“薄”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うす38.5%
すすき29.8%
うっす9.6%
すゝき5.6%
うっ3.3%
2.8%
せま2.8%
うつす2.8%
うつ0.9%
うすっ0.7%
はく0.7%
うッす0.5%
0.5%
スヽキ0.5%
うすき0.2%
うすく0.2%
つま0.2%
ぼんや0.2%
セマ0.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
震災しんさい以来いらい身体からだよわためもあったでしょうが蒐集癖しゅうしゅうへき大分だいぶうすらいだようです。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
きみるや、夜寒よさむふすまうすければ、うらみふか後朝きぬ/″\も、そでつゝまばしのぶべし。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
行綱の病気を見舞ったあとで、千枝松と藻とは手をひかれて近所の小川のふちに立った。今夜は十三夜で、月に供えるすすきを刈りに出たのであった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「わたし休まなくとも、ようございますが、早速お母さんの罰があたって、すすきの葉でこんなに手を切りました。ちょいとこれで結わえて下さいな」
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
外はクワッと目映まぶしいほどよい天気だが、日蔭になった町の向うのひさしには、霜がうっすりと白く置いて、身が引緊るような秋の朝だ。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
が、羽音はしないで、すぐその影にうっすりと色が染まって、おんなすそになり、白い蝙蝠こうもりほどの足袋が出て、踏んだ草履の緒が青い。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かやともすゝきともあしともわからず……なか掻巻かいまきがスーとえる、とおほきへびがのたりと
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その岸には水車が幾個となく懸つて居て、春は躑躅つゝじ、夏はの花、秋はすゝきとその風情ふぜいに富んで居ることは画にも見ぬところであるさうな。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
と、小さな旋風つむじかぜが起ってそれがうっすりとちりを巻きながら、轎夫かごかきの頭の上に巻きあがって青いすだれたれを横に吹いた。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
既に旅人たびとの歌のところで解釈した如く、柔かく消え易いような感じに降ったのをハダラニ、ホドロニというのであって、ただ「うっすらと」というのとは違うようである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なにりませぬが、しばらくぎるとるかきかのように、っすりとやまかげらしいものがあらわれ
いの字ヶ原の草靄くさもやは、かかるあいだにッすらとれかけていた。遠くかすんでいる山の前を、一羽の鳥影が悠々と横ぎってゆく。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし時務の要求がようやく増長しきたって、強いて学者の身にせまったなら、学者がその学問生活をなげうってつこともあろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
百里の遠きほかから、吹く風に乗せられてかすかに響くと思うに、近づけば軒端のきばれて、枕にふさぐ耳にもせまる。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日はひるすこし過ぎ、空は高いが、何処どこからとなく、うつすらした雲のかさが、白くよどむで来ては掻き消えてゆく。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
星明りにうつすりと浮んだ阿寒山の雪が、塵も動かぬ冬の夜の空を北に限つて、川向の一區域に燈火を群がらせた停車場から、鋭い汽笛が反響も返さず暗をつんざいた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さう言つて目賀田は蝙蝠傘かうもりがさを多吉に渡し、痛い物でも踏むやうな腰付をして、二三間離れた橋の袂の藪陰につくばつた。禿げた頭だけがうつすりと見えた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
併し家らしいものは山の臺上だいうへにも臺下だいしたにも見えず、ただその上下うへしたの所々に散點する森や林やの黒い影をうしろにかして、霧のやうなものがうつすり棚曳いてゐるのが、望まれるだけであつた。
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
円輔は細長い膝を小紋縮緬こもんちりめんうすっぺらな二枚襲にまいがさねの上から、てのひらでずらりと膝頭ひざがしらさすり落すこと三度にして、がッくりと俯向うつむき、
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
婆芸者が土色したうすっぺらな唇をじ曲げてチュウッチュウッと音高く虫歯を吸う。
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
右の外、男女の雪帽子ばうし下駄げた其余そのよ種々雪中歩用ほようあれども、はく雪の国に用ふる物にたるはこゝにはぶく。
そのわけは、火星の表面には、月世界とはちがって空気はあるけれどもその空気はたいへん、きはくであるから、人間はやはり酸素を自分で補給しないと息ぐるしくて平気ではいられないのであった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今日は風呂日だから、帰ってから湯へ入ったと見えて、目立たぬ程にうッすりと化粧けわっている。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その描けるがごとき人の姿は、うッすりと影を引いて、地の上へ黒い線が流るるごとく、一文字に広場を横切って、竹藪を離れたと思うと、やがて吹流しに手拭をかぶった婦人おんなの姿があらわれて立ったが
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この薄暮というのは暮れにまる事、また肉薄というのは人々互に押し合いし合い丁度今日電車に乗り込む時の様に相まる事で、ススキの場合もそれと全く同意味である。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
時あたかも英清戦争に際して、清国敗北の風評しきりに聞えければ、ハリスはこれを奇貨とし、歩々ほほまり、遂に安政四年二月に至っては、当時の閣老堀田備中守をして、外国人接待応接の式方を改めこれを優遇せしめ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
長久手の戦ひの屏風絵には、籠を負うて、スヽキなどの青草をさした武者が、二三見えて居る。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
那須さんの所謂郊村に育つた私は、稲の藁を積んだ稲むらを、何故すゝきと謂ふか、合点の行かなかつた子供の時に「スヽキを積んだあるさかいや」と事も無げに、祖母が解説してくれたのを不得心であつた為か、未だに記憶してゐる。
稲むらの蔭にて (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
地寒ちかんのよわきとつよきとによりてこほりあつきうすきとのごとし。
かまえて下女のことばを信じて大切なるしゅうとしゅうとめ姨のしたしみうすくすべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
焦茶地の縞羅紗しまらしや二重外套にじゆうまわしいつの冬が不用をや譲られけん、尋常なみなみよりは寸のつまりたるを、身材みのたけの人より豊なるにまとひたれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は音のした方へ馳寄ると、ぼんやりとした夜霧の中を走ってゆくエリスの後姿が影絵のように見えた。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
歩みを止めると、急に恐しい静けさが身にセマつて来る。
身毒丸 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)