“蝕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むしば51.1%
19.4%
むし7.2%
むしく5.8%
しょく5.8%
しよく3.6%
おか1.4%
くさ0.7%
くら0.7%
0.7%
0.7%
むしくひ0.7%
むしばま0.7%
むしばみ0.7%
0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その一ときのうれしさは云いようもないが、日がたつに従い、足の裏はセメントにむしばまれ、どうにも跛行を引かずにいられなくなった。
そして、睫毛の黒さや、小麦色のあらい皮膚。笑うと、虫のっている味噌ッ歯の見える唇もとまでが、蝦夷萩と、そっくりである。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヘタヘタと崩折くづをれたところを見ると、長い間の不養生にむしばまれて、此女の肉體は見る蔭もない哀れなものです。
ともかくノートは、板の間の埃塗ほこりまみれの円柱の蔭から、積んであったルナンやパピニの基督キリスト伝の下から、むしくいだらけになって現れた。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
またいわく尾ある猴は月減ずる時甚だ欝悒うつゆうし新月を望んで喜び躍りこれを拝むと、他の諸獣も日月しょくおそるるを見るとさような事もありなん。
地平線に接する處に、我身を距ること甚だ遠からず、青光まばゆき一星ありて、その清淨なる影は波面なみのもに長き尾を曳けり。われは俄に彼星の、譬へば日月のしよくの如く、其光を失ふを見たり。
注射器を使って子宮の中に剥離剤を注入すれば、その薬品が皮膚をおかすため、胎児と子宮壁とをつないでいる部分のやわらかい皮が腐蝕して脱落し、堕胎の目的を達するのだった。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分の列車は幾年いくとせ雨風にたたかれて真赤に錆びくさった廃線の上を死物狂いに突進している! 車輪は錆びた鉄路の上で物すごい叫び声を発して行く!
今はかの当時、何を恥じ、何をいかり、何を悲しみ、何を恨むともわかち難き感情の、はらわたたぎりし時は過ぎて、一片の痛恨深くして、人知らずわが心をくらうのみ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
その古株から新しい花を咲かせるには、毎年、冬にかかるころ、虫のいた古株をって、新芽の育つように剪定せんていしてやる。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれ身體からだやつれを自分じぶんでもつた。かれこのねんあひだ持病ぢびやう僂麻質斯レウマチス執念しふねほね何處どこかをみつゝあるやうにかんじた。あつ季節きせつになればかならいきほひをひそめた持病ぢびやうかれわすれてらなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かれすこしばかりあましてあつたたくはへからむしくひでもなんでもはしらになるやら粟幹あはがらやらをもとめて、いへ横手よこてちひさな二けんはうぐらゐ掘立小屋ほつたてごやてる計畫けいくわくをした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
暗黒の恐怖にむしばまれながら、ぼんやり地上に立っているより、たとえそれ以上の恐ろしいことが、あの地下の室にあるにしても、自分から行ってその恐ろしさを、経験した方が有意味であると
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おしい事に、雨露うろ霜雪そうせつさらされ、むしばみもあり、その額の裏に、彩色した一叢ひとむらの野菊の絵がほのかに見えて、その一本ひともとの根に(きく)という仮名かながあります。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
永くまたこのんだ額をあげないであらう。
測量船拾遺 (新字旧仮名) / 三好達治(著)