漂泊さすろ)” の例文
盲目めしいの芸人となって、座興の席を漂泊さすろうてあるく今の境遇と、どちらがよいかは分らぬが、わしは、決して、後悔はしていない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はしなく、この未然地獄を追放されて、好きな者同士で、自由の野を漂泊さすろう境遇は、むしろ、めでたい青春ではあるまいか。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分も、じつは芸道執心の者ですが、それもかなわず、むなしく、こう漂泊さすろうている者でございまする
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若年、江湖せけん漂泊さすろうての果て、はしなく梁山泊の諸兄に会い、幾年月のお世話になったことは今も忘れてはおりませぬ。しかし何ぶんごらんの如き一人の老母がありまする。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)