやうしん
)
にお
別
(
わか
)
れなすつた
貴下
(
あなた
)
でござります。
格別
(
かくべつ
)
のお
心持
(
こゝろもち
)
、お
墓
(
はか
)
の
松
(
まつ
)
の
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
が、
峰
(
みね
)
からして
此處
(
こゝ
)
までなあ……なまいだぶ、なまいだぶ、なまいだぶ、……
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
実の
産
(
うみ
)
の母御でさえ、一旦この世を去られし上は——幻にも姿を見せ、
乳
(
ち
)
を呑ませたく添寝もしたい——我が
児
(
こ
)
最惜
(
いとし
)
む心さえ、天上では恋となる、その
忌憚
(
はばかり
)
で、御遠慮遊ばす。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
最惜
(
いとし
)
い……と、てんでに申すんですが、御神体は格段……お仏像は靴を召さないのが多いようで、誰もそれを
怪
(
あやし
)
まないのに、今度の像に限って、おまけに、素足とも言わない
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あとじゃ月も日も、貴女のお目には暗くなろう。お
最惜
(
いとし
)
い、と貞造が
頭
(
かぶり
)
を
掉
(
ふ
)
ります。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姥 ああ、お
最惜
(
いとし
)
い。が、なりますまい。……もう
多年
(
しばらく
)
御辛抱なさりますと、三十年、五十年とは申しますまい。今の世は仏の末法、
聖
(
ひじり
)
の
澆季
(
ぎょうき
)
、
盟誓
(
ちかい
)
も約束も最早や忘れておりまする。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
こ
)
の
一歩
(
いちぶ
)
に、
身
(
み
)
のかはを
剥
(
む
)
かれたために、
最惜
(
いとし
)
や、お
秋
(
あき
)
は
繼母
(
まゝはゝ
)
には
手酷
(
てひど
)
き
折檻
(
せつかん
)
を
受
(
う
)
ける、
垣根
(
かきね
)
の
外
(
そと
)
の
樹
(
き
)
の
下
(
した
)
で、
晝中
(
ひるなか
)
に
帶
(
おび
)
を
解
(
と
)
いたわ、と
村中
(
むらぢう
)
の
是沙汰
(
これざた
)
は、
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
の
堪忍
(
たへしの
)
ばれる
恥
(
はぢ
)
ではない。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雪の雫が
生命
(
いのち
)
の露だって、お
母
(
っか
)
さんが、頂戴々々というもんだから、若い可愛い嫁の、しかも東京で育ったのが、暗い国へ来て、さぞ、どんなにか
情
(
なさけ
)
なかろうと
最惜
(
いとし
)
がって、
祖母
(
おばあ
)
さんがね
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
最
常用漢字
小4
部首:⽈
12画
惜
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
“最”で始まる語句
最早
最
最初
最中
最後
最期
最前
最寄
最上
最近