“しつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シツ
語句割合
36.3%
16.0%
15.4%
5.4%
4.6%
3.7%
3.4%
2.0%
2.0%
1.7%
執拗1.7%
1.1%
疥癬0.9%
仕付0.9%
0.6%
湿0.6%
0.6%
0.6%
仕着0.3%
志都0.3%
0.3%
0.3%
湿瘡0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかるに形躯けいく変幻へんげんし、そう依附いふし、てんくもり雨湿うるおうの、月落ちしん横たわるのあしたうつばりうそぶいて声あり。其のしつうかがえどもることなし。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
無知蒙昧もうまいな者ならそれへ、石でもつばでも投げられるかもしれないが、武士もののふの家に生れて、童学からその教養にしつけられて来た者には——
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやいやそうでない、よくご存知の筈である。しつこいようだが念のため、もういちど承りたい。あなたのご姓名は、何といいましたかな」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
う云ふ時に代助は、あたま内側うちがは外側そとがはが、しつことなつた切りみ細工で出来上できあがつてゐるとしか感じ得られないくせになつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
五八も驚きしつかといだは若旦那にてありしか私し事は多く御恩ごおんあづかり何かと御贔屓下ごひいきくだされし者なれば先々まづ/\わけあとの事手前の宿やどへ御供を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けばこのむらはかつて壯丁そうてい多數たすう出漁中しゆつりようちゆうしつして全村ぜんそん灰燼かいじんしたことがあるさうで、これにかんがみて其後そのご女子じよし消防隊しようぼうたいをも編成へんせい
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しつ! 静かに!」君香は四辺あたりを素早く見廻はし乍ら云つた。「一寸、出ていらつしやい! 大変な事なのよ!」
だが父樣はどうして靜夫樣と御知りなすつたのだろふ、かねしつて居て、知ている所か私柄と、いやまて思は思をうんで心經の高ぶつて居今、まづ何事も胸にと
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
節句の日暮かっきりに、別の雛段をしつらえて飾り立てる事だったのである。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その後当分の間、邯鄲の都では、画家は絵筆をかくし、楽人はしつげんを断ち、工匠こうしょう規矩きくを手にするのをじたということである。(昭和十七年十二月)
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「うむ、執拗しつっこい奴等だな、御蔵前で見ん事、いてやったと思ったに、しぶとけて来やあがったのか」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
もしさう云つて身を投げ伏せて来たら、両手でしつかり女を抱いてやらうとも思つた。女はたうとう仕度をしてしまつた。待つた詞が女の口からもれさうにもない。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
鼻たらしや、疥癬しつ頭、指をくわえてぼんやり見あげていたのを、せんぶりの千太が顎の下へ手をかけて、まじまじと覗きこむ。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
するとみちそばではあるが、川の方へ「なだれ」になっているところ一体にくわ仕付しつけてあるそのはるかに下の方の低いところで、いずれも十三四という女の児が
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
相当にしつこい性質である。だが、感情に激しているような語気ではない、極めて静かなのだ。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まきやのお出額でこのやうなが万一もし来ようなら、じきさま追出して家へは入れてらないや、己らは痘痕あばた湿しつつかきは大嫌ひと力を入れるに、主人あるじの女は吹出して、それでも正さん宜く私が店へ来て下さるの
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
煎餅やのお福のやうな痘痕みつちやづらや、薪やのお出額でこのやうなが萬一もし來ようなら、直さま追出して家へは入れて遣らないや、己らは痘痕あばたしつつかきは大嫌ひと力を入れるに、主人あるじの女は吹出して
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一箇月以來胃腸にしつを得、可食の雜草からは遠ざかつてゐる。
すかんぽ (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
二人は気忙しそうに、仕着しつけ糸をむしりはじめた。母親はその中で、紋を一つ一つすかしては見ていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
まだ仕立てたばかりで、仕着しつけも取らない夏帯のことなどを、病人は寝ていて気にしはじめた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この天皇と大后と歌よみしたまへる六歌は、志都しつ歌の歌ひ返し三二なり。
おもいメランコリイのそこしつんで了ふであらう。
メランコリア (旧字旧仮名) / 三富朽葉(著)
その女ホレイショの媚体は、孔雀の個性そのものであるせいか、曽ての寵妃中の寵妃——エーネ・ソレルの妖しつ振りを凌ぐものと云われた。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
小石川富坂こいしかわとみざか源覚寺げんかくじにあるお閻魔様えんまさまには蒟蒻こんにゃくをあげ、大久保百人町おおくぼひゃくにんまち鬼王様きおうさまには湿瘡しつのお礼に豆腐とうふをあげる、向島むこうじま弘福寺こうふくじにある「いし媼様ばあさま」には子供の百日咳ひゃくにちぜきを祈って煎豆いりまめそなえるとか聞いている。
搖上ゆりあ搖下ゆりおろされ今にも逆卷さかまくなみに引れ那落ならくしづまん計りなれば八かんねつ地獄ぢごくの樣もかくやとばかりおそろしなんどもおろかなり看々みる/\山の如き大浪おほなみは天神丸の胴腹どうはらへ打付たればあはれやさしも堅固けんごしつらへし天神丸も忽地たちまち巖石がんせきに打付られ微塵みぢんなつくだけ失たり氣早きばやき吉兵衞は此時早くも身構みがまへして所持の品は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
子供らはことごとく家のうちにかかえ入れ、危うき橋はすぐしつらえ置けよ——と大声にて触れつつ走れ
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
南の御殿の西の離れ座敷に賀をお受けになる院のお席が作られたのである。屏風びょうぶ壁代かべしろの幕も皆新しい物でしつらわれた。形式をたいそうにせず院の御座に椅子いすは立てなかった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
文学の制作は一つの実証である、それは他人の制作した作品を品しつするのではなくて、自ら生活材料を整理して形を与える処の一つの実証的な探究である。
イデオロギー概論 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)