くら)” の例文
私が酒が飲めたら自暴酒やけざけでもくらつて、からだこはして、それきりに成つたのかも知れませんけれど、酒はかず、腹を切る勇気は無し、究竟つまりは意気地の無いところから
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
御者は黙してうなずきぬ。たちまち鞭の鳴るとともに、二頭の馬は高くいななきて一文字にだせり。不意をくらいたる乗り合いは、座にたまらずしてほとんどまろちなんとせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白糸はその手にみ着き、片手には庖丁振りげて、再び柄をもて渠の脾腹ひばらくらわしぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さては往来ゆききいとまなき目も皆ひかれて、この節季の修羅場しゆらばひとり天下てんかくらへるは、何者の暢気のんきか、自棄やけか、豪傑か、さとりか、酔生児のんだくれか、とあやしき姿を見てすぐる有れば、おもてを識らんとうかがふ有り
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ことばをはらざるに彼は傍腹ひばらに不意の肱突ひぢつきくらひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)