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摩
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さす
ふりがな文庫
“
摩
(
さす
)” の例文
そして与里は、棒ほどもない痩腕を蒲団の中から抜き出して、まるで子供をあやすやうに、静かに玄也の頭を
摩
(
さす
)
りはぢめたのであつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
中
(
なか
)
にも
年少
(
ねんせう
)
士官等
(
しくわんら
)
は
早
(
は
)
や
軍刀
(
ぐんたう
)
の
※
(
つか
)
を
握
(
にぎ
)
り
詰
(
つ
)
めて、
艦長
(
かんちやう
)
の
號令
(
がうれい
)
を
待
(
ま
)
つ、
舷門
(
げんもん
)
の
邊
(
ほとり
)
、
砲門
(
ほうもん
)
の
邊
(
ほとり
)
、
慓悍
(
へうかん
)
無双
(
ぶさう
)
の
水兵等
(
すいへいら
)
は
腕
(
うで
)
を
摩
(
さす
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
しびれをきらした足を
摩
(
さす
)
り/\、
跛犬
(
びつこいぬ
)
のやうな格好で逃げて行く後ろ姿を、平次は腹を抱へて笑ひながら見送つて居ります。
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其夜は十風は珍らしく熱が無いといつて大變元氣がよく此頃手傳ひに來た細君の從妹とかいふ十五六の小娘に足を
摩
(
さす
)
らせ乍ら三藏と快談した。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
男は両手で女の髪を
摩
(
さす
)
って、「泣くのじゃないよ」と優しく
囁
(
ささや
)
いた。それでも泣くので、「もう
廃
(
よ
)
せよ」と言い足した。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
▼ もっと見る
繼「何も
宜
(
い
)
いじゃア有りませんか、お前さんの長い煩いの
中
(
うち
)
には私が足を
摩
(
さす
)
って居ながら、つい
転
(
ころ
)
りとお前さんの床の中へ寝た事もございますよ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それからこの犬は人間というものを信用しなくなって、人が呼んで
摩
(
さす
)
ろうとすると、尾を股の間へ挿んで逃げた。
犬
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
予は少しく思ふよしあれば、其
頭
(
かうべ
)
を
撫
(
な
)
で、
背
(
せな
)
を
摩
(
さす
)
りなどして
馴近
(
なれちかづ
)
け、
賄
(
まかなひ
)
の幾分を
割
(
さ
)
きて与ふること
両三日
(
りやうさんじつ
)
、早くも我に
臣事
(
しんじ
)
して、犬は命令を聞くべくなれり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
留守を守る女房のお
政
(
まさ
)
は、お
摩
(
さす
)
りからずるずるの
後配
(
のちぞい
)
、
歴
(
れっき
)
とした士族の娘と自分ではいうが……チト考え物。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
偖又雲助共は再び一所に
集合
(
あつまり
)
己れは
脛
(
すね
)
を拂はれ
汝
(
われ
)
は腰を打れたりと皆々
疵所
(
きずしよ
)
を
摩
(
さす
)
り又は
手拭
(
てぬぐひ
)
など
裂
(
さい
)
て卷くもあり是では渡世が六ヶ敷と
詢言々々
(
つぶやき/\
)
八九人の雲助共怪我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かれ等は皆なリツプを見て驚く様子で、また言ひ合はせた様に、頤を
摩
(
さす
)
ります。リツプは覚えず自分の頤を摩つてびつくりしました、髯が一尺も長く伸びて居たから。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
彼は女の頤の下をくすぐるやうな積りで牛の頤を
摩
(
さす
)
った。牛は一向手応へもなくぢっとしてゐた。
牛を調弄ふ男
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
それに比べると、種牛は体格も大きく、骨組も
偉
(
たくま
)
しく、黒毛艶々として美しい雑種。持主は柵の横木を隔てゝ、其鼻面を撫でゝ見たり、
咽喉
(
のど
)
の下を
摩
(
さす
)
つてやつたりして
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この私の見方は丁度、三人の按摩さんが各自思い思いに象のからだの一部を
摩
(
さす
)
って見て
アメリカ文士気質
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
二時間も前から
鳩尾
(
みぞおち
)
の所に重ねて、懐に入れておいた手で、襯衣の上からズウと下腹まで
摩
(
さす
)
つて見たが、米一粒入つて居ぬ程凹んで居る。渠はモウ一刻も耐らぬ程食慾を催して来た。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
公に
知
(
し
)
られぬようにこっそり
覗
(
のぞ
)
いて見るとさも痛そうな顔色をして痛みある局部をみずから
摩
(
さす
)
っていても、誰か病室に入れば、ただちに
面相
(
めんそう
)
を変え、痛みなき
風
(
ふう
)
をよそおったという。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
爺
(
おやじ
)
の腕を静に
摩
(
さす
)
りながら、熱に浮かされて赤みばしった爺の眼を見、其の白髪頭から其の皺だらけの額から大粒の汗の湧くを見、其の唇のいらいら乾くを見て居たが、そっと腕を置いて
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そっと何とか自分の胸を撫で
摩
(
さす
)
って、怨めしさを塗り潰して置きたかった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
渦
(
うず
)
まく雲、真黒に
屯
(
とま
)
って動かぬ雲、雲の中から生るゝ雲、雲を
摩
(
さす
)
って移り行く雲、淡くなり、濃くなり、淡くなり、北から東へ、東から西へ、北から西へ、西から南へ、
逆流
(
ぎゃくりゅう
)
して南から東へ
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「お腰をお掛け遊ばしまし、少しお
頭
(
ぐし
)
をお
摩
(
さす
)
り申上げませう」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
窪みたるまなこしみじみ
愛
(
いと
)
ほしと鏡にむかひ
摩
(
さす
)
るわれなり
小熊秀雄全集-01:短歌集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
すると、幽斎は腰を
摩
(
さす
)
り摩り起きあがりざま
器用な言葉の洒落
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
匂は
徐
(
おもむろ
)
に起き上りて腕を
摩
(
さす
)
り
花枕
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
新吉は仕方がないから足を
摩
(
さす
)
って居りますと、すや/\疲れて寝た様子だから、いゝ塩梅だ、此の間に御飯でも
喫
(
た
)
べようと
膳立
(
ぜんだて
)
をしていると這出して
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
も爲べけれども母を
連
(
つれ
)
て
遙々
(
はる/″\
)
來
(
きた
)
りしなればと
燃立
(
もえたつ
)
胸
(
むね
)
を
摩
(
さす
)
り何事も
勘辨
(
かんべん
)
して
寥々
(
すご/\
)
金屋の家を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
三藏は事の原因を解し兼ねて甚だ手持無沙汰に默然として坐つてゐる。十風は死んだものゝやうに寂寞として目を瞑つた儘ぢつとして居る。細君も默つて只靜かに背中を
摩
(
さす
)
つて居る。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
『こんな
筈
(
はづ
)
ではないのだが。』と
腕
(
うで
)
を
摩
(
さす
)
つて
見
(
み
)
たが、
迚
(
とて
)
も
叶
(
かな
)
ひ
相
(
さう
)
もない。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
すると、幽斎は腰を
摩
(
さす
)
り
摩
(
さす
)
り起きあがりざま
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
名残が惜しいから
暇乞
(
いとまごい
)
をしながら馬の
前面
(
まえづら
)
を
撫
(
なで
)
て、
己
(
おれ
)
え江戸へ
行
(
ゆ
)
き、奉公して
帰
(
けえ
)
って来るまで、達者で居て呉んろと
私
(
わし
)
い泣きやんして、其の馬を撫でたり
摩
(
さす
)
ったりしやすと
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
敷
(
しき
)
イザと
勸
(
すゝむ
)
る
箱枕
(
はこまくら
)
のみならぬ身の親父が横に成たる
背後
(
うしろ
)
へ廻り腰より足を
摩
(
さす
)
り
行手
(
ゆくて
)
弱
(
よわき
)
腕
(
かひな
)
も今宵
此仇
(
このあだ
)
を
斃
(
たふ
)
さんお光の精神是ぞ親子が一世の別れと
究
(
きはま
)
る心は如何ならん
想像
(
おもひやる
)
だに
悼
(
いたま
)
しけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あいお
父
(
とつ
)
ちやん、
坊
(
ばう
)
は寒くはないけれども、お
父
(
とつ
)
ちやんが痛からうと思つて……。父「ン、ンー
能
(
よ
)
く
労
(
いたは
)
つて
呉
(
く
)
れるの。子「お
父
(
とつ
)
ちやん
摩
(
さす
)
つて
上
(
あ
)
げようか。父「ンー
摩
(
さす
)
つて
呉
(
く
)
れ。 ...
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
馬の
前面
(
まえづら
)
を撫で
摩
(
さす
)
りまして、多助は堪り兼て袖を絞って、おい/\泣きますと、多助の実意が馬に感じましたか、馬も名残を惜む様子で、首を垂れてさも悲しげに泣出しまして
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
義理にも私はお
暇
(
いとま
)
に成るに違いはありません、さすれば
後
(
あと
)
にて二人の者が思うがまゝに殿様を殺しますから、どうあっても
彼
(
あ
)
のお
邸
(
やしき
)
は出られんと今日まで胸を
摩
(
さす
)
って居りましたが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
確かり歯を
喰
(
くい
)
しばって居りますから、自分に
噛砕
(
かみくだ
)
いて、
漸
(
ようや
)
くに歯の間から薬を入れ、谷川の流れの水を
掬
(
すく
)
って来て、口移しにして飲ませると薬が通った様子、親切に山之助が
摩
(
さす
)
って遣りますと
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
紅葉
(
もみぢ
)
のやうな
可愛
(
かあい
)
らしい手を出して、
父親
(
おや
)
の足を
摩
(
さす
)
つて
居
(
を
)
ります。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と両腕を
摩
(
さす
)
りながら
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
摩
常用漢字
中学
部首:⼿
15画
“摩”を含む語句
摩擦
筑摩
摩西
薩摩芋
大薩摩
薩摩
揣摩
達摩
維摩経
筑摩川
摩尼
薩摩琵琶
相摩
摩睺羅伽
脚摩乳
摩周
摩天楼
手摩乳
紫摩黄金
安摩
...