しつ)” の例文
拙者せつしやふるくから此石とは馴染なじみなので、この石の事なら詳細くはししつて居るのじや、そもそも此石には九十二のあながある、其中のおほきあなの中にはいつゝ堂宇だうゝがある
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
だが父樣はどうして靜夫樣と御知りなすつたのだろふ、かねしつて居て、知ている所か私柄と、いやまて思は思をうんで心經の高ぶつて居今、まづ何事も胸にと
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
致して最初さいしよからの事がらみなしつてゐるにあの娘御に限てはさういふ病の有る事とは思はれざれど有といひまた若旦那の被仰處おつしやるところも道理と思へど五日の中にどうしてそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
濁醪どぶろく引掛ひつかける者が大福だいふく頬張ほゝばる者をわら売色ばいしよくうつゝかす者が女房にようばうにデレる鼻垂はなたらしあざける、之れ皆ひとはなあなひろきをしつしりあなせまきをさとらざる烏滸をこ白者しれものといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
しつてつとこでなくつちや盲目めくらだから面倒めんだうてくれるつちひともあんめえしなあ、それから其處そこんとこも心配しんぺえしてたんだが、丁度ちやうどこの村落むらにえゝ鹽梅あんべえしてもえゝつちうちるつちもんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
艦長かんちやうすで虎髯大尉こぜんたいゐよりの報告ほうこくによつて、輕氣球けいきゝゆうとも落下らくかした吾等われら二人ふたり日本人につぽんじんであることも、一人ひとり冐險家ぼうけんからしい紳士しんしふうで、一人ひとりおな海軍かいぐん兵曹へいそうであることしつつたとえ、いま
うまいことしつてるな、ぢいさん。ぢいさんと母様おつかさんわたし三人さんにんだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)