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向直
読み方 | 割合 |
むきなお | 48.1% |
むきなほ | 44.4% |
むきなを | 3.7% |
むけなお | 3.7% |
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悚然として、
向直ると、
突当りが、樹の枝から
梢の葉へ
搦んだような石段で、上に、
茅ぶきの堂の屋根が、
目近な
一朶の雲かと見える。
夢から
覺めた
思ひで、
厚ぼつたかつた
顏を
撫でた、
其の
掌を
膝に
支いて、
氣も
判然と
向直つた
時、
彼は
今までの
想像の
餘りな
癡けさに
又獨りで
笑つた。
吾等の
前に
立つて、
武村兵曹と
私との
顏を
眺めたが、
左迄驚く
色がない、
目禮をもつて
傍の
倚子に
腰打ち
掛け、
鼻髯を
捻つて
靜かに
此方に
向直つた。
退かぬものはことごとく
敷き
殺すぞと云わぬばかりに人込の中を全速力で
駆り立てながら、高い
蹄の音と共に、馬の
鼻面を坂の方へ
一捻に
向直した。