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倚子
不図応接室の戸を
叩く音がした。急に二人は口を
噤んだ。
復た叩く。『お入り』と声をかけて、校長は
倚子を離れた。
大祝賀會を
催すとの
事、
其仕度に
帆木綿や、
檣の
古いのや、
倚子や、テーブルを
擔ぎ
出して、
大騷ぎの
最中。
『なあに、
柳川君には
片附けるやうな
荷物もないのさ。』と
濱島は
聲高く
笑つて『さあ。』とすゝめた
倚子によつて、
私も
此仲間入。
私は
何氣なく
倚子より
離れて、
檣樓に、
露砲塔に、
戰鬪樓に、
士官水兵の
活動目醒ましき
甲板を
眺めたが、
忽ち
電氣に
打たれし
如く
躍上つたよ。