“漂”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ただよ74.7%
たゞよ17.2%
ただ1.5%
うか1.1%
ただよわ0.7%
なが0.7%
ウカ0.7%
ただよは0.4%
さす0.4%
さすら0.4%
ただよい0.4%
たゝよ0.4%
たゞ0.4%
サスラ0.4%
タダヨ0.4%
タダヨハ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのはなは、のめずりたおれた老人ろうじん死体したいを、わらつておろしているというかたちで、いささかひとをぞつとさせるような妖気ようきただよわしている。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
晝のうちは、それでも何事も起りませんが、あまり騷ぎが大袈裟だつたので、夜になると、皆んなの顏には明かに疲勞つかれの色がたゞよひます。
今までは全く他人本位で、根のないうきぐさのように、そこいらをでたらめにただよっていたから、駄目だめであったという事にようやく気がついたのです。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
破れた硝子ガラスに冷い日光ひかげが射して、硝子は銅のやうな鈍い光を放ツてゐた。一平は尚だ窓から顏を出して、風早學士の方を見詰めて皮肉な微笑をうかべてゐた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しかしいよいよ首尾の松が水の上にと長くその枝をのばしているあたりまで来ると、川面かわづらの薄暗さをさいわい彼方かなたにも此方こなたにも流れのままにただよわしてある屋根船の数々
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「旗鼓東西壇坫開。以詩為命況天才。当年佳話吾能記。高鳳庭前漂麦来。」〔旗鼓東西壇坫開キ/詩ヲ以テ命ト為ス況ヤ天才ヲヤ/当年ノ佳話吾能ク記ス/高鳳庭前麦ヲながシ来ル〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
我が民族の中心種族の間にも、時の替り目に魂のウカれ易い事を信じて居た。其が合體して、五節供其他の形代を棄てる風が、段々成長して來た。
切髪は乱れ逆竪さかだちて、披払はたはたひるがへ裾袂すそたもとなびかされつつただよはしげに行きつ留りつ、町の南側を辿たどり辿りて、鰐淵が住へる横町にりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし、キイヴァンの耳にささやいた蛇はこの事も囁いてきかせた、キイヴァンは笛の音に寄せてケリルの心に夢を送った、こうしてさすらいの王は夢を見た、そしてその夢を神託しらせと知った。
約束 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
さすらい歩いて、一生念仏して暮すだけのことですもの
何方どちちかと謂へば、落着おちつついた、始終しじう やはらかなみたゝよツてゐる内氣うちきらしい眼だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
長襦袢ながじゆばんを寢卷にしたもので、少し色せた鹿の子絞りも哀れですが、晝近い陽の中に處女の移り香がほんのりたゞよつて、血飛沫のあとを超えてなまめきます。
老いサスラうた小町の姥が、返歌を促されて、「ぞ」文字を以て答へる。
今、例の錦のふくろの最後の一つを開いてみました。すると。——劉郎浦頭リュウロウホトウ蘆荻ロテキ答エン、博浪激波シバシ追ウモタダヨクラムナカレ、破車汗馬ココニ業ヲ終エテ一舟ニ会セン……そんな文があらわれました。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
クラい空間は、明りのやうなものをタダヨハしてゐた。シカし其は、蒼黒アヲグロモヤの如く、たなびくものであつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)