“おもて”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オモテ
語句割合
66.0%
戸外12.5%
11.9%
表面1.8%
1.5%
外面0.9%
往来0.3%
仮面0.3%
戸表0.3%
0.3%
表店0.3%
門外0.3%
面貌0.3%
能面0.2%
容貌0.2%
0.2%
街上0.2%
表門0.2%
面上0.2%
客席0.1%
前面0.1%
外見0.1%
外貌0.1%
外部0.1%
0.1%
家外0.1%
往來0.1%
所外0.1%
碑面0.1%
紙面0.1%
船首0.1%
色面0.1%
街路0.1%
表戸0.1%
表手0.1%
表方0.1%
表書0.1%
表玄関0.1%
表紙0.1%
表衣0.1%
表通0.1%
表道0.1%
面照0.1%
面部0.1%
顏貌0.1%
0.1%
顔面0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
車夫のかく答へし後はことば絶えて、車は驀直ましぐらに走れり、紳士は二重外套にじゆうがいとうそでひし掻合かきあはせて、かはうそ衿皮えりかはの内に耳より深くおもてうづめたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
戸外おもての物音は車の響、人の聲から木の葉のそよぎまでが自由につたはつて來るし、家人は何時でも勝手に、何の會釋もなく襖を引開ける。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
毛利右馬頭うまのかみ元就、正頼と一味し、当城へも加勢を入れ候。加勢の大将はそれがしなり、元就自身は、芸州神領おもてへ討出で、桜尾、銀山の古城を
厳島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
油ひきたる物燃ゆれば炎はたゞその表面おもてをのみ駛するを常とす、かのくびすよりさきにいたるまでまた斯くの如くなりき 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
もとより寄席ではない見世ものだから、その曲芸は客を誘うために、あるていどまで、おもてに立見する客へも見せるから、人気はすばらしかった。
旧聞日本橋:17 牢屋の原 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
しかし外面おもてからたのとはちがって、内部なかはちっともくらいことはなく、ほんのりといかにも落付おちついたひかりが、へや全体ぜんたいみなぎってりました。
「もう腹を立ててるんだわ! なんだつてこんな時分にいらつしたの? ときどき、人が多勢で往来おもてをあちこちしてるぢやありませんか……。あたし、からだぢゆうがぶるぶる顫へて……。」
能の仮面おもて重荷悪尉おもにあくじょう、そっくり老人の顔であった。がまの形をした大きなあざ、それが額にあるために、一層その顔は凄く見えた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「——ですが、楽翁さまのお声が外ですると、ここでは、何も話さずに、すぐ御一緒に、戸表おもてへ出て、一つの灯は、お濠端の方へ。一つは数寄屋橋御門外のほうへ、別れ別れに、お帰りになりました」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
洄の水の巻く力はすさまじいものだが、水の力には陰もあるおもてもある、吸込みもすれば湧上りもする。く水を知る者は水を制することをして水に制せらるることを為さぬ。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うちなどはどうでもござります、伯父様御全快にならば表店おもてに出るも訳なき事なれば、一日も早くく成つて下され、伯父様に何ぞと存じたれど、道は遠し心は
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
向うずねぶっぱらえなんかと仰しゃるお気早きばやな方もございますが、正直に申すとまア左様そう言ったようなもので、門外おもてにたちました一中節の門付屋さんでげすが、しきりにうちなかをのぞいて居ります。
線をし、筋を為し、円を描き、方形を形成かたちづくり、流れこごり、紙帳の面貌おもては、いよいよ怪異を現わして来た。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
えぐられたように痩せ落ちた顳顬こめかみや頬、そういう輪廓を、黒い焔のような乱髪で縁取ふちどり、さながら、般若はんにゃ能面おもてを、黒ビロードで額縁したような顔を、ヒタと左門へ差し向けたが
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
容貌おもて、醜しとあれば疎み遠ざかり、あざみ笑ひ、少しの手柄あれば俄かにいつくしみ、へつらひ寄る、人情紙の如き世中よのなかに何の忠義、何の孝行かある。今に見よ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仕掛、座蒲団などをおもての間に持ち往きて、座を定め、水色を見ながら、錐打ち鈴刺す快心、得も言われず。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
それからお吉はまた、二人が余りおとなしくして許りゐるので、店に行つて見るなり、少許すこし街上おもてを歩いてみるなりしたら怎だと言つて
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
表門おもての方には、奥方鹿子、忍びやかなる御帰宅おんかへり。三十二相は年齢の数、栄耀の数の品々を、身にはつけても、埓もない、眼鼻は隠れぬ、辛気さに、心の僻みもまたひとしほ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
やがて此方こなたを向きたる貫一は、尋常ただならず激して血の色を失へる面上おもてに、多からんとすれどもあたはずと見ゆる微少わづかゑみを漏して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
客席おもてに、笑い声が湧いて、すぐに消えた。藤吉は、再び不機嫌な表情いろに返って、周囲の人の顔から顔へと、無意味に見える視線を、しきりに走らせていた。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もう一度聞こうじゃあねえか。いいか——おまはんが、この客席おもての戸からはいって来る。部屋の障子がすこしあいて、人形太夫の紋之助さんと——女は、何と言ったっけな?
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形 (新字新仮名) / 林不忘(著)
我等は喜べり、されどこの喜びはたゞちに歎きに變れり、一陣の旋風新しきくがより起りて船の前面おもてをうち 一三六—一三八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
外見おもてはずうッと派手に飾って、交際つきあいも十分に致し、何処に会が有っても芝居の見物でも、斯ういう店開きが有れば其の様にびらを貼るという様な事でございまして、中々物入の続く商売。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
生れて十七年の住みなれし家にそむき、恩愛厚き父母の膝下しっかを離れんとする苦しさは、しのぶとすれど胸に余りて、外貌おもてにや表われけん、帰るさの途上みちみちも、母上は妾の挙動をあやしみて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
おぼろ氣ながら見てしまつた女隱居は、危ふく殺されるところでしたが、曲者は曉近い外部おもての人通りに驚いて逃出し、既にやいばを喉笛に擬せられた女隱居は、危ふいところで命を助かつたのでした。
ミル なんだい、なんでもありやしないぢやないか! 裏通を行くと怖いから、おもて通りを行くんだなんて、大廻りをさせてさ、世話が焼けるつちや、ありやしない。
彦六大いに笑ふ (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
平田は足早に家外おもてへ出た。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
だがまた例の、往來おもてにいたあいだ、今日一日、一刻も彼から離れなかった想念が、今なお依然として群がり寄せ、執拗に執念深く彼の病める頭の扉を叩きつづけるのだった。
所外おもてより、「あい、御免ねえ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その碑面おもてが春陽を受けて、鉛色に光っているのも昔と同じであった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
帳内なかで灯っている燈の光で、橙黄色だいだいいろに見える紙帳が、武士の姿を朦朧もうろうと、その紙面おもてへ映し、暗い部屋の中に懸かっている。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
船長室にも無電室にもみつからないと、東屋氏は、船橋ブリッジを降りて後甲板の士官室へ飛込んだ。が、いない。直ぐ上の、食堂にも、人影はない。——もうこの上は、船首おもての船員室だけだ。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
此方こなたはますます当惑の色面おもてあらわ
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ようやく、ちゃんと服を著け、オーデコロンをふりかけて、暖かく外套に身をくるむと、用心のために頬を包んで、さっさと街路おもてへ出て行った。
首きり湯に漬ったまま、出て来ようともしないから、表戸おもての甚八、独りであわてた。
表手おもても裏も障子を明放あけはなして、畳の上を風が滑ってるように涼しい、表手の往来から、裏庭の茄子なす南瓜かぼちゃの花も見え、鶏頭けいとう鳳仙花ほうせんか天竺牡丹てんじくぼたんの花などが背高く咲いてるのが見える
姪子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
『総じて隠居は、中庭より奥、表方おもてより裏に住むものぞ。裏をさがせ、裏手をさがせ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是れは八月三日の端書で、特に「土用見舞状」と書き、尚ほ「今日の所では埼玉二ヶ村本年大豊年巡視中、谷中植付無し」と表書おもての宛名の下に書き足してある。翁の手紙は毎々此の流儀の規則破りだ。
大野人 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「ただいま、表玄関おもてへ、ジープが」
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その側に、キチンと畳まれた紙片が置いてあったが、田部井氏はそれを拾い上げると、チラリと表紙おもてを見て、黙って私にそれを差出した。それは三四郎の、私にあてた、たった一つの遺書であった。
寒の夜晴れ (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
黒革くろかわ張りに錠前じょうまえ角当ての金具が光って、定紋のあったとおぼしき皮の表衣おもてはけずってあるが、まず千石どころのお家重代のものであろう。女はこれへ眼をつけた。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
町火消の頭、に組の常吉を相手に、先刻から歩切ふぎれを白眼にらんでいた釘抜藤吉は、勘次のこの言葉に、こんなことを言いながら、つと盤から眼を離して何心なく表通おもての方を見遣った。
お浜は寝入った郁太郎を、かたえにあった座蒲団ざぶとんを引き寄せてその上にそっと抱きおろし、炬燵の蒲団のすそをかぶせて立とうとすると、表道おもてさわやかな尺八の音がします。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
端渓たんけいの硯に向ふわらは髪黒う垂れて面照おもてりにけり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
太「なんだ……はいわしの年まで知っていて、面部おもてに疵が有ると仰しゃるのは何方どちらのお方でございますえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
*胸といみじき首筋と顏貌おもてを痛くかきむしり、 285
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
さすが各目てんでに名を恥じて、落ちたる市女笠、折れたる台傘、飛々とびとびに、せなひそめ、おもておおい、膝を折敷きなどしながらも、嵐のごとく、中の島めた群集ぐんじゅ叫喚きょうかんすさまじき中に、くれないの袴一人々々
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
級長は卓子テーブルの前に進んだ。校長も、文平も、きつと鋭い眸をこの生徒の顔面おもてに注いだ。省吾なぞから見ると、ずつと夙慧ませた少年で、言ふことは了然はつきり好く解る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)