“ひま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒマ
語句割合
33.1%
26.5%
20.1%
9.4%
閑暇5.6%
1.4%
時間0.7%
閑散0.7%
日増0.6%
隙間0.3%
余暇0.3%
0.3%
余裕0.1%
0.1%
休暇0.1%
小閑0.1%
披麻0.1%
0.1%
罅隙0.1%
肥馬0.1%
0.1%
間断0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あまりひまな晩に、または用事に、または仲間への御礼返しに……。だからおかみさんにとっても、彼女はごく忠実な抱えっ妓だった。
操守 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それだけにしばしの不埓ふらち容赦ようしゃされたいというのが、せめてもの彼の願いであった。そして、ひまさえあれば、足は柳島の方へ向った。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
第七 人間山はひまのときには、朕の労役者の手助をして、公園その他帝室用建物の外壁に大きな石を運搬するのを手伝わねばならぬ。
誠にさなり、彼は病客なるべきをと心釈こころとけては、はや目も遣らずなりけるひまに、男はゆあみ果てて、貸浴衣かしゆかた引絡ひきまとひつつ出で行きけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「あっしのことかネ。あっしは、逃げたりなんぞ、するものか。今夜は閑暇ひまになったもんだから、一つ市中へ出てみようと思うんで」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いや、そんなことは、伊織に考えているひまはない。彼はただ、ぎょっとして、ばばが自分をどうする気かと恐れていた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三時少し過ぎなれば、しまい汽車にはまだ時間ひまあり。一度ひとたび病院へ取って返して、病人本間の様子を見舞い、身支度して出直さんと本郷に帰りけるに、早警官等は引取りつ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取手の宿場街の裏通りにある茶屋旅籠ちゃやはたご安孫子屋あびこや店頭みせさきは、今が閑散ひま潮時外しおどきはずれである。それは秋の日の午後のこと。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
また安全な場所にしよう、焼いてはあいすまぬという共同の念慮が、日増ひましに強くなってきているということだけは、想像することができるのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
で、この隙間ひまに太夫に会ってと、小平太は腰まで上げたが、吉田忠左衛門が来て、何やら太夫と打合せをしていると聞いて、またその腰をおろしてしまった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
それどころか肝心かんじんのわがさいさえどうしたら綾成せるかいまだに分別がつかないんだ。この年になるまで学問をした御蔭おかげで、そんな技巧は覚える余暇ひまがなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なにとせんとかうてゝ、垣根かきねひまよりさしのぞけば、いましも雲足くもあしきれてあらたにらしいだつきひかりに、見合みあはしてたつたるひと何時いつ此所こゝへはて、いままでかくれてゞもしものか
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
思うほど、気はますます乱れて、浪子は身をるる余裕ひまもなきまで世のせまきを覚ゆるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
たれを恨み、たれを恋う、さる念は形をなす余裕ひまもなくて、ただ身をめぐる暗黒の恐ろしくいとわしく、早くこのうちをのがれんと思うのみ。死は実にただ一の活路なりけり。浪子は死をまちわびぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
八重「半治はん誠にほめえはりいよう、ほれじゃアまねえよ、ふァたい此家ほゝているに、ほめえがほんなほとをひてや親分ほやぶんまねえよ、小兼ほはねはんにひまになってへえれってえ、ほれじゃア可愛ははひほうだアへえ」
独逸では戦争から起る人口の減少を気遣つて、戦線に立つてゐる元気な壮丁さうていに、時々休暇ひまを呉れて郷里くにに帰らせ、婦人をんなと見れば無差別に子種を植付うゑつけようとしてゐる。
いそがしい父の小閑ひまを見てはひざをすりあわせるようにして座りこんでいた。いつも鉱山やまのことになると訥弁とつべん能弁のうべんになる——というより、対手あいてがどんなに困ろうが話をひっこませないのだ。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
たまた荷葉かよう披麻ひますものあり、波浪をあろうてもっず、交替去来、応接にいとまあらず、けだし譎詭けっき変幻中へんげんちゅう清秀せいしゅう深穏しんおんたいぶ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
後藤へはるならはるとあさ自分が出る前にいくらでも言ふひまがあるじやアないかと思ふと、銀之助は思はず
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
堅緻けんちなる火山岩は統ぶるものなくうちみだれたり、これとかれと互に合はむとして曾て合はず、満ちし潮のいつしかその罅隙ひまに溢れたるが、はげしき夏の日にあたためられ、ここに適度の温浴を供す。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
れつ先頭せんとう日章旗につしやうき揚々やう/\として肥馬ひままたが将軍しやうぐんたち、色蒼いろざざめつかてた兵士へいしむれ
我が人民の智力学芸に欠点あるも、よくこれをれてそのひまに切込むことなく、永く対立の交際をなして、これに甘んずる者か。余輩断じてそのしからざるを証す。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
よく物を言ふ眼が間断ひまなく働いて、ほどけばに余る程の髪は漆黒くろい。天賦うまれつきか職業柄か、時には二十八といふ齢に似合はぬ若々しい挙動そぶりも見せる。一つにはだ子を有たぬ為でもあらう。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)