くれ)” の例文
聞給きゝたまはゞさぞよろこび給ふべししばなみだくれけるが否々年も行ぬ其方們そなたたち先々まづ/\見合みあはせくれと云を兄弟は聞ず敵討かたきうちに出ると云にも非ず父樣の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勤行ごんぎょうが済み次第参ろうとあって、やがてついて一泊し、明朝出立に臨み前夜通りの挨拶の後、僧また汝が朝始めた業はくれまで続くべしと言って去った。
松原は飛脚ちひさし雪のくれ 一晶いっしょう
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
云べき詞もなく名利みやうりの程もおそろしと兩人涙にくれて居たりしに武藏屋長兵衞は委細ゐさい引受ひきうけて世話をなさんといふ彌々いよ/\打喜び我々夫婦の命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
下女心配でたまらず、そのくれはだしで逃げ帰り、その父兄おどろいていとまを乞いに来たので馬琴不思議に思い、色々聞きただすと右次第、全く小説の妙趣向が浮かんだ欣喜の余りに出た独り言にほかならずと分り
捨るぞや強面つれなきおやうらみなせぞたゞ此上は善人よきひとに拾ひ上られ成長せば其人樣を父母と思ひて孝行かうかうつくすべしと暫時しばし涙にくれたりしがかゝる姿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)