“年暮”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くれ89.5%
ねんぼ5.3%
としくれ2.6%
としぐれ2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ちょうど、むすめも二十歳はたちをこえ、市十郎も、お役付きしてよい年配になりまする。では年暮くれのうちに、何かと、支度しておいて」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「時やいま非常、中国の興亡この際にかかる。年暮ねんぼの辞儀を廃さん。歳首さいしゅの祝礼も、敢えて努むには及ばず。それただ敵に尺地せきち寸土もはずかしむるなかれ——」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
明けて二歳になったばかりの牛若うしわかである。たださえかんのつよい子なのに、年暮としくれの戦から夜も易々やすやす寝たことはなく、食物たべものも喰べたり喰べなかったりなので、母乳ちちはすっかり出なくなっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外はもう年暮としぐれの景色であった。赤い旗や紅提灯べにぢょうちんに景気をつけはじめた忙しい町のなかを、お島は込合う電車に乗って、伯母の近所の質屋の方へと心がかれた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)