きら)” の例文
そこでことわっておくが、ここには、黒死舘風景はないんだぜ。豪華な大画ほうや、きらびやかな鯨骨を張った下袴ファシング・スカートなどが、このあばら家のどこから現われて来るもんか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
けれども、明治十八年建設当初に、河鍋暁斎かわなべぎょうさい落合芳幾おちあいよしいくをしてこの館の点睛てんせいに竜宮の乙姫を描かせたほどのきらびやかな眩惑は、その後星の移るとともに薄らいでしまった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
論争のきらびやかな火華にばかり魅せられていて、その蔭に、こうした陰惨な色の燧石ひうちいしがあろうなどとは、事実夢にも思い及ばぬことだった熊城は神経的にてのひらの汗を拭きながら
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それは狂気の合間合間に現われる、きらびやかな夢幻オーロラのようなものだった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)