“前面”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぜんめん33.3%
まえ20.0%
むかふ10.0%
むこう10.0%
むかい6.7%
まえづら3.3%
むかひ3.3%
おもて3.3%
てまえ3.3%
ファサート3.3%
プルミエェル・プラン3.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大得意だいとくい船町倉次郎ふなまちくらじらうは、さらいうして圓石まるいし取除とりのぞくと、最初さいしよ地面ぢづらより一ぢやう尺餘じやくよ前面ぜんめんおいて、ぽかりと大穴おほあな突拔つきぬけた。
この言葉の終えないうちに、一羽の烏が林の中から二人の方へけて来たが、すぐ前面まえの岩の上へ静かに止まって羽根を畳んだ。
「あら貫一かんいつさん。これぢや切なくて歩けやしない。ああ、前面むかふから人が来てよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
水色真青まっさおにして物凄い所であります。前面むこうには皀莢滝と申します大滝が有りまして、ドウードッと云うすさまじい水音でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三吉は腕を叩きて、「たしかに、請合いました。」「よくせい。」とひらりと召す。梶棒かじぼうを挙げて一町ばかり馳出はせいだせる前面むかいより、駈来かけきたる一頭の犬あり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名残が惜しいから暇乞いとまごいをしながら馬の前面まえづらなでて、おれえ江戸へき、奉公してけえって来るまで、達者で居て呉んろとわしい泣きやんして、其の馬を撫でたりさすったりしやすと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
みちすがら前面むかひがけ処々ところどころ躑躅つつじの残り、山藤の懸れるが、はなはだ興有りと目留まれば、又このあたりこと谿浅たにあさく、水澄みて、大いなる古鏡こきようの沈める如く、深くおほへる岸樹がんじゆは陰々として眠るに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
我等は喜べり、されどこの喜びはたゞちに歎きに變れり、一陣の旋風新しきくがより起りて船の前面おもてをうち 一三六—一三八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
松火の見えている沙丘の前面てまえから、鋭い胡笛かくの音が響いて来た。歩哨の兵が吹いたのでもあろう。と、そこからときの声が起こった。
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
復興式ルネッサンスの荘重な前面ファサートを持った王宮の前庭には、それを、三方から囲うようにして、数万の人民が堵列していた。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その枯れた向日葵を前面プルミエェル・プランに立てて、淺間山は相も變らず自ら湧き立たせた雲のなかに見え隱れしてゐた。
初秋の浅間 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)