“尻端折”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しりはしょり25.7%
しりはしょ24.3%
しりはしおり8.1%
しりっぱしょ6.8%
しりばしょ5.4%
しりっぱしょり5.4%
しりはしよ4.1%
しりはしをり4.1%
しりばしょり4.1%
しりはしお2.7%
しりはしより2.7%
しりぱしょり2.7%
しりはしを1.4%
しりぱしょ1.4%
しりぱしより1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女の方は二十前後の若い妻らしい人だが、垢染あかじみた手拭てぬぐいかぶり、襦袢肌抜じゅばんはだぬ尻端折しりはしょりという風で、前垂を下げて、藁草履わらぞうり穿いていた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その後に柳橋の幇間ほうかん、夢のや魯八が派手な着物に尻端折しりはしょりで立って居る。魯八は作り欠伸あくびの声をしきりにしたあとで国太郎の肩をつつく。
とと屋禅譚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
鳥打帽とりうちぼう双子縞ふたこじま尻端折しりはしおり、下には長い毛糸の靴足袋くつたびに編上げ靴を穿いた自転車屋の手代てだいとでもいいそうな男が、一円紙幣さつ二枚を車掌に渡した。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
沖の百万坪へスケッチにいった帰りで、洗いざらしの単衣ひとえは汗のため肌へねばりつき、尻端折しりっぱしょりをしなければやすらかには歩けなかった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
磯五は、尻端折しりばしょりをして、ふところから手ぬぐいを出しながら、小川のほうへ草を分けようとした。その手ぬぐいに水を含ませて来ようというのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それからまもなく、正四郎は蓑を着、筍笠たけのこがさをかぶり、尻端折しりっぱしょりのからずね草鞋わらじばきで、家から一丁ほどはなれた、道のつじに立っていた。三月下旬だから寒くはない。
その木戸を通って (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
(助八と與助は爭つてゐるところへ、上のかたより助八の兄助十、三十歳前後、これも鉢卷、刺青のある肌ぬぎ、尻端折しりはしよりの跣足にて出づ。)
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
つゞいて尻端折しりはしをり股引もゝひきにゴム靴をはいた請負師うけおひしらしい男のとほつたあとしばらくしてから、蝙蝠傘かうもりがさ小包こづゝみげた貧しな女房が日和下駄ひよりげたで色気もなく砂を蹴立けたてゝ大股おほまたに歩いて行つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「ここもとは茅屋あばらやでも、田舎道ではありませんじゃ。尻端折しりばしょり……飛んでもない。……ああ、あんた、ちょっとつくろっておあげ申せ。」
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その木版の絵がやはり蝙蝠傘こうもりがさをさして尻端折しりはしおった薬売りの「ホンケ」の姿を写したものであった。
物売りの声 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
羽織はおりをたゝんでふところへんで、からずねの尻端折しりはしよりが、一層いつそう薩張さつぱりでよからうとおもつたが、女房にようぼう産氣さんけづいて産婆さんばのとこへかけすのではない。今日けふ日日新聞社にち/\しんぶんしや社用しやようた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのかたわら尻端折しりぱしょりの男一人片手を上げて網船賑ふ河面かわづらかたを指さしたるは、静に曇りし初夏の空に時鳥ほととぎすの一声鳴過なきすぎたるにはあらざるか。時節はいよいよ夏のさかりとなれり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
心小さき人々の如く尻端折しりはしをりて下駄を脱ぎ、鳥羽絵とばゑにある様の可笑しき姿して駈け出すなどの事、生れてより未だ一度もあらねば、この一ヶの帽子我が脳天を保護すれば足るだけの帽子ながら
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
むしろの戸口へ、白髪しらがを振り乱して、蕎麦切色そばきりいろふんどし……いやなやつで、とき色の禿げたのを不断まきます、尻端折しりぱしょりで、六十九歳の代官婆が、跣足はだしで雪の中に突っ立ちました。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とんさんは、手拭てぬぐひ喧嘩被けんくわかぶり、白地しろぢ浴衣ゆかた尻端折しりぱしよりで、いま逃出にげだしたとかたちだが、いて……はなかつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)