“閃”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ひらめ54.3%
ひら27.3%
せん6.4%
きら3.2%
きらめ3.2%
ひらめき2.0%
ちら0.8%
きっ0.4%
きらめき0.4%
ひか0.4%
(他:8)1.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“閃”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語34.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語10.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)2.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
海軍士官の軍服に気が付いたとき、信一郎の頭に、電光のようにひらめいたものは、村上海軍大尉たいいという名前であった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかも其處そこひらめいてゐたのは、いかりでもなければかなしみでもない、——ただわたしをさげすんだ
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けれども彼の見た細君の態度には、笑談じょうだんとも真面目まじめとも片のつかない或物がひらめく事がたびたびあった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先刻さっき郵便を出してから、神田を散歩して、電車を降りて家へ帰るまで、宗助の頭には小六の小の字もひらめかなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
無碍むげに、一歩でも、手元へ近づいて行った者は、たちまち、相手の一せんを浴びて、あえなき血けむりを揚げてしまう。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どっち側の手が早かったともいえない。青白い一せんがキラとしたせつなに、闇ぐるみ、血の香は、人の全部をくるんでしまった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんだかその波のきらめきも色の調子も空気のこい影もすべて自分のおどりがちな心としっくり相合っているように感じられた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
硝子ガラスの中に彎曲わんきょくした一本の光が、線香煙花せんこうはなびのようにきらめいた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
きらめくはいなづまか、とゞろくはいかづちか。 砲火ほうくわ閃々せん/\砲聲ほうせい殷々いん/\
ここに一際夜の雲のこまやかに緑の色を重ねたのは、隅田へ潮がさすのであろう、水の影か、星がきらめく。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その笑いのうちには相手を翻弄ほんろうし得た瞬間の愉快を女性的にょしょうてきむさぼりつつある妙なひらめきがあった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わが語りゐたる間、かの火の生くるふところのうちにとあるひらめき、俄にかつ屡〻ふるひ、そのさま電光いなづまの如くなりき 七九—八一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
今迄お利代の坐つてゐた所には、長い手紙が拡げたなりに逶迤のたくつてゐた。ちらとそれを見乍ら智恵子は室に入つて、
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ハ、いいえ。』と喉が塞つた様に言つて、山内は其狡さうな眼を一層狡さうに光らして、短かい髯を捻つてゐる信吾の顔をちらと見た。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
間もなく与茂七とお袖は宅悦の家から『藪のやぶのうち』と書いた提燈ちょうちんを借りて出て往った。其の時直助が出て二人の後を見送ってきっとなった。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
怪量はきっとなってそれを見据えたが、やがてその眼がきらりと光った。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あゝ聖靈のまこときらめきよ、その不意にしてかつ輝くこといかばかりなりけむ、わが目くらみて堪ふるをえざりき 七六—七八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わが舌を強くして、汝の榮光のきらめきを、一なりとも後代のちのよの民に遺すをえしめよ 七〇—七二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
毒のはなのような妖女ようじょの手が動いて、黄昏の空気がキラリとひかったのは、彼女のかざした薄刃のナイフだったであろう。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「恋がおこると九寸五分が紫色にひかると云うのです」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
四谷の方の坂から見ると、貧家のブリキ屋根は木立こだちの間に寺院と墓地の裏手を見せた向側の崖下にごたごたと重り合ってその間から折々汚らしい洗濯物をば風にひらめかしている。
女はそういいながら、眼を異様に光らして、籠のあたりを、鼻先をぴくぴくさしている模様が、如何いかにも怪しいので、これはてっきり魔物だと悟ったから、突然その男は懐中にしていた、漁用の刃物をひらめかすが早いか
月夜峠 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
ドイツのタウベ飛行機が、夏の空高く、黒い十字を描いた翼をきらめかしながら、ワルシャワの街の上を飛び回ることがあった。
勲章を貰う話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ぎらつく長いのを引抜いて振り上げたが、寄らば斬らんと小三郎が前後左右へ振廻して居りまするから、寄り附けません。
はりのあるまゆに風を起して、これぎりでたくさんだと締切った口元になおこもる何物かがちょっとはためいてすぐ消えた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
僕の眼に広島上空にひらめくく光が見える。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼方かなたの狐も一生懸命、はたの作物を蹴散けちらして、里のかたへ走りしが、ある人家の外面そとべに、結ひめぐらしたる生垣いけがきを、ひらりおどり越え、家のうちに逃げ入りしにぞ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
郎女は、暫らく幾本とも知れぬその光りの筋の、ヒラメき過ぎた色を、マブタの裏に、見つめて居た。をとゝひの日の入り方、山の端に見た輝きが、思はずには居られなかつたからである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)