“間断”のいろいろな読み方と例文
旧字:間斷
読み方割合
ひっきり27.8%
かんだん25.0%
しっきり11.1%
たえま8.3%
しきり5.6%
ひつきり5.6%
きり2.8%
しッきり2.8%
たゆみ2.8%
たれま2.8%
とぎ2.8%
ひま2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
男は間断ひっきりなしにしゃべったが、フェリシテは上の空で聞いていた。やがて男は黙りこむと紙入から百フラン紙幣さつを一枚とりだして
フェリシテ (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
江戸開城かいじょうの後、予は骸骨がいこつい、しばらく先生とたもとわかち、あと武州ぶしゅう府中ふちゅうの辺にけ居るに、先生は間断かんだんなく慰問いもんせられたり。
二葉亭の窮理の鉄槌はただに他人の思想や信仰を破壊するのみならず自分の思想や信仰や計画や目的までも間断しっきりなしに破壊していた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
丹頂は眠っていると見えてばさりとも音をたてないが、遠くの方からは、いろいろな動物のき声が間断たえまなく聞こえてくる。
動物園の一夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
電話は間断しきりなしにチリンチリンいうと、女は眼をけわしくして耳を傾ける。電報が投げ込まれると、男は飛びかかって封を切る。
一日一筆 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
夢を見る暇もない都会の烈しい戦争の中で、間断ひつきりなしの圧迫と刺戟を享けながら、切迫塞せつぱつまつた孤独の感を抱いてる時ほど、自分の存在の意識の強い事はありませんね。それア苦しいですよ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
未決監を出てからもう彼是一と月、その間、日となく夜となく緊張し切つた俺の神経はまるで螽斯きりぎりすのやうに間断きりもなく顫へ続けた。狂気と錯乱とがもう俺の目前に赤く笑つてゐる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふれれば益々痛むのだが、その痛さが齲歯むしばが痛むように間断しッきりなくキリキリとはらわたむしられるようで、耳鳴がする、頭が重い。
ちょうど文三の真向うに八字の浪を額に寄せ、いそがわしく眼をしばたたきながら間断たゆみもなく算盤をはじいていた年配五十前後の老人が、不図手をとどめて珠へ指ざしをしながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と少しも間断たれまなく取巻きますと、嬢様は恥かしいが又嬉しく、萩原新三郎を横目にじろ/\見ないふりをしながら見て居ります。
話が間断とぎれると、ザザーツといふ浪の音が、急に高くなる。楠野君は、二人のあらそひを聞くでもなく、聞かぬでもなく、横になツた儘で、紙莨を吹かし乍ら、浪の穂頭を見渡して居る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
よく物を言ふ眼が間断ひまなく働いて、ほどけばに余る程の髪は漆黒くろい。天賦うまれつきか職業柄か、時には二十八といふ齢に似合はぬ若々しい挙動そぶりも見せる。一つにはだ子を有たぬ為でもあらう。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)