トップ
>
暮
>
くら
ふりがな文庫
“
暮
(
くら
)” の例文
此
(
こ
)
の
二人
(
ふたり
)
は、
母
(
はゝ
)
の
父母
(
ふぼ
)
で、
同家
(
ひとついへ
)
に
二階住居
(
にかいずまひ
)
で、
睦
(
むつま
)
じく
暮
(
くら
)
したが、
民也
(
たみや
)
のもの
心
(
ごころ
)
を
覺
(
おぼ
)
えて
後
(
のち
)
、
母
(
はゝ
)
に
先
(
さき
)
だつて、
前後
(
ぜんご
)
して
亡
(
な
)
くなられた……
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さう云ふ
人
(
ひと
)
に
逢
(
あ
)
つて
過
(
す
)
ごす時間が、本当の時間で、穴倉で光線の試験をして
暮
(
くら
)
す
月日
(
つきひ
)
は寧ろ人生に遠い閑生涯と云ふべきものである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
時候
(
じこう
)
の
變
(
かは
)
り
目
(
め
)
といふものは、
妙
(
めう
)
に
心細
(
こゝろぼそ
)
いやうな氣のするものですね、これはあながち
不自由
(
ふじいう
)
に
暮
(
くら
)
してゐるばかりではないでせうよ。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
ふだんは何一つ光の見えないこの深海にも、ちゃんと楽しく
棲
(
す
)
み
暮
(
くら
)
している動物の世界があるのだ。いや、動物だけではなかろう。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
貧乏
(
びんぼう
)
ながら、こせつかずに
暮
(
くら
)
してゐたことは
乏
(
とぼ
)
しきまゝの
歌
(
うた
)
を
見
(
み
)
て、いかにも
人
(
ひと
)
なつかしい、
善良
(
ぜんりよう
)
なこの
歌人
(
かじん
)
の
性質
(
せいしつ
)
が
思
(
おも
)
はれます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
▼ もっと見る
「大きな声じゃいえないが、こんな物騒や、
暮
(
くら
)
し
難
(
にく
)
さがつづくと、今にまた、由井正雪みてえなのが出るんじゃないかという者もある」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
持し其翌年女子一人出生しければ
夫婦
(
ふうふ
)
の喜び云ばかりなく其名をお
幸
(
かう
)
と
號
(
つけ
)
兩人の中の
鎹
(
かすがひ
)
と此娘お幸が成人するを
明暮
(
あけくれ
)
樂
(
たの
)
しみ
暮
(
くら
)
しけるとぞ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
町の
奥
(
おく
)
さんになって、気持のよい、楽しい
暮
(
くら
)
しをしていたのです。よそへ出かけるときには、ちゃんと、
帽子
(
ぼうし
)
をかぶって行ったものです。
アンネ・リスベット
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
たつた
一人
(
ひとり
)
きりで
暮
(
くら
)
していたというのだからそういう
特徴
(
とくちょう
)
から
判断
(
はんだん
)
してみて、
捜査
(
そうさ
)
の
手懸
(
てがか
)
りは、かえつてつけやすいほどのものであつた。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
『
矢張
(
やは
)
りそうであったか。——
私
(
わたくし
)
はそなたがまだ
息災
(
そくさい
)
で
現世
(
げんせ
)
に
暮
(
くら
)
して
居
(
い
)
るものとばかり
思
(
おも
)
っていました。一たいいつ
歿
(
なくな
)
ったのじゃ……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
餘念
(
よねん
)
もなく
戯
(
たわむ
)
れて
居
(
を
)
るので、
私
(
わたくし
)
は
一人
(
ひとり
)
室内
(
しつない
)
に
閉籠
(
とぢこも
)
つて、
今朝
(
けさ
)
大佐
(
たいさ
)
から
依頼
(
いらい
)
された、
或
(
ある
)
航海學
(
かうかいがく
)
の
本
(
ほん
)
の
飜譯
(
ほんやく
)
にかゝつて
一日
(
いちにち
)
を
暮
(
くら
)
してしまつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
薄
(
うす
)
くらきに
迷
(
まよ
)
ふ
心
(
こゝろ
)
もかき
暮
(
くら
)
されて
何
(
なに
)
と
言
(
いひ
)
入
(
い
)
れん
戸
(
と
)
のすき
間
(
ま
)
よりさし
覗
(
のぞ
)
く
家内
(
かない
)
のいたましさよ
頭巾
(
づきん
)
肩掛
(
かたかけ
)
に
身
(
み
)
はつゝめど
目
(
め
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
名人
(
めいじん
)
とか
上手
(
じょうず
)
とか
評判
(
ひょうばん
)
されているだけに、
坊主
(
ぼうず
)
と
呼
(
よ
)
ぶ十七八の
弟子
(
でし
)
の
外
(
ほか
)
は、
猫
(
ねこ
)
の
子
(
こ
)
一
匹
(
ぴき
)
もいない、たった
二人
(
ふたり
)
の
暮
(
くら
)
しであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もう逃げるのじゃないよといい聞かせて、再び彼を築山のかげに放して
遣
(
や
)
った。その日は一日
降
(
ふり
)
暮
(
くら
)
した。夕方になると彼は私の庭で歌い始めた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
数十年の間山中に
暮
(
くら
)
せる者が、石と鹿とを
見誤
(
みあやま
)
るべくもあらず、全く
魔障
(
ましょう
)
の
仕業
(
しわざ
)
なりけりと、この時ばかりは猟を
止
(
や
)
めばやと思いたりきという。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼等
(
かれら
)
の
白
(
しろ
)
い
手拭
(
てぬぐひ
)
が
聚
(
あつま
)
つて
遙
(
はるか
)
に
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
を
惹
(
ひ
)
く
外
(
ほか
)
師匠
(
ししやう
)
の
家
(
うち
)
に
格別
(
かくべつ
)
の
利益
(
りえき
)
もなく
彼等
(
かれら
)
自分等
(
じぶんら
)
のみが一
日
(
にち
)
を
樂
(
たのし
)
く
暮
(
くら
)
し
得
(
う
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しかし、この村はどの家も、どの家もまったく
貧
(
まず
)
しい
暮
(
くら
)
しをしているので、どこでも清造ひとりを
余計
(
よけい
)
に
養
(
やしな
)
っておけるような家はなかったのです。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
気の置け
相
(
さう
)
にない
連中
(
れんぢゆう
)
だが、まだ
馴染
(
なじみ
)
が浅いので食堂で顔を合す
許
(
ばか
)
り、僕は相
変
(
かは
)
らず二等室へ出掛けて日を
暮
(
くら
)
して居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
處
(
ところ
)
で、
私
(
わたし
)
が
球突
(
たまつき
)
を
初
(
はじ
)
めたのは三田の
文科
(
ぶんくわ
)
の
豫科
(
よくわ
)
生だつた二十一の時で、
秋
(
あき
)
に
例
(
れい
)
のやうにからだを
惡
(
わる
)
くして
伊豆
(
いづ
)
山の
相模屋旅館
(
さがみやりよくわん
)
に一月ほどを
暮
(
くら
)
したが
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そのどの家もめいめいの商売だけでは
暮
(
くら
)
しがたたず、
百姓
(
ひゃくしょう
)
もしていれば、
片手間
(
かたてま
)
には
漁師
(
りょうし
)
もやっている、そういう
状態
(
じょうたい
)
は大石先生の村と同じである。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
すなわちこの様に解釈してこそこの歌、すなわち、「
妹
(
いも
)
が
為
(
た
)
め
菅
(
すが
)
の
実
(
み
)
採
(
と
)
りに
行
(
ゆ
)
きし
吾
(
あ
)
れ
山路
(
やまぢ
)
に
惑
(
ま
)
どひ
此
(
こ
)
の
日
(
ひ
)
暮
(
くら
)
しつ」
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
正直
(
しやうぢき
)
の
頭
(
かうべ
)
に
神
(
かみ
)
宿
(
やど
)
る——
嫌
(
いや
)
な思をして
稼
(
かせ
)
ぐよりは
真
(
ま
)
ツ
正直
(
しやうぢき
)
に
遊
(
あそ
)
んで
暮
(
くら
)
すが
人間
(
にんげん
)
の
自然
(
しぜん
)
にして
祈
(
いの
)
らずとても
神
(
かみ
)
や
守
(
まも
)
らん。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
どうせ
見透
(
みすか
)
され
尽
(
つく
)
すのですから、なまじい夫に対する心のつくりかざりをせず、正直に
無邪気
(
むじゃき
)
にともに
暮
(
くら
)
すべし。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
階下
(
した
)
は弁当や寿司につかう折箱の職人で、二階の六畳はもっぱら折箱の置場にしてあったのを、月七円の前払いで借りたのだ。たちまち、
暮
(
くら
)
しに困った。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
おまえたちはあくびをしたりいねむりをしたりしながら毎日を
暮
(
くら
)
して食事の時間だけすぐ近くの料理屋にはいる
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
千代 空の、空の、大空の、
夜摩
(
やま
)
の国といふところに、ぢぢ様も、父様も、また死んだ
其方
(
そなた
)
の妹も、みんな仲よう
暮
(
くら
)
いておぢやると、最勝寺様が申された。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
自分
(
じぶん
)
の
收入以上
(
しうにふいじやう
)
の
暮
(
くら
)
しをして、
已
(
や
)
むを
得
(
え
)
ぬから
借金
(
しやくきん
)
を
續
(
つゞ
)
けて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
事態
(
じたい
)
であるからして、
左樣
(
さやう
)
な
状態
(
じやうたい
)
の
國
(
くに
)
には
金
(
かね
)
は
貸
(
か
)
さぬと
云
(
い
)
ふのが
英米
(
えいべい
)
の
立前
(
たてまへ
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
わたしはただ、手っとり早く一日を晩まで
暮
(
くら
)
そうと、あせっていた。その代り、夜はぐっすり
眠
(
ねむ
)
った。……子供っぽい無分別も、この際だいぶ役に立った。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
浪
(
なみ
)
に明け浪に
暮
(
く
)
れる日々。それから毎日、海をみて
暮
(
くら
)
していました。
誰
(
だれ
)
やらの
抒情詩
(
じょじょうし
)
ではありませんが、ただ青く遠きあたりは、たとうれば、古き思い出。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
これからは心配なしに遊んで
暮
(
くら
)
せる、と
独言
(
ひとりごと
)
を言いながら、ごろりと
腕枕
(
うでまくら
)
をしてその場に寝てしまいました。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
道子
(
みちこ
)
は
小岩
(
こいは
)
の
色町
(
いろまち
)
へ
身売
(
みうり
)
をした
時
(
とき
)
の
年季
(
ねんき
)
と、
電話
(
でんわ
)
の
周旋屋
(
しうせんや
)
と一
緒
(
しよ
)
に
暮
(
くら
)
した
月日
(
つきひ
)
とを
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
に
数
(
かぞ
)
へ
返
(
かへ
)
しながら
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
それは彼が文字の霊の存在を確かめるために、一つの字を幾日もじっと睨み
暮
(
くら
)
した時以来のことである。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ロミオ それでこそ
予
(
わし
)
への
忠節
(
ちゅうせつ
)
。これを
取
(
と
)
れ。(と金子を與へ)
末長
(
すゑなが
)
うめでたう
暮
(
くら
)
せ。さらばぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
むかしむかし
夫婦者
(
ふうふもの
)
があって、
永
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
、
小児
(
こども
)
が
欲
(
ほ
)
しい、
欲
(
ほ
)
しい、といい
暮
(
くら
)
しておりましたが、やっとおかみさんの
望
(
のぞ
)
みがかなって、
神様
(
かみさま
)
が
願
(
ねが
)
いをきいてくださいました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そしてたいへん
慈悲深
(
じひぶか
)
くて、なんでも
貧乏
(
びんぼう
)
な人たちにめぐんでやり、自分は、
弟子
(
でし
)
の
若
(
わか
)
いお
坊
(
ぼう
)
さんと二人きりで、大きな、ぼだい
樹
(
じゅ
)
のそばの小さな家に、つつましく
暮
(
くら
)
していました。
活人形
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
はい
旧
(
もと
)
は
彼等
(
あすこ
)
で六
道
(
だう
)
銭
(
せん
)
を取つて、どうやら
斯
(
か
)
うやら
暮
(
くら
)
して
居
(
を
)
りましたが、
今度
(
こんど
)
此処
(
こゝ
)
へ
停車場
(
ステンシヨン
)
が
出来
(
でき
)
るに
就
(
つい
)
て、
茶屋
(
ちやゝ
)
を出したら
宜
(
よ
)
からうといふ人の
勧
(
すゝ
)
めに
任
(
まか
)
せて、
茶屋
(
ちやゝ
)
を始めましたが
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
千穂子との間に、
太郎
(
たろう
)
と
光吉
(
こうきち
)
と云う子供があった。あとに残った千穂子は、隆吉の父親の与平の家に引きとられて
暮
(
くら
)
すようになり、骨身をおしまず千穂子は
百姓
(
ひゃくしょう
)
仕事を手伝っていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
要吉の家では、その桃を、
問屋
(
とんや
)
や、かんづめ
工場
(
こうじょう
)
などに売ったお金で一年中の
暮
(
くら
)
しをたてていたのです。夏の
盛
(
さか
)
りになると、紙袋の中で、水蜜桃は、ほんのりと
紅
(
あか
)
く色づいていきます。
水菓子屋の要吉
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
父
(
ちゝ
)
の
存命中
(
ぞんめいちゆう
)
には、イワン、デミトリチは
大學
(
だいがく
)
修業
(
しうげふ
)
の
爲
(
ため
)
にペテルブルグに
住
(
す
)
んで、
月々
(
つき/″\
)
六七十
圓
(
ゑん
)
づゝも
仕送
(
しおくり
)
され、
何
(
なに
)
不自由
(
ふじいう
)
なく
暮
(
くら
)
してゐたものが、
忽
(
たちまち
)
にして
生活
(
くらし
)
は一
變
(
ぺん
)
し、
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
辞表を書いて
懐中
(
かいちゅう
)
に持ちながら諸般の事情によりその提出も出来ず
待機
(
たいき
)
しているという不思議な
運命
(
うんめい
)
の下に
暮
(
くら
)
すこと一年で、昭和十一年の新春に、やっと辞表を
平穏
(
へいおん
)
に出すことが出来た。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
それから
日蔭
(
ひかげ
)
に生まれた平民の子が急に
日向
(
ひなた
)
に出て
金箔
(
きんはく
)
を付けられたのが
嬉
(
うれ
)
しくて、幾らか
虚榮
(
きよえい
)
心に眼を眩まされた形で、
虚々
(
うか/\
)
と日を
暮
(
くら
)
してゐた。何時の間にか
中學校
(
ちうがくかう
)
も
卒業
(
そつげふ
)
して了つた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
さうでした、
權藏
(
ごんざう
)
のことを
言
(
い
)
ふのは
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
ました、
益々
(
ます/\
)
達者
(
たつしや
)
に
暮
(
くら
)
して
居
(
ゐ
)
ます。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
梅桃桜菊色々の
花綴衣
(
はなつづりぎぬ
)
麗しく
引纏
(
ひきまとわ
)
せたる全身像
惚
(
ほれ
)
た眼からは観音の
化身
(
けしん
)
かとも見れば
誰
(
たれ
)
に遠慮なく
後光輪
(
ごこう
)
まで
付
(
つけ
)
て、天女の
如
(
ごと
)
く見事に出来上り、
吾
(
われ
)
ながら満足して
眷々
(
ほれぼれ
)
とながめ
暮
(
くら
)
せしが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何を措いても
差當
(
さしあた
)
り明日の
暮
(
くら
)
しをどうにかしようとして——云はゞどうにもならない
事
(
こと
)
を、どうにかしようとして、とりとめもない
考
(
かんが
)
へをたどりながら、さつきから
朱雀大路
(
すじやくおはぢ
)
にふる雨の音を
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は学生に向っても、常に
奢侈
(
しゃし
)
を
戒
(
いまし
)
めて質素を説き、生活を簡易化することの利得を説いた。
贅沢
(
ぜいたく
)
な
暮
(
くら
)
しをするほど、生活が
煩瑣
(
はんさ
)
に複雑化して来て、仕事に専念することができなくなるからである。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
日曜日
(
にちようび
)
には
教會
(
きようかい
)
から
博物館
(
はくぶつかん
)
へ
來
(
き
)
て
一日
(
いちにち
)
を
愉快
(
ゆかい
)
に
暮
(
くら
)
すのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
ながめ
暮
(
くら
)
してすごしてき
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「いゝえ、
兄
(
あに
)
が
一緒
(
いつしよ
)
ですから……でも
大雪
(
おほゆき
)
の
夜
(
よ
)
なぞは、
町
(
まち
)
から
道
(
みち
)
が
絶
(
た
)
えますと、こゝに
私
(
わたし
)
一人
(
ひとり
)
きりで、
五日
(
いつか
)
も
六日
(
むいか
)
も
暮
(
くら
)
しますよ。」
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
暮
(
くら
)
し
兼
(
かね
)
るも二君に仕へぬ
我魂魄
(
わがたましひ
)
武士の本意と思へども
實
(
げ
)
にあぢきなき
浮世
(
うきよ
)
かなと一人涙を流したる
問
(
とは
)
ず
語
(
がた
)
りの心の中思ひ
遣
(
やら
)
れて
憐
(
あは
)
れなり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
とおもふはなどいふ
調子
(
ちようし
)
は、いかにも
日
(
ひ
)
を
暮
(
くら
)
しかねてゐる
退
(
たい
)
くつな
人
(
ひと
)
のあくびでもしたいような
氣持
(
きも
)
ちが
出
(
で
)
てゐるとおもひます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
暮
常用漢字
小6
部首:⽇
14画
“暮”を含む語句
薄暮
日暮
夕暮
歳暮
年暮
朝暮
鰥暮
旦暮
日暮里
日暮方
御暮
暮秋
田舎暮
野暮
暮方
明暮
暮靄
皆暮
暮春
盆暮
...