“面相”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
めんそう30.0%
めんさう15.0%
かおつき10.0%
おもざし10.0%
つら10.0%
つらつき10.0%
かおだち5.0%
かほ5.0%
つらよう5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
塩瀬はちょっと驚ろいて振り向いたまでは、粗忽そこつをして恐れ入ったと云う面相めんそうをしていたが、高柳君の顔から服装を見るや否や、急に表情を変えた。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
忿怒ふんぬ面相めんさう、しかしあつてたけからず、大閻魔だいえんままをすより、くちをくわつと、唐辛子たうがらしいた關羽くわんうてゐる。したがつて古色蒼然こしよくさうぜんたる脇立わきだち青鬼あをおに赤鬼あかおにも、蛇矛じやぼう長槍ちやうさう張飛ちやうひ趙雲てううんがいのないことはない。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小むずかしい面相かおつきをして書物と疾視競にらめくらしたところはまずよかったが、開巻第一章の一行目を反覆読過して見ても、更にその意義をし得ない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
見兼ねたか、縁側えんがわからってり、ごつごつ転がった石塊いしころまたいで、藤棚をくぐって顔を出したが、柔和にゅうわ面相おもざし、色が白い。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『しかしこの死態ざまをば情婦いろおなごい見せたナラ、大概の奴が愛想あいそ尽かすばい。眼球めんたまをばデングリがやいて、鼻汁はな垂れカブって、涎流よだくっとる面相つらあドウかいナ』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
藤野さんが二人の従兄弟に苛責いぢめられて泣いたので、阿母さんが簪を呉れてすかしたのであらうと想像して、何といふ事もなく富太郎のノツペリした面相つらつきが憎らしく、妙な心地で家に帰つた事があつた。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は急いで余所を向いて了ったから、くは、分らなかったが、何でも下女の話の通り細面ほそおもてで、蒼白い、淋しい面相かおだちの、い女だ……と思った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その頭部に見える物凄い面相かほは、柱頭のつもりで、柱身の上に載せられた、彫刻の假面めんのやうであつた。
お寺の天井に居る羅漢様と生き写しの面相つらようで、商売の古道具屋に座って、煙草を吸うておりますうち蜘蛛くもが間違えて巣を掛けよるのを知らずにおったという大胆者おちつきもんで御座います。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)