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搖下
搖上げ
搖下し
此方へ
漂ひ彼方へ
搖れ正月四日の
朝巳の
刻より翌五日の
申の
刻まで風は少しも
止ず
吹通しければ二十一人の者共は
食事もせす
二日二夜を
搖上げ
搖下され今にも
逆卷浪に引れ
那落に
沈まん計りなれば八
寒八
熱の
地獄の樣も
斯やとばかり
怖ろしなんども
愚かなり
看々山の如き
大浪は天神丸の
胴腹へ打付たれば
哀やさしも
堅固に
營らへし天神丸も
忽地巖石に打付られ
微塵に
成て
碎け失たり
氣早き吉兵衞は此時早くも
身構へして所持の品は