“くら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クラ
語句割合
15.0%
13.4%
8.6%
7.1%
6.7%
6.7%
5.4%
4.2%
4.1%
4.0%
3.6%
3.2%
2.5%
2.0%
1.7%
1.3%
土蔵1.2%
0.7%
0.7%
0.6%
生活0.6%
0.6%
倉庫0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
久良0.3%
0.2%
内蔵0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
土藏0.1%
比較0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
塗籠0.1%
眩暈0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
消光0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.0%
倉廩0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
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宝蔵0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
暗昧0.0%
0.0%
曚昧0.0%
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0.0%
0.0%
活計0.0%
0.0%
生計0.0%
眩惑0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
穀倉0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
藏庫0.0%
0.0%
酒庫0.0%
銀行0.0%
0.0%
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0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
よるもうっかりながしのしたや、台所だいどころすみものをあさりに出ると、くらやみに目がひかっていて、どんな目にあうかからなくなりました。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
妾はここまで聞いているうちに眼のくらむのをおぼえました。よくその場にたおれてしまわなかったか今でも不思議に思うくらいです。
華やかな罪過 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
殺したに違いあるまい。うんにゃ、隠したって駄目だ。お上の眼はくらませても俺の眼は誤魔化ごまかせねえ。あの水の中で、しゃけのように腹を
「なんの、なんの、丞相の寛濶かんかつな度量は、何ものにも、くらべるものはありません。誰よりも、それがしが深く知っておるつもりです」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「貴さまとは警官に向つて無禮だぞ!」巡査も少し身がまへをして、「おれをそんなに馬鹿にする氣なら、鐡拳をくらはせて見せる!」
いま敵國てきこくふかをかして、邦内はうない騷動さうどうし、士卒しそつさかひ(一七)暴露ばくろす。きみねてせきやすんぜず、くらうてあぢはひあましとせず。百せいめいみなきみかる。
枯木が密集した森林のあるところ、一望皚々がいがいの急勾配のところ、山と山との繋がりで馬のくらのようになったところ——を通りました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「加納屋の番頭の忠吉ですよ、——ケチで高慢で女道樂がひどい主人にくらべると、忠實まめで正直で働き者で話のわかる、良い男ですよ」
平常ふだんから心掛の良い、少し氣の弱いお吉が、どんなに嫉妬しつとに眼がくらんだにしても、そんな大それた事を仕出かさうとは思はれません。
汝の悪は、王莽おうもうに超え、汝の姦佞かんねいなことは、董卓とうたく以上だ。いまに見よ。天下ことごとく汝をころして、その肉をくらわんと願うであろう
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さう云ふひとつてごす時間が、本当の時間で、穴倉で光線の試験をしてくら月日つきひは寧ろ人生に遠い閑生涯と云ふべきものである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つみおとし入んと計りくらき夜に昌次郎と兩人ふたりにて男女をころし悴娘の着類をきせ兩人の首をきつて川へ流せしおもむき最早兩人より白状はくじやうに及びしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人共、昨夜は、納戸頭奥田孫太夫なんどがしらおくだまごだゆうたちと共に、什器じゅうき諸道具を、鉄砲洲のおくらから徹夜で運んで、一睡もして居ないのであった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちに、城中の軍資を入れてあるくらのなかから銀数百両と銭数千びんが紛失したことが発見されて、その賊の詮議が厳重になった。
見ると、べつな一列が横から出て来て、道誉の列の先頭と交叉こうさしかけ、どっちも道をゆずろうとせず、威嚇いかくのしくらべになったものらしい。
またくらのようなものは、おほくは今日こんにち奈良なら正倉院しようそういん御倉おくらなどにるような、みあはせた校倉あぜくらといふものであつたとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
けれどもその騒ぎは、何時いつの間にか土蔵くらから屏風や、燭台や、煙草盆や、碁盤やを運び出す忙しさに変つて居るのが例でした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ことながあひだ野田のだ身上しんしやうつて近所きんじよくら親方おやかたをしてるのが郷里きやうりちかくからたので自然しぜん知合しりあひであつたが、それが卯平うへい引退いんたいすゝめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
諸手もろてをばいましめられたり。我身上みのうへは今や獵夫さつをに獲られたる獸にも劣れり。されど憂に心くらみたる上なれば、苦しとも思はでせくゞまり居たり。
弘法大師は『宝鑰ほうやく』という書物の中で、「生まれ、生まれ、生まれ、生まれて、生の始めに暗く、死に、死に、死に、死んで、死の終わりにくらし」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
殊にわしは、家に母上の笑顔えがおがあり、家族どもがみな嬉々ききとして生活くらしていてくれれば、何よりも自分も楽しいことと思う
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だんだん足が長くなって来たのは驚くべきくらいである、足の短かい顔の大きな女はやがて日本から消滅するかもしれない、すると間もなく
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
君子は倉庫くらのなかにしまってあった抱茗荷紋のある琴のゆたんを外し、お高祖頭巾のようにかぶってその夜、ふけてから未亡人の部屋に忍んで行った。
抱茗荷の説 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
七三君は賢弟と南おもてえきして遊ばせ給ふ。掃守かもりかたはらに侍りて七四このみくらふ。文四がもて来し大魚まなを見て、人々大いにでさせ給ふ。
死んでからはその屍骸を獣がくらい、鳥がついばみ、四肢が分離して流れ出し、なまぐさい悪臭が三里五里の先まで匂って人の鼻をき、皮膚は赤黒しゃくこくとなって犬の屍骸よりも醜くなること
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
苦味くみ丁幾ちんきを服し、ペプシンを服し、粥を煑て吸ひ、フランス麪麭をあがたひてくらひ、壓し麥を喫ふのを見ることは多いが、咀嚼時間を長くして
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あるじの善七が考えていると、そのまに、四国屋のお久良くらと手代の新吉は、案内もなしに奥の廊下へバタバタと走りこんでしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軒下あるいは塀の蔭よりばらばらと飛出とびいだして、お使番を引僵ひきたおし、蹴って踏んでくらわして、「此奴等こいつら、人を乞食にしやあがる。へん、よしてもくりや、余計なお世話だ。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一条ではまだ前夜のまま宮が内蔵くらからお出にならないために、女房たちが
源氏物語:40 夕霧二 (新字新仮名) / 紫式部(著)
くらのにほひを仰がざらむ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
貫一は彼をて女をぬすみてはしる者ならずや、とまづすいしつつ、ほ如何にやなど、飽かず疑へる間より、たちまち一片の反映はきらめきて、おぼろにも彼の胸のくらきを照せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私は海に溺れかゝつた人のやうに段の中途に立ち止まつては動悸を休めたが、すると忽ち段々の四方八方から強烈な光線が射返して来るので、急に立ちくらみがして、膝頭がガクガクふるへた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「それに、傳之助叔父さんはあの時、土藏くらの中に入つて居ました」
なかなかよく練れていそうである。それと比較くらべるとこちらの二人はどんなものかな。これも非常に気が合って、それで二人とも駄々っ子で、何か野呂間のろまのようでもある。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
さう思ふと、生きてゐた時、その時、その場の恋をした女達、わかれた後忘れてしまつた女達に、また逢ふことの出来るのはくらいあの世のさむしい河のほとりであるやうな気がしてくる。
雪の日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
住職はそれから女と喬生を西門の外へ葬ったが、その後、雨曇りの日とか月のくらい晩とかには、牡丹燈をけた少女を連れた喬生と麗卿の姿が見えて、それを見た者は重い病気になった。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
御者は黙してうなずきぬ。たちまち鞭の鳴るとともに、二頭の馬は高くいななきて一文字にだせり。不意をくらいたる乗り合いは、座にたまらずしてほとんどまろちなんとせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あゝわがおもひくらぶればことばの足らず弱きこといかばかりぞや、而してこの想すらわが見しものに此ぶればこれをすこしといふにも當らじ 一二一—一二三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
筒井は扉にしっかりつかまり少時うごかなかった。貞時はそれを知らず、筒井は急いで塗籠くらから下りて行った。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
あたりは、ギラギラと、目も眩暈くらむような、明るい真夏の光線に充たされていた。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
それは、佐藤藤野といふ、村ではくらべる者の無い程美しい女の兒が、突然一年生に入つて來た事なので。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
くらわせるぞ畜生。芽出度過ぎて運の尽きとるじゃないか』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夫婦に子供二人のくらしだ。
戦話 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
母親と祖父じいとがあって、はじめは、湯島三丁目に名高い銀杏いちょうの樹に近い処に、立派な旅籠屋はたごや兼帯の上等下宿、三階づくりやかたの内に、地方から出て来る代議士、大商人おおあきんどなどを宿して華美はで消光くらしていたが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれらが、火砲をふり立てて、うす暗いくらの中から出て来る恰好は、まるで穴をはい出る猛獣とちがわない。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
まだくらし、はるけきは鴻荒あらきへり。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
呉の元年よりここに至るまで、日を積むこと久しく、慮を致すことくわしくして、一代の法始めて定まり、朱氏しゅしの世を終るまで、獄を決し刑を擬するの準拠となりしかば、後人をして唐にくらぶれば簡覈かんかく
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ドオデエも「風車小屋だより」のなかにかいておいた、あのいなごの大群。……こいつは、まつたくあれに似た凄じさだ。天日をくらくして薨々とむらがり飛ぶ、斯螽。索々と鳴る、その翅音。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
岩窟いわむろは、沈々とくらくなって冷えて行く。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
わたくしは暦道にくらいが、南畝が歿した年の二月中に八日、十八日、二十八日の戊日のあることを推算し得た。そこで十八日を以て春社となした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
もとわたくしは支那の古医書の事にはくらいが、此にちとの註脚を加へて、遼豕れうしそしりを甘受することとしよう。病源候論は隋の煬帝やうだいの大業六年の撰である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
日高郡川又で聞いたは、この物倉廩くらこもる事往々ありと。
大俗の大雅にくらぶべきや否やは知らねど、我は憤慨のあまりに書を売り筆を折りて、大俗をもつて一生を送らんと思ひ定めたりし事あり、一転して再び大雅を修めんとしたる時に、産破れ、家すたれて
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
昌黎しやうれいまこととせず、つまびらか仔細しさいなじれば、韓湘かんしやうたからかにうたつていはく、青山雲水せいざんうんすゐくついへ子夜しや瓊液けいえきそんし、寅晨いんしん降霞かうかくらふ。こと碧玉へきぎよく調てうたんじ、には白珠はくしゆすなる。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あおざめた怪しげな顔つきの者や放逸な口つきの者が、くらうべき餌食えじきと時とを待ち受けながら、人雪崩なだれの中に潜んでいた。どろが掘り返されていた。一歩ごとに群集の流れは濁っていった。
「あんまりからかっていると、仕舞には舞台へ飛びあがって、太平次にでもくらいつくかも知れねえ。あぶねえ、あぶねえ。もうおよしなせえ。」
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
復讐として肉をくらい髄をすするとも飽かないような深怨を結ばせて、ますます陰険、醜陋、残忍を以て終始する政界の私闘を助長する危険があると思います。
選挙に対する婦人の希望 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
臂肘甚だ長く、屡長臂を山巓に伸べて数千の貝子を東溟の中に撮り、其のくらひ、殻を茲の地に棄つ。委積して丘の如し。郷人其の神を称して手長明神と謂ふ。委殻の地之を貝塚と謂ふ。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
(三峰の権現さまの宝蔵くらをやぶって、たくさんなおかねを盗み出した盗賊は、きっとこの二人にちがいない)
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その言いしれぬ肉のおもいを含んだ笑い声が、光の薄い湿っぽい待合室に鳴り渡って人の心を滅入めいらすような戸外そとの景色にくらべて何となく悲しいような、またあさましいような気がして来る。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
倉はくらを意味し、高倉神社の起原もそれと関聯かんれんしたもので、以仁王のことは後に結び付けられたものではあるまいかと思う、しかし確なことは実地を知らぬので何とも云えない。
尾瀬の昔と今 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
往々雨の丘より丘に移るに当たりて、あるいは近くあるいは遠く、あるいはくらくあるいは明らかに
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それから、自分の顔と能力とを他人にくらべた。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
襟首を取って伏せて、長煙管ながぎせるせなかくらわすという仕置。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おしなべて暗昧くらきが中に燦然と人類の叡智光るたふとし
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
内藤岡ノ二士及ビ泥江春濤円桓同ジク舟ニ入ル。きょうともそなわル。潮ハまさニ落チテ舟ノ行クコトはなはすみやカニ橋ヲ過グルコト七タビ始メテ市廛してんヲ離ル。日すでくらシ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ある時は花の精のようにまぶしく、又、ある時は悪魔のようになやましく……そうして私はそれを見ていると、何故かわからずに思念おもい曚昧くらく、哀しくなって来るのでした。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
左の眼尻めじり黒子ほくろがあったが、——そんな事さえくらべて見ても、やはり確かに男だった。お蓮は不思議に思うよりは、嬉しさに心をおどらせながら、そのまま体も消え入るように、男のくびへすがりついた。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
くらかげを搖る安樂椅子の
メランコリア (旧字旧仮名) / 三富朽葉(著)
(節信は扇にて良因を一つくらはせる。)
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
賣喰うりぐひなし迂濶々々うか/\活計くらして居たりしが吉兵衞倩々つく/″\思ふ樣獨身成ば又元の出入の家々へ頼みても庖丁はうちやうさへ手にもつならば少しもこまらぬ我が身なれど此兒の有故家業かげふも出來ず此上居喰にする時は山を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この我がおしえおぼえて決してそむくことなかれとねんごろにいましめ諭して現世このよりければ、兄弟共に父の遺訓にしたがひて互ひに助けあひつつ安楽に日をくらしけり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「へッ! うまいことを言っている。成程本郷の女学校に行っていた、というから、もしそうだとすれば、何うせ野合者くっつきものだ。そうでなければ生計くらしかねて、母子おやこ相談での内職か。」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
しかし壮観みものはそればかりではなく、すぐに続いて見事な業が、見物の眼を眩惑くらました。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このの善美は今日まで余の眼をくらませり、如何いかにしてその富源を開かんか、如何なる国民教育の方針を取らんか、如何なる政略を以て海外に当らんか、その世界に負う義務と天職とは如何いかん
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
何事にも、いわゆる再三謙辞して、しこうして受く、というのが礼節とされている。まして天下のそしりをくらますには、より厳かに、その退謙たいけんと辞礼を誇大に示すのが、策を得たものではないでしょうか。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木村は新聞社の事情にはくらいが、新聞社の芸術上の意見が三面にまで行き渡っていないのを怪みはしない。
あそび (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかしてかくあしく耕すことのいかなる收穫かりいれに終るやは、程なく知られむ、その時至らばはぐさ穀倉くらを奪はるゝをかこつべければなり 一一八—一二〇
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
全体に内から燃える豊かな同情にとけ合つた強い色調で葡萄酒のくらはひつて居る様な甘い温かな感を人に与へる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
幸臣星がくらさを加え、不軌のすがたを現わしているのは、どうもまことに困ったものだ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
短檠たんけいの灯がくらくなる……
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あの僧尼達は、自分が手を動かさずして世を渡り、そのうえ戒律かいりつを守らないで、婬を貪り、うんくらい、酒を飲んだので、牛馬にして人に報いをさすところだ」
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
藏庫くら河岸かしそろつて、揚下あげおろしはふねぐに取引とりひきがむから、店口みせぐちはしもたおなこと煙草盆たばこぼんにほこりもかぬ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今はかの当時、何を恥じ、何をいかり、何を悲しみ、何を恨むともわかち難き感情の、はらわたたぎりし時は過ぎて、一片の痛恨深くして、人知らずわが心をくらうのみ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「おい、みんな飮め飮め。酒ならいくらでも其處いらの酒庫くらにある。三田公なんかに遠慮する必要はない。こいつはタンクといふあだ名のある男なんだから、みんなで盃をさしてやつてくれ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
「今晩から夜店をしなさるって、昼も夜も出しゃあ、今に銀行くらが建ちましょうよ。」
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
頭腦明敏の小早川隆景が、「我が將卒は土をくらつて而して戰ふ能はず」
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
孔子が「疎食そしくらひ、水を飲み、ひじを曲げて之を枕とす、楽も亦其の中に在り」
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
もっともそう言う女房は少しくらっていたようで、亭主の国府に張合って、朝から濁酒どぶろくでもあおったんでしょう
本邦でも異邦でも蛇が往来まれならぬ官道に夏日臥して動かぬ事がある。これは人馬や携帯品に附いて来る虫や様々の遺棄物をくらうためでもあろう。