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號令
中にも
年少士官等は
早や
軍刀の
※を
握り
詰めて、
艦長の
號令を
待つ、
舷門の
邊、
砲門の
邊、
慓悍無双の
水兵等は
腕を
摩つて
居る。
『一、二、三、
進め』の
號令もなく、
各自に
皆勝手に
走り
出して
勝手に
止まりましたから、
容易に
競爭の
終りを
知ることが
出來ませんでした。
盛なる
哉、
炎暑の
色。
蜘蛛の
圍の
幻は、
却て
鄙下る
蚊帳を
凌ぎ、
青簾の
裡なる
黒猫も、
兒女が
掌中のものならず、
髯に
蚊柱を
號令して、
夕立の
雲を
呼ばむとす。