“きら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
45.8%
綺羅17.0%
11.8%
6.0%
3.8%
吉良3.8%
3.6%
2.2%
0.7%
0.7%
(他:21)4.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は自分の意のままに父のきらいな外国語を修め始めようとした少年の日から、既にもう父の心にそむき去ったものである。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何よりも彼等は、浪漫派の上品な甘ったるさと、愛や人道やに惑溺わくできしている倫理主義を、根本的にきらったのである。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
またいつも好んで頭巾ずきんをかぶり、新春の装い綺羅きらやかな群臣のなかにあって、にこにこと無口に衆を見まわしている。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蘭麝らんじやの薫を漂はせた綺羅きらの袂をもてあそびながら、嫋々たよたよとしたさまで、さも恨めしげに歎いたは、
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
窓に微かな閃光がきらめいて、鎧扉よろいどの輪廓が明瞭に浮び上ると、遠く地動のような雷鳴が、おどろと這い寄って来る。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
異様に白く、或は金焔色に鱗片がきらめき、厚手に装飾的な感じがひろ子に支那の瑪瑙めのうぎょくの造花を連想させた。
高台寺 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
みどりきらめくきり半分はんぶんと、蒼々さう/\無際限むさいげん大空おほぞらえる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
賭博場を取巻く角や菱形に区切られた花園は夜露に濡れ、窓から射す燈に照らされ、ゴムを塗った造花の様にきらついて居る。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
その代りにまた、失恋した人、きらわれた男ときくと、その人を見下げないと、自分の沽券こけんにさわるように見もしかねない。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
拾った猫で、よくれているのがいたが、泡鳴がきらいだというので、近所へあずけてまで行くことにした。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
鍛冶橋かじばし内の吉良きらの邸で、不機嫌な顔を据えた上野介の前に、扇箱が一つ、ちょこなんと置いてあった。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
我々が吉良きら殿を討取って以来、江戸中に何かと仇討あだうちじみた事が流行はやるそうでございます。
或日の大石内蔵助 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
なんだかその波のきらめきも色の調子も空気のこい影もすべて自分のおどりがちな心としっくり相合っているように感じられた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
硝子ガラスの中に彎曲わんきょくした一本の光が、線香煙花せんこうはなびのようにきらめいた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敵は髪を長く垂れた十五六の少年で、手にはきらめく洋刃ないふのようなものを振翳ふりかざしていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
倫敦、巴里、伯林、紐育、東京は狐兎のくつとなり、世は終に近づく時も、サハラの沃野よくやにふり上ぐる農の鍬は、夕日にきらめくであろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
大西瓜おおすいか真つ二つにぞきられける
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
お辰めを思いきらせましょう。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それが、万一医師にかゝつて隔離病舎に収容され、巡査が家毎に怒鳴つて歩くとなると、噂のひろがると共に疫が忽ち村中に流行して来る——と、実際村の人は思つてるので、疫其者よりも巡査の方がきらはれる。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分の生れた美作みまさかの山々にも、薬草採りの小屋はあるが、薬草はすべて湿気をきらう。こんな、鬱蒼うっそうと雑木の枝をかぶって、しかも滝しぶきの来るような所に、乾小屋ほしごやは持っていない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
眼は妙にきらついてゐて、鼻はとがツて、そしてひげしろがねのやうに光ツて、胸頭むなさきを飾ツてゐた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
しきり燥々いら/\して來た氣味きみで、奧の方を見て眼をきらつかせたが、それでもこらえて、體をなゝめに兩足をブラりえんの板に落してゐた。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それは狂気の合間合間に現われる、きらびやかな夢幻オーロラのようなものだった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
特異体質——。論争のきらびやかな火華にばかり魅せられていて、その蔭に、こうした陰惨な色の燧石ひうちいしがあろうなどとは、事実夢にも思い及ばぬことだった熊城は神経的にてのひらの汗を拭きながら、
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
さむざむときらふアスファルトのむかふに、明るい賑やかな一角がぽつんと盛り上ってゐて、ともかく、そこには憩へる場所がありさうだった。
秋旻 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
て聴けば寒夜かんや夜霜よじもきらふなりあはれなるかも前のたかむら
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いずれ唐物からものであろうが、師直すら知らないような綺麗きらな織物の袖なし羽織を、桔梗ききょうぼかしの白綾の上へ、すずやかに羽織っていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万八、河長、梅川、亀清、柳屋、柏屋、青柏、大中村と、庇を連ねた酒楼おちゃやでも、大川筋へ張り出した桟敷さじきへ、柳橋芸者に綺麗きらを飾らせ、空の一発千両と豪華のほどを競い、争っている。
円朝花火 (新字新仮名) / 正岡容(著)
師走の月は世間一躰いつたい物せわしき中を、こと更に選らみて綾羅きらをかざり、一昨日おととひ出そろひしと聞くそれの芝居、狂言も折から面白き新物しんもの
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
師走の月は世間一躰物せわしき中を、こと更にらみて綾羅きらをかざり、一昨日出そろひしと聞く某の芝居、狂言も折から面白き新物の、これを見のがしてはと娘共の騷ぐに、見物は十五日、珍らしく家内中うちゞうとの觸れに成けり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
にはかに空がはっきり開け星がいっぱい耀きらめき出した。たゞその空のところどころ中風にでもかかったらしく変によどんで暗いのは幾片か雲が浮んでゐるのにちがひない。
柳沢 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
島抜け法印の、どんぐり目は、いよいよギラギラと、耀きらめいて来た。これまで押し伏せに押し伏せていた欲望が、一度、ムクムクと頭をもたげた以上、それを、もうどうすることも出来ない。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そはともあれ今日写楽の似顔絵を見るに雲母きらは人物背後の装飾として最も面白く感ぜらる。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
当時歌麿の美人画にも肖像画の地色に銀色の雲母きらを敷きたるもの多し。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ここに天皇りたまはく、「その兄をきらひたまへども、なほその后を愛しとおもふにえ忍へず」とのりたまひて、后を得むとおもふ心ましき。
が、はらして浮脂きらうへにぶくりとく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
莞爾につこりして、草鞋わらぢさき向直むきなほつた。けむり余波なごりえて、浮脂きら紅蓮ぐれんかぬ、みづ其方そなたながめながら、
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくて聴水は、黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく、「明日よりは天下晴れて、里へも野へも出らるるぞ。のう、嬉れしやよろこばしや」ト。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
是公の家の屋根から突出つきだした細長い塔が、瑠璃色るりいろの大空の一部分を黒く染抜いて、大連の初秋はつあきが、内地では見る事のできない深い色の奥に、数えるほどの星をきらつかせていた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)