疥癬しつ)” の例文
彼は、下田から一里ばかりの蓮台寺れんだいじ村にある湯が、瘡毒そうどく疥癬しつにいいということをきいたので、すぐその日、蓮台寺村に移って入湯した。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
鼻たらしや、疥癬しつ頭、指をくわえてぼんやり見あげていたのを、せんぶりの千太が顎の下へ手をかけて、まじまじと覗きこむ。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
此湯硫黄ゆわうの気ありてよく疥癬しつるゐし、一時いちじ流行りうかうして人群をなせり。
それが、手指ばかりでなく、腹部にも腰の回りにも、ももにも、数は少ないが広がっている。まがう方なく、疥癬しつである。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その間も、寅二郎の疥癬しつは、少しもえないばかりでなく、どれもこれも、無気味に白くんでしまった。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)