“薄”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
うす38.4%
すすき30.3%
うっす9.4%
すゝき5.3%
うっ3.6%
せま3.1%
2.8%
うつす2.8%
うつ1.0%
うすっ0.5%
(他:11)2.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“薄”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語6.7%
文学 > 日本文学 > 詩歌3.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)2.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
蛙や蝸牛などのグロテスクなものをうす気味悪い思いをしてまで食べなくとも、巴里パリにはうまい料理がいくらもある。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
泣粧きふしやうしたにのみうす白粉おしろい一刷ひとはけして、ぐいとぬぐく。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
目の前なる砂山の根の、その向き合える猛獣は、すすきの葉とともに黒く、海の空は浪の末に黄をぼかしてぞくれないなる。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……そのすすきさえ、垣根の隅に忍ぶばかり、南瓜のいきおいたくましく、葉の一枚も、烏を組んで伏せそうである。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あら、うっかり、おじさんだと思って、つい。……真紅まっかでしたわ、おとなになって今じゃうっすりとただ青いだけですの。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いい塩梅あんばいに、車は、雨もふりやんだ、青葉の陰の濡色の柱のうっすり青い、つつじのあかるい旅館の玄関へ入ったのである。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むらさきそでくれなゐすそすゝきえ、はぎかくれ、刈萱かるかやから
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とまおほうて、すゝきなびきつゝ、旅店りよてんしづかに、せみかない。
十和田の夏霧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あがり口の右側に二階の梯子段はしごだんうっすらと見えていた。哲郎は女に押あげられるようにされてあがって往った。
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
僧は菅笠すげがさ竹杖たけづえをついていた。緑樹の色がうっすらとその白衣びゃくいを染めて見せた。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
わろか。」と、の刹那に市郎はたちまちに悟ったが、敵が余りに近くせまっているので、火をける余裕が無い。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
百里の遠きほかから、吹く風に乗せられてかすかに響くと思うに、近づけば軒端のきばれて、枕にふさぐ耳にもせまる。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしてしばらくして、顔を上げると、山と山のあいだに、遠く海が見えた。ッすらと、あおもやのように見えた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お浜の住み家であるトタンぶきのあばら屋から、辺りをうかがうようにして、一人の男が戸外のやみのなかに出てきたのである。
南方郵信 (新字新仮名) / 中村地平(著)
日はひるすこし過ぎ、空は高いが、何処どこからとなく、うつすらした雲のかさが、白くよどむで来ては掻き消えてゆく。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かつせえまし、かたからむねあたりまで、うつすらとえるだね、ためしてろで
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さう言つて目賀田は蝙蝠傘かうもりがさを多吉に渡し、痛い物でも踏むやうな腰付をして、二三間離れた橋の袂の藪陰につくばつた。禿げた頭だけがうつすりと見えた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
日がうつすりと光つてゆく、ソフイー。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
婆芸者が土色したうすっぺらな唇をじ曲げてチュウッチュウッと音高く虫歯を吸う。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さて々忠臣義士も当てにならぬ、君臣主従の名分論も浮気なものだ、コンなうすっぺらな人間と伍をすよりも独りで居る方が心持が宜いと説をめて、初一念を守り、政治の事は一切いっさい人に任せて、自分は自分だけの事をつとめるように身構えをしました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今日は風呂日だから、帰ってから湯へ入ったと見えて、目立たぬ程にうッすりと化粧けわっている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その描けるがごとき人の姿は、うッすりと影を引いて、地の上へ黒い線が流るるごとく、一文字に広場を横切って、竹藪を離れたと思うと、やがて吹流しに手拭をかぶった婦人おんなの姿があらわれて立ったが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この薄暮というのは暮れにまる事、また肉薄というのは人々互に押し合いし合い丁度今日電車に乗り込む時の様に相まる事で、ススキの場合もそれと全く同意味である。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
時あたかも英清戦争に際して、清国敗北の風評しきりに聞えければ、ハリスはこれを奇貨とし、歩々ほほまり、遂に安政四年二月に至っては、当時の閣老堀田備中守をして、外国人接待応接の式方を改めこれを優遇せしめ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
長久手の戦ひの屏風絵には、籠を負うて、スヽキなどの青草をさした武者が、二三見えて居る。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
那須さんの所謂郊村に育つた私は、稲の藁を積んだ稲むらを、何故すゝきと謂ふか、合点の行かなかつた子供の時に「スヽキを積んだあるさかいや」と事も無げに、祖母が解説してくれたのを不得心であつた為か、未だに記憶してゐる。
稲むらの蔭にて (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
かまえて下女のことばを信じて大切なるしゅうとしゅうとめ姨のしたしみうすくすべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
焦茶地の縞羅紗しまらしや二重外套にじゆうまわしいつの冬が不用をや譲られけん、尋常なみなみよりは寸のつまりたるを、身材みのたけの人より豊なるにまとひたれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのわけは、火星の表面には、月世界とはちがって空気はあるけれどもその空気はたいへん、きはくであるから、人間はやはり酸素を自分で補給しないと息ぐるしくて平気ではいられないのであった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は音のした方へ馳寄ると、ぼんやりとした夜霧の中を走ってゆくエリスの後姿が影絵のように見えた。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
歩みを止めると、急に恐しい静けさが身にセマつて来る。
身毒丸 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)