“さす”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:サス
語句割合
49.5%
15.4%
9.9%
6.0%
4.9%
砂洲2.7%
1.1%
1.1%
1.1%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
叉手0.5%
0.5%
0.5%
摩擦0.5%
0.5%
0.5%
流石0.5%
0.5%
漂泊0.5%
照射0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
船頭の半纒はんてんや、客の羽織などを着せて、さすつたり叩いたり、いろ/\介抱に手を盡して居ると、何うやらかうやら元氣を持ち直します。
なかにも年少ねんせう士官等しくわんら軍刀ぐんたうつかにぎめて、艦長かんちやう號令がうれいつ、舷門げんもんほとり砲門ほうもんほとり慓悍へうかん無双ぶさう水兵等すいへいらうでさすつてる。
見馴れない四十恰好がっこうの女が、姉のうしろから脊中せなかさすっている傍に、一本の杉箸すぎばしを添えた水飴みずあめの入物が盆の上に載せてあった。女は健三に会釈した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それも總括的に文藝其物に就てでなく新聞紙の如きあらゆる階級に——階級といつても上下卑賤をさすのではない
昨夜はさすが不死身の僕も、速水と連れ立って、「深夜の市長」の待っているこの高塔まで辿りついたときはヘトヘトになってしまったのだった。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここではじめて、正三は立留り、叢に腰を下ろすのであった。すぐ川下の方には鉄橋があり、水の退いた川には白い砂洲さすが朧に浮上っている。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
中屋敷下屋敷へもあまねく聞え渡ったので、血気の若侍共は我れその変化の正体を見届けて、渡辺綱、阪田公時にも優る武名を轟かさんと、いずれも腕をさすって上屋敷へ詰かけ、代る代る宿直とのいたが
池袋の怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ネ、何も足腰さするばかりが孝行じゃアない、親を人に善く言わせるのも孝行サ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
ひとの売物にきずを附けちや済まん、とさう思うて、そりや実に矢もたてたまらん胸をさすつてしまうたんです
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
重四郎まづしばらくと押止おしとゞめ必ず早まり給ふな親分のかたきは三五郎と知たる上其は宜敷よろしき時刻じこくを計つて討洩うちもらさぬ樣に致すが肝要かんえうなり殊に今宵こよひ三五郎は宅にをらさすれば仕懸しかけゆくとも其詮無そのせんなしと云ふにぞ掃部是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
む今や開花かいくわ時節じせつとて打續たる日和ひよりなれば上野隅田すみだも人もやいでさすれば彼所かしこは打ち水爲可なすべき者もあらざれば塵芥ほこりは立て風吹ばまなこに入て目の毒なり又櫻はあかき樣に見ゆれどもとれ白き物なれば散行ちりゆく樣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あけしに驚きさす旅宿屋やどやの主人だけよひことわりもなき客のきふに出立せしはいかにも不審ふしんなりとて彼の座敷をあらためしにかはる事もなければとなり座敷を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吟味ぎんみ致すに筋違すぢちがひとは如何なる儀にや此段承まはりたしと御老人らうじんにがり切たる有樣なれば將軍にも御當惑たうわくの體にてさすが名君のふくし見え給ひほとんど御こまりの御樣子にて太田主計頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勘次かんじはひつそりとしたいへのなかにすぐ蒲團ふとんへくるまつてるおしな姿すがたた。それからおしなあしさすつてるおつぎにうつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
えゝよ勘次かんじさん、今日けふのうちから心持こゝろもちえゝんだから、先刻さつきもおつうがさすつてやんべなんていふもんだから少しもやつてくろつてつたところだよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかれども人をさすむしにはあらず、顕微鏡むしめがねにてたる所をこゝにして物産家ぶつさんかせつつ。
だつたいるゐ、人をさすとあればはちるゐ也、雪中のむしじよしたがふべし、しかれば雪蛆せつじよは雪中の蛆蠅うじばへ也。木火土金水もくくわどごんすゐの五行中皆虫をしやうず、木の虫土の虫水の虫はつねに見る所めづらしからず。
つぐる鐘耳元に響き渡り寒風かんぷう肌膚はだへさすが如く一しほ待遠まちどほく思ふに就我家の事を氣遣きづかもし母樣が御目を覺され此身の居らぬを尋ねはし給はぬか然共折角せつかく是迄來りしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「命終らんとする時に臨み、合掌叉手さすして南無阿弥陀仏ととなへしむ。仏の名を称ふるが故に、五十億劫おくこふの生死の罪を除き、化仏の後に従つて、宝池の中に生る。」
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
それから的を見透すというと、これはさす、これはおちる、これはまえ、これは西うしろということが明瞭はっきりとわかるのでござる
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
同紀に、雖辺土未清余妖尚梗而トツクニハナホサヤゲリトイヘドモ中洲之地無風塵ウチツクニハヤスラケシてふと同意なるにてしりぬ。かくてその隣とは、此度は紀伊国をさす也。然れば莫囂国隣之の五字は、紀乃久爾乃キノクニノよむべし。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「それなればなほの事、私はちつともねむくはないから。お父さん気を揉まないでおくれ。それよりはおッ母さんの帰るまで、背など摩擦さすつて上げやう」
小むすめ (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
貴女あんたな、ようこそ、芝居の裏で、おじいはんの肩さすって上げなはった。多一さんも人目忍んで、貴女の孝行手伝わはった。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若い経営主は紫色の花だけ眼のように涼しく開けて、葉はまだ閉じて眠っているポインシャナのくさむらを靴の底でいじらしそうにさすりながら、こう云った。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
然し此姉このあね迄が、いまの自分を、ちゝあにと共謀して、漸々ぜん/\窮地にいざなつてくかと思ふと、流石さすがに此所作しよさをたゞの滑稽として、観察する訳にはかなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、キイヴァンの耳にささやいた蛇はこの事も囁いてきかせた、キイヴァンは笛の音に寄せてケリルの心に夢を送った、こうしてさすらいの王は夢を見た、そしてその夢を神託しらせと知った。
約束 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
空蝉は薄命な自分はこの良人おっとにまで死別して、またもけわしい世の中に漂泊さすらえるのであろうかとなげいている様子を、常陸介は病床に見ると死ぬことが苦しく思われた。
源氏物語:16 関屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いずくよりかるると見れば、壁を二重に造りなして、外の壁と内の壁の間にかかる踏壇を、仕懸けて穴へ導くにて透間より月の照射さすなり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)