“昏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
45.5%
くら45.0%
クラ2.4%
くれ1.9%
1.9%
1.0%
くらま0.5%
くる0.5%
こん0.5%
ほのぐら0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
日はすっかりれてしまい、金杉川に面したその片側町は、涼みに出た人たちでにぎわっていたが、誰もその男に注意する者はなかった。
あすなろう (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
汗はしんしんと工人達の背にまろび、百合はあかく咲き極まって酷暑の午後の太陽の光のなかにくらむばかりの強い刺戟を眼に与える。
真夏の幻覚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
空は愈々青澄み、クラくなる頃には、藍の様に色濃くなつて行つた。見あげる山の端は、横雲の空のやうに、茜色アカネイロに輝いて居る。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
聞給きゝたまはゞさぞよろこび給ふべししばなみだくれけるが否々年も行ぬ其方們そなたたち先々まづ/\見合みあはせくれと云を兄弟は聞ず敵討かたきうちに出ると云にも非ず父樣の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
萬法藏院の晨朝ジンテウの鐘だ。夜の曙色アケイロに、一度騷立サワダつた物々の胸をおちつかせる樣に、鳴りわたる鐘のだ。イツぱし白みかゝつて來た東は、更にほの暗いれの寂けさに返つた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
万法蔵院の晨朝じんてうの鐘だ。夜の曙色あけいろに一度騒立さわだつた物々の胸をおちつかせる様に、鳴りわたる鐘のだ。いつぱし白みかゝつて来た東は、更にほの暗いれの寂けさに返つた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
おつぎは釣瓶つるべ竹竿たけざをきたからうちつけるゆきためたて一條ひとすぢしろせんゑがきつゝあるのをた。ちら/\とくらますやうなゆきなか樹木じゆもく悉皆みんな純白じゆんぱくはしらたてて、釣瓶つるべふちしろまるゑがいてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かうむりたるかなさけなきは九郎兵衞殿如何なる前世のかたき同士どうし現在げんざいを分し伯父をひの中で有ながら娘や婿むこかたきなりと後家のお深にくるめられ解死人げしにん願ひは何事ぞと姑くは人をもうらみ身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(『帰正漫録きせいまんろく』に曰く、「覚はこんにして夢は霊、生は正にして死は神、造物の人をして死を謹ましむるゆえんなり」と)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
妻は座席を讓られたと見えて、二等室入口眞近のほのぐらいベンチに、小さい子を背負つた儘腰かけてゐた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
都の姫の事は、子古の口から聴いて知つたし、又、京・難波の間を往来する頻繁な公私の使ひに、文をことづてる事は易かつたけれども、どう処置してよいか、途方にれた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)