“潤”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
うる45.9%
うるお31.4%
うるほ8.7%
しめ5.7%
うるおい3.1%
じゅん0.9%
にじ0.9%
0.4%
うるう0.4%
うるほひ0.4%
(他:5)2.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
なるほど昔リヨンで踊り子をしていた時分に、伯爵に見められたというだけあって、水々しいひとみ、魅力的なうるみを帯びた睫毛まつげ
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ウーム、不思議なものが手に入った!」読み行くうちに二人の表情、驚異となり、歓喜となり、怪訝けげんとなり、また感激にうるむ眼となった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柿内未亡人は束髪そくはつ、光子は島田しまだに結っているが、大阪風の町娘の姿のうちにも、その眼が非常に情熱的で、うるおいに富んでいる。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
昔のはかりごとを繰り返す勇気のなかった余は、口中こうちゅううるおすための氷を歯でくだいては、正直に残らず吐き出した。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
習慣的に抑制されて穏かになっている顔は、うるおいのあるきらきらした一双の眼のために、例の一風変った仮髪かつらの下で始終明るくされていた。
くれないは眼のふちを薄く染めて、うるおった眼睫まつげの奥から、人の世を夢の底に吸い込むような光りを中野君の方に注いでいる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
皮をかれた梨は、前のやうに花の形に切られたまゝ置かれてあつた。お光の眼にはなつかしさうなうるほひがまただん/\加はつて來た。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
今まで眼を閉ぢて默然もくねんたりし瀧口は、やうやくかうべもたげて父が顏を見上げしが、兩眼はうるほひて無限の情をたゝ
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
幸ひに秋から冬にかけて惡い病も流行はやらず、近在きんざいみな豐作ほうさくで町もうるほふたから、神樣の方はそれなりに濟んで
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
咽喉のどしめしておいてから……」と、山西は一口飲んで、隣の食卓テーブル正宗まさむねびんを二三本並べているひげの黒い男を気にしながら
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
やはり秀八のずば抜けた緻容きりょうと、きゃんな辰巳肌のうちに、どことなく打ちしめっているやつれの美しさが、通船楼で見た時から受けたつよい魅力であった。
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うちしめ石油色せきゆいろ陰影いんえいうちうすひかぎん引手ひきてのそばに
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
苦痛と恐怖でぐいと握り締められた私の心に、一滴いってきうるおいを与えてくれたものは、その時の悲しさでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつ見ても蒼褪あおざめた顔をして、大きなうるおいのある眼でちょっと挨拶あいさつをするだけである。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
高柳君はうるおいのない眼を膝から移して、中野君の幸福な顔を見た。この顔しだいで返答はきまる。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
叔父とおいだが、年ばえは二人とも大しては違っていない。叔父のえんには出林龍とアダ名があり、甥のじゅんは、あたまの後ろにこぶがあるので独角龍と世間で異名いみょうされている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしこのえんじゅんの二龍にも、苦手にがてな者がないではない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
□安田皐月氏は原田じゅん氏と結婚なさいました。
仮繃帯かりほうたいの下から生々しい血汐ちしおにじみ出して私はいうべからざる苦痛を覚えたが、駅長の出してくれたかけいの水をグッと飲み干すとやや元気づいて来た。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
心柄とはいいながら、夜風に吹きさらされて、私は眼頭に涙をにじませて帰った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
見惚みほれぬ。——るむ笛の
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「おや、神田皆川町たから屋太兵衛倅和太郎、甲辰歳きのえたつどしうるう五月生——」
詞のうるほひつやも工夫して居るのがもどかしくもなつた。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
これが彼女の皮膚の明晢めいせきさに或るうれひを与へる様に思はれた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
夏、夏、夏の薄暮は何時もアーク燈の光のやうに薄紫の涙に濡れしとつたやるせない寂しい微光の氛囲気を私の心の周囲まはりにかたちづくる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
朝戸出あさとできみ足結あゆひらす露原つゆはらはやでつつわれ裳裾もすそらさな 〔巻十一・二三五七〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
私も早く起きてその露原で御一しょにすそらしましょう、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
昨夕ゆうべの雨が土をふやかし抜いたところへ、今朝からの馬や車や人通りで、踏み返したり蹴上けあげたりした泥のあとを、二人はいとうような軽蔑けいべつするような様子で歩いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
南家の姫の美しい膚は、益々マスマス透きとほり、ウルんだ目は、愈々イヨイヨ大きく黒々と見えた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)