“漂泊”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひょうはく30.9%
さすらい23.5%
さすら18.5%
さまよ12.3%
さすらひ3.7%
さすろ3.7%
へうはく3.7%
さす1.2%
ただよい1.2%
サスラ1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、ふと漂泊ひょうはくの家族に、あす知れぬそれらの者の運命に、親として、良人おっととして、主人として、断腸の感を抱いていたのであるまいか。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
畿内きない、東海、東山、山陰、山陽、北陸、南海と、彼は漂泊さすらいの旅路に年を送り年を迎え、二十七の年まで空虚な遍歴の旅を続けた。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
若い時から、諸所を漂泊さすらったはてに、その頃、やっと落着いて、川の裏小路に二階がりした小僧の叔母おばにあたる年寄としよりがある。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが老いて既に耄碌もうろくし、その上酒精アルコール中毒にかかった頭脳は、もはや記憶への把持はじを失い、やつれたルンペンの肩の上で、むなしく漂泊さまようばかりであった。
我わが歌をもてウリッセをその漂泊さすらひの路より引けり、およそ我と親しみて後去る者少なし、心にたらはぬところなければ。 二二—二四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
盲目めしいの芸人となって、座興の席を漂泊さすろうてあるく今の境遇と、どちらがよいかは分らぬが、わしは、決して、後悔はしていない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東京とうきやういへたゝむとき宗助そうすけ先祖せんぞ位牌ゐはいひとのこらずたづさえて、諸所しよしよ漂泊へうはくするのわづらはしさにえなかつたので、あたらしいちゝ分丈ぶんだけかばんなかをさめて、其他そのたこと/″\てらあづけていたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
空蝉は薄命な自分はこの良人おっとにまで死別して、またもけわしい世の中に漂泊さすらえるのであろうかとなげいている様子を、常陸介は病床に見ると死ぬことが苦しく思われた。
源氏物語:16 関屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
広き都に置きかね漂泊ただよいあるきの渡り大工、段々と美濃路みのじ信濃しなのきたり、折しも須原すはらの長者何がしの隠居所作る手伝い柱を削れ羽目板をつけろと棟梁とうりょう差図さしずには従えど、墨縄すみなわすぐなにはならわぬ横道おうどう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
子ノ末ヲ祈願シ奉リテ又他国ニ漂泊サスラウ。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)