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柳川君
『なあに、
柳川君には
片附けるやうな
荷物もないのさ。』と
濱島は
聲高く
笑つて『さあ。』とすゝめた
倚子によつて、
私も
此仲間入。
其風采も
餘程變つて
居るが
相變らず
洒々落々の
男『ヤァ、
柳川君か、これは
珍らしい、
珍らしい。』と
下にも
置かぬ
待遇、
私は
心から
憘しかつたよ。
柳川君、
私は
※る
日黄乳樹の
林の
邊で、
圖らずも
君等の
急難をお
助け
申した
時から、
左樣思つて
居つたのです。