一層いつそう)” の例文
一層いつそうあぢかろとり丸燒まるやきなどはなか/\の御馳走ごちさうで、いまわたくしには、世界せかい第一だいいちのホテルで、世界せかい第一だいいち珍味ちんみきようせられたよりも百倍ひやくばいうれしくかんじた。
ゆゑこの攝養法せつやうはふひろおこなはれ、戰後せんごてふ大任たいにんへるわが國民こくみん體力たいりよく一層いつそう強固きやうこならしめ、各自かくじ職責しよくせき遺憾ゐかんなく遂行すゐかうせられんことをふか希望きばうするところなり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
しかも、若旦那わかだんな短銃ピストルつて引返ひつかへしたのをると、莞爾くわんじとして微笑ほゝゑんで、一層いつそうまた、婦人ふじんかた片手かたていだいた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これでみなさんもやまかんするいろ/\なことをおぼえられたので、をりがあつたらたかやまにものぼつて實際じつさいについてられると、一層いつそう興味きようみがあるでせう。——(終)——
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
自分じぶんのすぐまへひとつたときは、いよ/\わがばんまはつてたと意識いしきせいせられて、一層いつそう落付おちつきうしなつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此處こヽ一つに美人びじん價値ねうちさだまるといふ天然てんねん衣襟えもんつき、襦袢じゆばんえりむらさきなるとき顏色いろことさらしろくみえ、わざ質素じみなるくろちりめんに赤糸あかいとのこぼれうめなどひん一層いつそう二層にそうもよし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分は一層いつそうの事行くまいと決心して、氣をまぎらす爲にピアノの前に坐つて、よく諳記してゐるオペラ Rigorettoリゴレツト の處々を何といふ事もなく彈きつゞけた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
ラケツトを握る指を切断したのち一層いつそう腕を上げたテイルデンはまことに偉大なる選手である。
澄江堂雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それで大地震だいぢしん出會であつて容易よういいくらかの傾斜けいしやをなしても、それがためにくさびはじめてしてることになり、其位置そのいちおい構造物こうぞうぶつ一層いつそうかたむかんとするのに頑強がんきよう抵抗ていこうするにあるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
もつと段々だん/″\話合はなしあつて見ると、五六さい時分じぶんにはおな長屋ながや一軒いつけんいた隣同士となりどうしで、なんでも一緒いつしよに遊んだ事も有つたらしいので、那様そんな事から一層いつそう親密しんみつつて、帰路かへりみちも同じでありましたから連立つれだつても帰る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いま無上むじやう愉快ゆくわいときだぞ、いま一層いつそうのぞみには、あらたきたへたこの速射砲そくしやほうで、彼奴等きやつらつくき海賊かいぞくども鏖殺みなごろしにしてれんに。
問返とひかへすうちにも、一層いつそうめう夢路ゆめぢ辿たど心持こゝろもちのしたのは、差配さはいふのは、こゝに三げんかなへつて、れいやなぎさかひに、おなじくたゞかき一重ひとへへだつるのみ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
姉樣ねえさま御覽ごらんれよかし、おまへめられなばれとてもうれしきものをと可愛かあゆふに、おもひある一層いつそうたのもしく樣々さま/″\機嫌きげんりて、姉樣ねえさまさだめし和歌うたはお上手じやうずならん
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
文藝ぶんげいにも哲學てつがくにもゑんのない彼等かれらは、このあぢつくしながら、自分じぶん自分じぶん状態じやうたい得意とくいがつて自覺じかくするほど知識ちしきたなかつたから、おな境遇きやうぐうにある詩人しじん文人ぶんじんなどよりも、一層いつそう純粹じゆんすゐであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
けふはそんなものを見かけぬだけ、一層いつそう平和に見えた位である。
ふ。こゑさへ、いろ暖爐だんろ瓦斯がす颯々さつ/\霜夜しもよえて、一層いつそう殷紅いんこうに、鮮麗せんれいなるものであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくし少年せうねんも、今猶いまなほ十數日すうにち以來いらい疲勞つかれかんじてるので、其樣そんな高歩たかあるきする氣遣きづかひはないが、ましてこの注意ちうゐがあつたので、一層いつそうこゝろくばり、食後しよくごは、日記につきいたり、少年せうねん二人ふたり
思ひ切つて、今かへさうとするのも是が為である。かへすと用がなくなつて、とほざかるか、用がなくなつても、一層いつそう近付ちかづいてるか、——普通のひとから見ると、三四郎はすこし迷信家の調子を帯びてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
羽織はおりをたゝんでふところへんで、からずねの尻端折しりはしよりが、一層いつそう薩張さつぱりでよからうとおもつたが、女房にようぼう産氣さんけづいて産婆さんばのとこへかけすのではない。今日けふ日日新聞社にち/\しんぶんしや社用しやようた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れると、意氣地いくぢはない。そのとりより一層いつそうものすごい、暗闇やみつばさおほはれて、いまともしびかげいきひそめる。つばさの、時々とき/″\どツとうごくとともに、大地だいち幾度いくどもぴり/\とれるのであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もし/\と、二聲ふたこゑ三聲みこゑんでたが、ざとい老人らうじん寐入ねいりばな、けて、つみ屈託くつたくも、やままちなんにもないから、ゆきしづまりかへつて一層いつそう寐心ねごころささうに、いびききこえずひツそりしてる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
細々こま/″\とからくりがなく洒張さつぱりして一層いつそうい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また一層いつそうこゑをあげてした。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)