尻端折しりばしょ)” の例文
磯五は、尻端折しりばしょりをして、ふところから手ぬぐいを出しながら、小川のほうへ草を分けようとした。その手ぬぐいに水を含ませて来ようというのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
途中で足駄の横緒よこおを踏み切って、雨の中をはだしで、尻端折しりばしょりして黙々と歩いて、あの時のみじめな気持。
男女同権 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ふかいつづら笠に面体は隠れて、編目の隙に、きらりと眼が光るだけだが、道中合羽どうちゅうがっぱ紺脚絆こんきゃはん、あらい滝縞の裾を尻端折しりばしょって、短い刀を一本ぶっ差した二十七八しっぱちのまたたび姿。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
出家も尻端折しりばしょりで肥柄杓こえびしゃくを振りまわさなければならぬ事もあり、その収穫は冬に備えて、縁の下に大きい穴を掘って埋めて置かなければならず、目前に一目千本の樹海を見ながら
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
滑川なめりがわを渡りし時、だろう。わかった、わかった。わしは土方人足どかたにんそくというところか。さがしますよ、拾いますよ。」と吉郎兵衛は尻端折しりばしょりして薄暗闇の地べたをい一歩金やらこまがねやらを
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)