正直な泥棒しょうじきなどろぼう――無名氏の手記より――――むめいしのしゅきより――
ある朝、わたしが役所へ行こうと思って、すっかり支度をしてしまったところへ、アグラフェーナが部屋へ入って来た。これはわたしの台所女でもあり、洗濯女でもあり、家政婦でもあったが、驚いたことには、わたしと話をはじめたものである。 今までのところ、 …