“うるほ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
29.9%
28.6%
湿15.6%
11.7%
10.4%
1.3%
1.3%
1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あゝ第一の愛に愛せらるゝ者よ、あゝいと聖なる淑女よ、汝のことば我をうるほし我を暖め、かくして次第に我を生かしむ 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
胸のあたりを掻展かきひろげて、少許すこし気息いきを抜いて、やがて濃い茶に乾いた咽喉のどうるほして居る内に、ポツ/\舟に乗る客が集つて来る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
声は低くなりて、美き目は湿うるほへり。彼は忘れざるべし、その涙をぬぐへるハンカチイフは再び逢はざらんとする人の形見なるを。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
熊野川の谷を遡る時も、瀞八町の渓に船を泛べる時も、玉置山たまきやま大塔おほたふの宮の遺跡を偲ぶ時も、柔かなこまかい雨が常に私の旅の衣をうるほして居た。
春雨にぬれた旅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
私は私の勝手な場所を見付けて、煙草に火を點け、口をうるほし、そして新聞を取上げた。外に相客といふものは無かつた。
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
榛軒は庚寅の年に侯に扈随して福山に往つた時、午後屡轎中に仮寐かびした。そして涎が流れて襟をうるほした。榛軒は自ら白布を截つて涎衣よだれかけを製し、かごのぼる毎にこれを腮下さいかに懸けた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
おもふに、ゑがける美人びじんは、ける醜女しうぢよよりもなりつたく、かん武帝ぶてい宮人きうじん麗娟りけんとしはじめて十四。たまはだへつややかにしてしろく、うるほふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蓮太郎は其様そんなことゝも知らないで、さも/\うまさうに乾いた咽喉のどうるほして、さて種々さま/″\談話はなしに笑ひ興じた。就中わけても、丑松がまだ紙鳶たこを揚げたり独楽こまを廻したりして遊んだ頃の物語に。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)