號令がうれい)” の例文
新字:号令
なかにも年少ねんせう士官等しくわんら軍刀ぐんたうつかにぎめて、艦長かんちやう號令がうれいつ、舷門げんもんほとり砲門ほうもんほとり慓悍へうかん無双ぶさう水兵等すいへいらうでさすつてる。
『一、二、三、すゝめ』の號令がうれいもなく、各自てんでみな勝手かつてはしして勝手かつてまりましたから、容易ようい競爭きやうさうをはりをることが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さかんなるかな炎暑えんしよいろ蜘蛛くもまぼろしは、かへつ鄙下ひなさが蚊帳かやしのぎ、青簾あをすだれなかなる黒猫くろねこも、兒女じぢよ掌中しやうちうのものならず、ひげ蚊柱かばしら號令がうれいして、夕立ゆふだちくもばむとす。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
テムプル先生は、思はず浮かんだ唇の微笑を拭ひ去るやうにハンカチを口に當てたが、しかし號令がうれいはかけた。何を命じられたか合點が行くと、最上級生はおとなしく從つた。
艦長松島海軍大佐かんちやうまつしまかいぐんたいさ號令がうれいはいよ/\澄渡すみわたつて司令塔しれいたふたかく、舵樓だらうには神變しんぺん不可思議ふかしぎ手腕しゆわんあり。二千八百とん巡洋艦じゆんやうかん操縱さうじゆう自在じざい
ふね秒一秒べういちべうしづんでく、甲板かんぱん叫喚けうくわんはます/\はげしくなつた。つひに「端艇たんていおろせい。」の號令がうれいひゞいて、だい一の端艇たんてい波上はじやう降下くだつた。此時このときわたくし春枝夫人はるえふじん見返みかへつたのである。