“無上”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むじょう37.1%
むしょう31.4%
むしやう8.6%
むじやう5.7%
ムシヤウ5.7%
こよなき2.9%
むしゃう2.9%
むじよう2.9%
ムシヨウ2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ひろ野原のはらうえには、雲切くもぎれがして、あおかがみのようなそらえていました。えだは、それをると、無上むじょうになつかしかったのです。
風と木 からすときつね (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして警句が出れば出る程、忘れる筈の一件が矢鱈やたら無上むしょうに込み上げて、いくら振り落そうと藻掻もがいても始末に悪い事になるのだ。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
闇が彼の身のまはりにひしめいて居た。それは赤や緑や、紫やそれらの隙間のない集合で積重ねてあつた、無上むしやうに重苦しい闇であつた。
いま無上むじやう愉快ゆくわいときだぞ、いま一層いつそうのぞみには、あらたきたへたこの速射砲そくしやほうで、彼奴等きやつらつくき海賊かいぞくども鏖殺みなごろしにしてれんに。
ユカは低いけれども、かいてあるにはあつた。其替り、天井は無上ムシヤウに高くて、シカカヤのそゝけた屋根は、破風ハフの脇から、むき出しに、空の星が見えた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
うるほせしが此方に向ひてコリヤ娘必ず泣な我も泣じ和女そなたそだて此年月よき婿むこ取んと思ふ所へ幸ひなるかなと今度の婚姻無上こよなき親娘おやこが悦びを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あるひは娘共むすめども仰向あふむけてゐる時分じぶんに、うへから無上むしゃう壓迫おさへつけて、つい忍耐がまんするくせけ、なんなく強者つはものにしてのくるも彼奴きゃつわざ乃至ないしは……
私はそれを気の毒がつて無上むじようにせがんだけれどあんまり穢いのでさすがの伯母さんも二の足をふんで買つてくれなかつた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
ゆくりない日が、半年の後に再來て、姫の心を無上ムシヨウの歡喜に引き立てた。其は、同じ年の秋、彼岸中日チユウニチの夕方であつた。姫は、いつかの春の日のやうに、坐してゐた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)