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せん
ふりがな文庫
“
閃
(
せん
)” の例文
眩
(
まぶ
)
しいものが一
閃
(
せん
)
、
硝子
(
ガラス
)
を
透
(
とほ
)
して
私
(
わたし
)
の
眼
(
め
)
を
射
(
い
)
つた。そして一
瞬
(
しゆん
)
の
後
(
のち
)
、
小松
(
こまつ
)
の
枝
(
えだ
)
はもう
無
(
な
)
かつた。それは
光
(
ひかり
)
の
中
(
なか
)
に
光
(
ひか
)
り
輝
(
かゞや
)
く
斑點
(
はんてん
)
であつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
周瑜は、からくも馬を拾って、飛び乗るや否、門外へ逃げ出したが、一
閃
(
せん
)
の矢うなりが、彼を追うかと見るまに、グサと左の肩に立った。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし
寸毫
(
すんごう
)
の油断もない。襲って来たら開いて一
閃
(
せん
)
、抜く手も見せじと大刀膝わきに引きよせておいて、じろりと十人の目の動きを窺いました。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あれは青天のへきれきでしたよ! あれは雷が黒雲の間からとどろいて稲妻の矢がさっと一
閃
(
せん
)
ひらめいたのです! さあ
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
と垣に寄添い、うっかりとする
背後
(
うしろ
)
に靴音、はっと見返る眼の
前
(
さき
)
へ、紅燈一
閃
(
せん
)
、
衝
(
つ
)
と立つは、護衛のために見巡る巡査。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
白い剣身に、河原の水明りが
閃
(
せん
)
々と映えて、川浪のはるかかなたに夜鳴きする都鳥と、じっと伸び青眼に微動だにしない、切れ味無二の濡れ燕と——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
電流計の針がブルッと震えたかと思うと、弾かれたようにピーンと右の方へ一
閃
(
せん
)
、たちまち針が飛んでしまった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは一
閃
(
せん
)
にすぎなかった。それでも十分だった。彼はそれを見てとった。彼は彼女がぞっとするような眼つきを注いだ。彼女はその中に
憎悪
(
ぞうお
)
の気持を読みとった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この一
閃
(
せん
)
々
々
(
せん
)
の光の下に、
必死
(
ひっし
)
となってかじをとりつつある、四人の少年の顔が見える。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
一
閃
(
せん
)
、危ふく身をかはした八五郎は、淺井朝丸の二度目の襲撃を
除
(
よ
)
ける暇もありません。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
船長は、入り口の方へ、その「物すごい」目を一
閃
(
せん
)
放っておいて、
椅子
(
いす
)
へ腰をおろした。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
彼は発見したのであったが、それは眼前を通過する一
閃
(
せん
)
の光明にすぎなかった。
ジャン・クリストフ:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
向うの方で、光の
槍
(
やり
)
の最初の一
閃
(
せん
)
が、音もなく空を
劈
(
つんざ
)
く。雨が一滴落ちる。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
矢張り默つた儘で、一
閃
(
せん
)
の
偸視
(
ぬすみみ
)
を自分に注いで、煙を鼻からフウと出す。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
口あけば大青蜥蜴舌ほそく
閃
(
せん
)
々として
青熖
(
せいえん
)
奔
(
はし
)
る
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
陣刀一
閃
(
せん
)
のもとに、彼が前なる一槍を斬り落していたとき、彼のからだは、そのまま横へ泳いで行った。二ヵ所の槍傷に堪えやらず——。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒暗々の夜空をつらぬく一
閃
(
せん
)
の稲妻のごとく、このときお蓮様の心に、すべての事情がうなずかれたのだった。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しゅッと一
閃
(
せん
)
、細身の
銀蛇
(
ぎんだ
)
が月光のもとに閃めき返るや一緒で、すでにもう怪しの男の
頤先
(
あごさき
)
に、ぐいと短く
抉
(
えぐ
)
った刀疵が、たらたら
生血
(
なまち
)
を噴きつつきざまれていたので
旗本退屈男:02 第二話 続旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この時までも目を放たで直立したりし黒衣の人は、濶歩坐中に
動
(
ゆる
)
ぎ
出
(
いで
)
て、燈火を仰ぎ李花に
俯
(
ふ
)
して、厳然として椅子に
凭
(
よ
)
り、
卓子
(
ていぶる
)
に
片肱
(
かたひじ
)
附きて、眼光一
閃
(
せん
)
鉛筆の
尖
(
さき
)
を
透
(
すか
)
し見つ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
クリストフは一
閃
(
せん
)
の光に打たれた時、一つの放電が全身に伝わった。彼はぎくりとして震えた。それはあたかも、海洋の中にあって、暗夜の中にあって、陸地を見出したようなものだった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
とたんに、
抜
(
ぬ
)
きはなたれた
無反
(
むぞ
)
りの
戒刀
(
かいとう
)
、横にないでただ一
閃
(
せん
)
の光が、松の枝にブラさがった大九郎の
胴
(
どう
)
を通りぬけてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
閃
(
せん
)
した左膳の隻腕、乾雲土砂を巻いて栄三郎の足を! と見えたが、ガッシ! とはねた武蔵太郎の
剣尾
(
けんび
)
に青白い火花が散り咲いて、左膳の頬の
刀痕
(
とうこん
)
がやみに浮き出た……と思うまに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一
閃
(
せん
)
の光だった。彼女は彼の首に飛びつき、彼は彼女の腕の中に身を投じた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
振り向いた頭上から、
戛然
(
かつぜん
)
、一
閃
(
せん
)
の白刃がおりてきた。どうかわす間も受ける間もない。魏延の首は血煙を噴いてすッ飛んだ。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寝ている守人の肩へ伸びた
刹那
(
せつな
)
、もうだめと思ったか、むくりと起き上がった守人の手が夜具の下へ行ったかと思うと、隠していた帰雁が、
白刃
(
はくじん
)
一
閃
(
せん
)
! おどり出たと見るまに、早くも捕手の一人
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
李逵
(
りき
)
の一
斧
(
ぷ
)
が、馬の脚を払った。また間髪を入れず、ころげ落ちた
直閣
(
ちょっかく
)
の体へ、次の一
閃
(
せん
)
が
下
(
くだ
)
っていた。噴血、ひと
堪
(
たま
)
りもあろうはずがない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わあーッと
彼方
(
かなた
)
で跳び上がったと思うと、武蔵の刀によって描かれた一
閃
(
せん
)
が、どう斬り下げられたのか、松の皮二尺あまりを薄板のように
削
(
そ
)
ぎ
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このさまを見て、
小婢
(
こおんな
)
の
迎児
(
げいじ
)
は、縄目のまま灌木の中を跳び出して逃げかけた。一
閃
(
せん
)
、楊雄は躍ッて迎児を斬り伏せ、返すやいな、その血刀で
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
無碍
(
むげ
)
に、一歩でも、手元へ近づいて行った者は、たちまち、相手の一
閃
(
せん
)
を浴びて、あえなき血けむりを揚げてしまう。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信長
(
のぶなが
)
の子、
織田城之助
(
おだじょうのすけ
)
は、
小山田
(
おやまだ
)
を見るよりその不忠不人情を
罵倒
(
ばとう
)
して、
褒美
(
ほうび
)
はこれぞと、
陣刀
(
じんとう
)
一
閃
(
せん
)
のもとに首を討ちおとした。——そういう例もある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
豹身
(
ひょうしん
)
低く、短槍の一
閃
(
せん
)
また一閃、富安を突き刺し、あっというまに管営の大きな図う体も
串刺
(
くしざし
)
にしてしまい、つづいて雪の中を逃げまろぶ
陸謙
(
りっけん
)
の影へ向って
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて松の下へ、彼が坐ったと見えたせつなも、一
閃
(
せん
)
のいなびかりが、松のみどりを、ぱっと浮かせた。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「家康ッ!」と、ふいに、耳もとをつんざいた声とともに、闇のうちからながれきたった一
閃
(
せん
)
の光。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
木鹿はさらに一
閃
(
せん
)
、また一閃、呪を念じながら斬りつけたが、三度とも切ッ先は届かない。そしてかえって後ろへ廻った二人の
徒歩
(
かち
)
の
槍手
(
そうしゅ
)
に、大象の腹を突き立てられた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青白い一
閃
(
せん
)
がキラとしたせつなに、闇ぐるみ、血の香は、人の全部をくるんでしまった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかもその途中、道をさえぎる敵将の呉蘭を、馬上のまま一
閃
(
せん
)
に薙ぎ払い、悠々迫らず帰ってきた武者ぶりは、さすが
豹
(
ひょう
)
の子は豹の子、父曹操の若い頃を
偲
(
しの
)
ばせるほどのものがあった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そぼろ助広へ気合がかかれば、お綱の胴か細首かは、ただ一
閃
(
せん
)
に両断される。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と——お綱もまた、廻廊の
角
(
かど
)
で、旅川周馬の白刃に
支
(
ささ
)
えられたが、ハッと驚いたのは一時で、手に提げていた
新藤
(
しんとう
)
五
国光
(
くにみつ
)
の
鵜首作
(
うくびづく
)
りを、無意識に、サッと構えるなり、周馬の小手へ一
閃
(
せん
)
くれた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ逃げられる
惧
(
おそ
)
れがあるので、少しずつ万吉が追い着きだして行くと、しまった! 一足違いに前へ行く多市の影へ、何か、不意にキラリッと青光りの一
閃
(
せん
)
! 横から飛びかかって低く流れた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まさに、消えなんとする灯は、滅前、
鮮
(
あき
)
らかな一
閃
(
せん
)
の光りを放つ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、舞台わきの細殿を覗き、そこの
簾
(
すだれ
)
を一
閃
(
せん
)
にバラと斬り落した。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
閃
(
せん
)
の赤電が、物を目がけて、雷撃してゆくような勢いだった。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閃
漢検準1級
部首:⾨
10画
“閃”を含む語句
閃々
閃光
一閃
閃電
電閃
閃過
閃閃
閃耀
角閃花崗岩
大閃光
閃刃
閃付
閃影
閃火
紫電一閃
閃刀
閃爍
閃尾
閃弧
閃条
...