“一層”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いっそう33.9%
いっそ22.6%
いつそう15.3%
いつそ11.3%
ひとしお6.5%
ひとしほ4.8%
もつと3.2%
ひときは1.6%
ひときわ0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そは戦敗の黒幕におおわれ、手向たむけの花束にかざられたストラスブルグの石像あるがために、一層いっそう偉大に、一層幽婉ゆうえんになったではないか。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「カラやカフスと同じ事さ。汚れたのを用いるくらいなら、一層いっそはじめから色の着いたものを使うがい。白ければ純白でなくっちゃ」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一層いつそうあぢかろとり丸燒まるやきなどはなか/\の御馳走ごちさうで、いまわたくしには、世界せかい第一だいいちのホテルで、世界せかい第一だいいち珍味ちんみきようせられたよりも百倍ひやくばいうれしくかんじた。
一層いつそ此方こつちから進んで、直接に三千代みちよを喜ばしてやる方が遥かに愉快だといふ取捨の念丈は殆んど理窟を離れて、あたまなかひそんでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
表通を歩いて絶えず感ずるこの不快と嫌悪の情とは一層ひとしお私をしてその陰にかくれた路地の光景に興味を持たせる最大の理由になるのである。
『はあ。』と答へた時は若々しい血潮がにはかにお志保の頬に上つた。そのすこし羞恥はぢを含んだ色は一層ひとしほ容貌おもばせを娘らしくして見せた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あゝ、死は無言である。しかし丑松の今の身に取つては、千百の言葉を聞くよりも、一層もつと深く自分の一生のことを考へさせるのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
薄紅うすべにをさして居るのが一層ひときはいやらしく見える、が、一更いつこうすましたもので、其だるい京訛きやうなまりを大声で饒舌しやべつて居る、勿論えず煙草たばこはすつて居るので。
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
私のちいさい頃、この室へ来ぬ前に、弟と一緒に弾いた七弦琴の音がする。(一層ひときわ高く七弦琴鳴る。その音絶えると同時に、堅き鉄の扉はおのずと開けて一人の愛らしき少年現われる。手に七弦琴を持つ)
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)