“きり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キリ
語句割合
錐27.2%
霧22.4%
桐21.3%
切13.6%
限6.1%
際限1.7%
伐1.1%
梧桐0.9%
斫0.6%
斬0.6%
梧0.6%
際0.6%
切断0.4%
奇利0.4%
鑽0.4%
二人限0.2%
噴霧0.2%
剖0.2%
十0.2%
截0.2%
最後0.2%
海霧0.2%
睽離0.2%
程度0.2%
絶間0.2%
肌理0.2%
鋼鑚0.2%
鑚0.2%
間断0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの毒棒は、押釦(ボタン)一つおすと、一回に十本の錐(きり)が、さきにおそろしい毒をつけたまま、相手の身体にぐさりとつき刺すのであった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まずあなたの特色として第一に私の眼に映ったのは、饒(ゆた)かな情緒を濃(こま)やかにしかも霧(きり)か霞(かすみ)のように、ぼうっと写し出す御手際(おてぎわ)です。
木下杢太郎『唐草表紙』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
入れていたもので、なかなか評判でありました。硝子器の壜(びん)は「ふらそこ」といって、桐(きり)の二重箱へなど入れて大切にした時代です
道翹(だうげう)が答(こた)へた。「豐干(ぶかん)と仰(おつし)やいますか。それは先頃(さきころ)まで、本堂(ほんだう)の背後(うしろ)の僧院(そうゐん)にをられましたが、行脚(あんぎや)に出(で)られた切(きり)、歸(かへ)られませぬ。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「ねえ! 青木さん! 美奈さんと、三人でなければ面白くありませんわねえ。二人限(きり)ぢや淋しいし張合がありませんわねえ!」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「何うかしてあげれば好いって、何うすることも出来やしない。際限(きり)がないんだもの。」と、お宮は、怒るように言ったが
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
殿様のごときは黒くなりて、「一度あることは二度というぞ。あの松の木今の間に伐(きり)倒せ。」と苛立(いらだ)ちたまう。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが、後に捨てられてあった長刀(なぎなた)をふと拾い上げてみると、長巻(ながまき)は青貝、拵(こしら)えは黄金(こがね)、吉良家の定紋、梧桐(きり)の紋どころが散らしてあるではないか。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又は人の父を喰殺(くひころ)してその父にばけて年を歴(へ)たるに、一日その子山に入りて桑(くは)を採(と)るに、狼(おほかみ)きたりて人の如く立其裾(そのすそ)を銜(くはへ)たるゆゑ斧(をの)にて狼の額(ひたひ)を斫(きり)、狼にげ去(さ)りしゆゑ家にかへりしに
斬(きり)むすぶ太刀の先こそ地獄なれ たんだ踏(ふみ)こめ先は極楽(ごくらく)
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
旅館の庭には桜のほかに青梧(あおぎり)と槐(えんじゅ)とを多く栽えてある。痩(や)せた梧(きり)の青い葉はまだ大きい手を拡(ひろ)げないが、古い槐の新しい葉は枝もたわわに伸びて、軽い風にも驚いたように顫(ふる)えている。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こういう蔭口には際(きり)のないものだが、右にあげた二つなどは尾鰭(おひれ)の付かない例にはいるだろう。夏が去り、秋が去り、冬が来て十一月の下旬、——島さんの家には珍しくも客があり、酒が始まった。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「だってこの切断(きり)は全くわたしの見落としですもの。」
二老人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「芋蔓は確かに奇利(きり)を博したよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
少焉(しばらく)あって、一しきり藻掻(もが)いて、体の下になった右手をやッと脱(はず)して、両の腕(かいな)で体を支えながら起上ろうとしてみたが、何がさて鑽(きり)で揉むような痛みが膝から胸、頭(かしら)へと貫くように衝上(つきあ)げて来て
二人限(きり)になると、何れも吻(ほつ)と息を吐いて、今し方お吉の腰掛けた床の間に膝をすれ/\に腰掛けた。かくて十分許りの間、田舍言葉で密々(こそ/\)話合つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それでも仲々階下(した)にさへ降(お)り澁(しぶ)つて、二人限(きり)になれば何やら密々(ひそ/\)話合つては、袂を口にあてて聲立てずに笑つてゐたが、夕方近くなつてから、お八重の發起で街路へ出て見た。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
隆吉はその中にあってじっとしていた。顔も渋めずにひたすら噴霧(きり)を吸い込むことにつとめていた。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
食塩水の噴霧(きり)がさっと注ぎかかると、隆吉は咳き入った。それを一生懸命に押えつけたらしく、蒼い頬にかすかな赤味がさした。その上へ水滴が一面にたまっていった。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
葦村はいまだ繁らず榛の木の青葉がくれに葭剖(きり)の鳴く
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その中に一万石譜代大名に近い一(ぴん)から槍一筋馬一頭二百石の十(きり)まであって、饗庭はどっちかといえば、まずきりに近いほうだから、この屋敷にしたところで五百坪(つぼ)はないくらい
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
静海、刀をおろし、陰茎の脇、ふぐりの右の方を五六寸も截(きり)割りたりとか。おのれにはただ冷水を注ぐかと思われぬ。この時、午(うま)の刻の鐘きこえけり。
玉取物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
最初(はな)からこの娘には嚇されたが、どうやら最後(きり)まで嚇されそうだ。——さすがの一式小一郎も、微苦笑せざるを得なかった。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
海霧(きり)の中から一艘の汽船がぼんやりと姿を現わして来ました。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
仮令(よし)その人と為(な)りはどう有ろうとも叔母は叔母、有恩(うおん)の人に相違ないから、尊尚親愛して水乳(すいにゅう)の如くシックリと和合したいとこそ願え、決して乖背(かいはい)し睽離(きり)したいとは願わないようなものの
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
見りゃア立派なお武家様方、悪ふざけかは知りませんが、悪ふざけにも程度(きり)がある、女を
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
暗碧な空の心——こほろぎまでが恐ろしいお岩稲荷の物かげからまるで小さな硝子玉でも磨り合はせるやうに絶間(きり)もなく感覚的な啜り泣きを続ける。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
母親そつくりの肌理(きり)のこまかい瓜実(うりざね)顔をして、少女のやうなぱつちりした眼をおどおどと伏眼にし、何かものを言ふときは女性の語尾を使つて、肩でしなを作りさへしたものだつた。
少年 (新字旧仮名) / 神西清(著)
半ば臀部は溶けかかりながら、苦心惨憺(さんたん)の末、ついに耳の中から金箍棒(きんそうぼう)を取出して鋼鑚(きり)に変え、金竜の角の上に孔(あな)を穿(うが)ち、身を芥子粒(けしつぶ)に変じてその孔(あな)に潜(ひそ)み、金竜に角を引抜かせたのである。
鶴嘴(つるはし)や鍬(くわ)や鑚(きり)などのあらゆる操作に著しく不便な地層の上に、パリーは立っている。パリーという驚くべき歴史的組織が積み重ねらるるその地質的組織ほど、穿ち難く貫き難いものはない。
未決監を出てからもう彼是一と月、その間、日となく夜となく緊張し切つた俺の神経はまるで螽斯(きりぎりす)のやうに間断(きり)もなく顫へ続けた。狂気と錯乱とがもう俺の目前に赤く笑つてゐる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)