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戸外
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おもて
ふりがな文庫
“
戸外
(
おもて
)” の例文
さつそく帽子を掴んで
戸外
(
おもて
)
へ飛び出さずにゐられないといつた、あんな手合とは、てんで比べものにもなんにもなつたものぢやない。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
戸外
(
おもて
)
の物音は車の響、人の聲から木の葉のそよぎまでが自由に
傳
(
つたは
)
つて來るし、家人は何時でも勝手に、何の會釋もなく襖を引開ける。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「誰?」と言いかけて走り出で、障子の
隙間
(
すきま
)
より
戸外
(
おもて
)
を見しが、彼は早や町の
彼方
(
かなた
)
に
行
(
ゆ
)
く、その後姿は、隣なる広岡の家の
下婢
(
かひ
)
なりき。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頷首いた彦兵衛の姿が、台所の薄暗がりを通して
戸外
(
おもて
)
の方へ消えてしまうと、置場へ引っ返して来た藤吉は、検視の役人へ声を掛けた。
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
急度
(
きつと
)
相違のない樣に直に調達致して來ようとつかと
戸外
(
おもて
)
へ出たるは其日も已に
暮合
(
くれあひ
)
すぎなり
开
(
そ
)
も此家には妻子もなく
一個住
(
ひとりずみ
)
にて
玄關番
(
げんくわんばん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
僕はそこで、そっと雨戸に近よって節穴から
戸外
(
おもて
)
を見ると、はるか向こうに寺の屋根が見え、眼のまん前に寺の門が見えました。
塵埃は語る
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
……あなたは、落したときめこんで、しきりに
戸外
(
おもて
)
ばかり探すが、私にすれば、どうも家の中にあるように思われてならないんですがねえ
顎十郎捕物帳:02 稲荷の使
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
沁
(
し
)
んみりと云う。じっと泥舟を見つめる。そして
裳
(
も
)
を曳く人の如く、遅々と、名残惜しそうに、道場の裏戸から静山は
戸外
(
おもて
)
へ立ち去る——
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
直
(
すぐ
)
に
起
(
た
)
ってそこの廊下の雨戸を一枚
明
(
あ
)
けて、立って待っておると
戸外
(
おもて
)
は
朧
(
おぼろ
)
の夜で庭の
面
(
おも
)
にはもう薄雪の一面に降っていた。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
余りの事に振向いて見た、が、此時は既に此等革命の健児の半数以上は生徒昇降口から嵐に狂ふ木の葉の如く
戸外
(
おもて
)
へ飛び出した所であつた。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
友も
稍
(
やゝ
)
酔つた様子で、
漸
(
やうや
)
く
戸外
(
おもて
)
の
闇
(
くら
)
くなつて行くのを見送つて居たが、不意に、かう
訊
(
たづ
)
ねられて、われに返つたといふ風で
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「五味多四郎様! 五味多四郎様! どうぞお返しくださりませ、宗介天狗の
黄金
(
こがね
)
の
甲冑
(
かっちゅう
)
、どうぞお返しくださりませ!」
戸外
(
おもて
)
の声は
尚
(
なお
)
叫ぶ。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
就いてはこれといふ証拠が無くちや口が出ませんから、何とか
其処
(
そこ
)
を突止めたいのだけれど、私の
体
(
からだ
)
ぢや
戸外
(
おもて
)
の様子が
全然
(
さつぱり
)
解らないのですものね
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そのお祖母樣に連れられて
戸外
(
おもて
)
に出ると、自分が生れた時、お祖母樣の懷に抱かれて、お宮詣に來たといふ神社の前で
貝殻追放:016 女人崇拝
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
そして、むつまじく飲んでいるうちに、何だか
戸外
(
おもて
)
が騒々しくなって来た。日が沈むと、村の往還は人通りも絶える。
田舎風なヒューモレスク
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と立上りながら振切って百度の
籤
(
くじ
)
をぽんと投付けると、柳田典藏の顔へ
中
(
あた
)
ったから
痛
(
いと
)
うございます。はっと
面
(
つら
)
を押えて居るうち
戸外
(
おもて
)
へ駈出しました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
両人
(
ふたり
)
は酔って、
戸外
(
おもて
)
へ出た。酒の勢で変な議論をしたものだから、肝心の一身上の話はまだ少しも発展せずにいる。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
昨日やって来た男が、わたしの見ている目の前で、わたしの毛皮外套をいとも悠々と外套掛からはずして、小脇にかかえ込み、ぷいと
戸外
(
おもて
)
へ飛び出した。
正直な泥棒:――無名氏の手記より――
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
『もう
澤山
(
たくさん
)
よ——もう
伸
(
の
)
びたかないわ——
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り、
戸外
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
られなくなつて
了
(
しま
)
つてよ——
眞箇
(
ほんと
)
にあんなに
飮
(
の
)
まなければ
好
(
よ
)
かつた!』と
獨語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そして三四郎の書斎に
充
(
あ
)
てられた別室へ陣取ると、
戸外
(
おもて
)
の美木も呼び込んで、ひと通り事情を聴取しはじめた。
寒の夜晴れ
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
彼が
戸外
(
おもて
)
へ出ると、外はもう宵よりも混乱の度を加えていた。そのうえ時々、タウベが落す爆弾の炸裂する声が、激しい
騒擾
(
そうじょう
)
に更に恐怖と不安とを加えた。
勲章を貰う話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私はすっかり服装を改めて、
対
(
つい
)
の大島の上にゴム引きの
外套
(
がいとう
)
を
纏
(
まと
)
い、ざぶん、ざぶんと、甲斐絹張りの洋傘に、
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くたたきつける雨の中を
戸外
(
おもて
)
へ出た。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
顔を洗ひに
戸外
(
おもて
)
に出ようとその障子を引きあけて、またわたしは驚いた。丁度真正面に、広々しい野原の末の中空に、富士山が白麗朗と聳えてゐたのである。
木枯紀行
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
と
眉
(
まゆ
)
を
皺
(
しわ
)
むる折も折、
戸外
(
おもて
)
を通る納豆売りの
戦
(
ふる
)
え声に覚えある奴が、ちェッ
忌々
(
いまいま
)
しい
草鞋
(
わらじ
)
が切れた、と打ち
独語
(
つぶや
)
きて行き過ぐるに女房ますます気色を
悪
(
あ
)
しくし
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、おばあさんはいいました。
辰吉
(
たつきち
)
は、それをほんとうだと
信
(
しん
)
じました。それからは、
毎晩
(
まいばん
)
のように、
戸外
(
おもて
)
に
出
(
で
)
て、
青黒
(
あおぐろ
)
い、
夜
(
よる
)
の
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
く
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
を
見上
(
みあ
)
げました。
木に上った子供
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
戸外
(
おもて
)
では生活の営みがいろいろな物音を立てているのに、清逸の部屋の中は秋らしくもの静かだった。清逸は自分の心の澄むのを部屋の空気に感ずるように思った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そこの窓際まで来て、雨戸を開けて、
恰
(
あだか
)
も
戸外
(
おもて
)
の人と
談
(
はなし
)
をしているかの様子であった、
暫時
(
しばらく
)
して、
老爺
(
おやじ
)
はまた戸を閉めて、手に何か持ちながら
其処
(
そこ
)
の座に戻って来たが
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
或人が
不斗
(
ふと
)
尋ねると、
都々逸
(
どどいつ
)
端唄
(
はうた
)
から
甚句
(
じんく
)
カッポレのチリカラカッポウ
大陽気
(
おおようき
)
だったので、
必定
(
てっきり
)
お客を呼んでの
大酒宴
(
おおさかもり
)
の
真最中
(
まっさいちゅう
)
と、
暫
(
しば
)
らく
戸外
(
おもて
)
に
佇立
(
たちどま
)
って
躊躇
(
ちゅうちょ
)
していたが
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お神さんと
忙
(
あわた
)
だしく台所先で小女が呼んだので、何だねと
談話
(
はなし
)
半分で女房が立って行ったを幸いに、逃げるように貞之進は
戸外
(
おもて
)
へ出て、巻煙草を置忘れたことに気が附いたが
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
『こんなことでは
本当
(
ほんとう
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
にも
何
(
なん
)
にもなりはしない。
気晴
(
きば
)
らしに
少
(
すこ
)
し
戸外
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ましょう……。』とうとう
私
(
わたくし
)
は
単身
(
ひとり
)
で
滝
(
たき
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
を
出
(
で
)
かけ、
足
(
あし
)
のまにまに、
谷川
(
たにがわ
)
を
伝
(
つた
)
って
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
文三は
狼狽
(
あわ
)
てて
告別
(
わかれ
)
の挨拶を
做直
(
しな
)
おして
匇々
(
そこそこ
)
に
戸外
(
おもて
)
へ立出で、ホッと一息
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「ああ、」とマリちゃんが
言
(
い
)
った。「わたしは、
戸外
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
るまでは、
悲
(
かな
)
しかったが、もうすっかり
胸
(
むね
)
が
軽
(
かる
)
くなった! あれは
気前
(
きまえ
)
のいい
鳥
(
とり
)
だわ、わたしに
赤
(
あか
)
い
靴
(
くつ
)
をくれたりして。」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
彼は大聲で下僕を呼び、すぐに此奴を
戸外
(
おもて
)
へ掴み出せと怒鳴るのである。彼は自殺用のピストルをいぢりながら、昨夜の馬鹿氣た行爲を後悔し、毒蛇のやうな自己嫌忌に惱まされる。
酒に就いて
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
或
(
ある
)
晩
最早
(
もう
)
家
(
いえ
)
の人も
寝鎮
(
ねしずま
)
って、夜も大分
更
(
ふ
)
けた頃に、
不図
(
ふと
)
戸外
(
おもて
)
で「お母さん、お母さん、」と呼ぶ従兄の声がするので、伯母もその男も、共に眼を覚して、一緒に玄関まで出て、そこの扉を開けて
感応
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
「やいやい待て。そして
戸外
(
おもて
)
へ出ろ。喧嘩をしてやるから——」
黒谷村
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
刻一刻に
怺
(
こら
)
へ性がなくなつて、なん度となく
戸外
(
おもて
)
へ出ては木立の影が少しでも長くならないかと、そればかり眺め眺めしたものぢや。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
同時に、
戸外
(
おもて
)
を
山手
(
やまて
)
の
方
(
かた
)
へ、からこん/\と
引摺
(
ひきず
)
つて行く
婦人
(
おんな
)
の
跫音
(
あしおと
)
、私はお辻の
亡骸
(
なきがら
)
を見まいとして
掻巻
(
かいまき
)
を
被
(
かぶ
)
つたが、案外かな。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其の時
戸外
(
おもて
)
には
余程
(
よほど
)
前から雨が降つてゐたと見えて、点滴の響のみか、夜風が屋根の上にと梢から払ひ落すまばらな雫の音をも耳にした。
花より雨に
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
竹童
(
ちくどう
)
と
蚕婆
(
かいこばばあ
)
の
問答
(
もんどう
)
をよそに
土
(
ど
)
べっついの火にむかって
煙草
(
たばこ
)
をくゆらしていた
脚絆
(
きゃはん
)
わらじの男が、ふいに
戸外
(
おもて
)
へ飛びだしてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五時になると、四人がいっせいに起き出す。
朝飯
(
あさはん
)
を喰べている間にサッサと寝床を片づけ、
寝袋
(
スリーピング・バッグ
)
をよくたたいて
戸外
(
おもて
)
へ
乾
(
ほ
)
す。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
両人
(
ふたり
)
は
酔
(
よ
)
つて、
戸外
(
おもて
)
へ
出
(
で
)
た。
酒
(
さけ
)
の勢で変な議論をしたものだから、肝心の一身上の話はまだ少しも発展せずにゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
友だちはそこそこに帰って行く清三の後ろ姿を
怪訝
(
けげん
)
そうに見送った。後ろで石川の笑う声がした。清三は不愉快な気がした。
戸外
(
おもて
)
に出るとほっとした。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
と床を敷く間新吉は煙草を
喫
(
の
)
んでいると、
戸外
(
おもて
)
の処は細い土手に成って下に
生垣
(
いけがき
)
が有り、土手下の
葮
(
よし
)
蘆
(
あし
)
が茂っております
小溝
(
こみぞ
)
の処をバリ/\/\という音。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
家
(
うち
)
の中よりは
戸外
(
おもて
)
の方が未だ可いので、もう
些
(
ち
)
と歩いてゐる中には
復
(
をさま
)
りますよ。ああ、
此方
(
こちら
)
がお宅ですか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何方
(
どつち
)
も其時半紙何帖かを水引で結んだ御褒賞を貰つたので、私は流石に子供心にも
情
(
なさけ
)
ない樣な氣がして、其授與式の日は、學校から歸ると、
例
(
いつも
)
の樣に
戸外
(
おもて
)
に出もせず
二筋の血
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
突然、
戸外
(
おもて
)
にあわただしい跫音がして、がらりと格子があいた。一拍子に飛び込んで来た異様な男。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
扨ものつそりは気に働らきの無い男と呆れ果つゝ、これ棟梁殿、此
暴風雨
(
あらし
)
に左様して居られては済むまい、瓦が飛ぶ樹が折れる、
戸外
(
おもて
)
は
全然
(
まるで
)
戦争のやうな騒ぎの中に
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
その時、
遥
(
はる
)
か
戸外
(
おもて
)
に当たって
咽
(
むせ
)
ぶがような泣くがような
哀々
(
あいあい
)
たる声が聞こえて来た。それは大勢の声であり、あたかも合唱でもするかのように声を合わせて叫んでいるらしい。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は身震いを一つすると一緒に、前後も見ずに
裸足
(
はだし
)
のまま、
戸外
(
おもて
)
へ飛び出してしまった。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
病気と云って学校へも
行
(
ゆか
)
ず打臥して居たが、
点燈頃
(
ひともしごろ
)
むっくり
起
(
おき
)
て
戸外
(
おもて
)
へ出で、やがて小さな鉄鍋に何やら盛って帰って来て、また床に這入って夜の一時とも思う頃
徐々
(
そろそろ
)
頭を挙げ
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
“戸外”の意味
《名詞》
家の外。屋外。
(出典:Wiktionary)
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
外
常用漢字
小2
部首:⼣
5画
“戸外”で始まる語句
戸外運動
戸外歩心