間断かんだん)” の例文
旧字:間斷
江戸開城かいじょうの後、予は骸骨がいこつい、しばらく先生とたもとわかち、あと武州ぶしゅう府中ふちゅうの辺にけ居るに、先生は間断かんだんなく慰問いもんせられたり。
かくてこの「主義」はすでに五年の間間断かんだんなき論争を続けられてきたにかかわらず、今日なおその最も一般的なる定義をさえ与えられずにいるのみならず
令嬢は礼義上から云つても、梅子の間断かんだんなき質問に応じない訳に行かなかつた。けれども積極的に自分から梅子のこゝろうごかさうとつとめた形迹は殆んどなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
大磯あたりの海岸は、紫の浪が間断かんだんなく打ちよせて、みやこちりにまみれた頭脳あたまを洗濯するに役立ちます。
深夜の電話 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
七十 その上に強い電火が天の全面をば、間断かんだんなくかつ縦横無尽に光りわたる、これに接する者は直ちに電殺され電壊さるるはずであるが、もう殺される生物が残っていない。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
なに製造せいぞうするのか、間断かんだんなしきしむでゐる車輪しやりんひびきは、戸外こぐわいに立つひとみみろうせんばかりだ。工場こうば天井てんじよう八重やえわたした調革てうかくは、あみとおしてのたつ大蛇のはらのやうに見えた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
われわれの身辺に間断かんだんなく流れているさまざまの偶然を出来るだけ多くとらえること、いいかえると、偶然を偶然のままに放置しないで、片っぱしから必然に変えて行くことであります。
青年の思索のために (新字新仮名) / 下村湖人(著)
もつと間断かんだんなく死ぬる覚悟をしてゐて、恥辱を受けるやうな事はせぬ
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そしてこの昼夜間断かんだんのない苛責かしゃくからのがれたい。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)