“閑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひま56.4%
かん19.2%
しづ6.1%
しず5.8%
のど4.2%
しずか2.2%
しづか1.9%
のどか1.3%
いとま0.6%
さ0.3%
しん0.3%
すき0.3%
とじ0.3%
なら0.3%
ひっ0.3%
カン0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
旅行をする折にも手が硬(こは)ばると可(い)けないからといつて、ピアノを汽車のなかに担ぎ込んで、閑(ひま)さへあれば鍵盤(キイ)を打つてゐる人である。
一、病中閑(かん)なるを幸ひ、諸雑誌の小説を十五篇ばかり読む。滝井(たきゐ)君の「ゲテモノ」同君の作中にても一頭地(いつとうち)を抜ける出来栄(ば)えなり。
病牀雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
閑(しづ)かなるここらの里も、雛祭ちかづきぬらし。御形(ごぎやう)咲き蓬萠えたり。古りぬれど雛もかざれり。山もあり川もありけり。こもり啼く子ろも居るらし。
篁 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
緑草直ちに門戸に接するを見、樹林の間よりは青煙閑(しず)かに巻きて空にのぼるを見る、樵夫(しょうふ)の住む所、はた隠者の独座して炉に対するところか。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それは春の日のことで、霞める浦輪(うらわ)には、寄せる白波のざわざわという音ばかり、磯の小貝は花のように光っている閑(のど)かさだった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
通を曲って横町へ出て、なるべく、話の為好(しい)い閑(しずか)な場所を選んで行くうちに、何時か緒口(いとくち)が付いて、思うあたりへ談柄(だんぺい)が落ちた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
通(とほり)を曲(まが)つて横町へ出(で)て、成る可(べ)く、話(はなし)の為好(しい)い閑(しづか)な場所を撰んで行くうちに、何時(いつ)か緒口(いとくち)が付(つ)いて、思ふあたりへ談柄(だんぺい)が落ちた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
春日の閑(のどか)なる趣は、ありふれた小鳥の囀(さえずり)よりも、雞の鳴声よりも、かえってこの雉子の声において深められたかの感がある。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
「武蔵は、この辺の土地が、好きだった。それは自分の生れ故郷の景色と、この辺の景色がよく似ているからであった。閑(いとま)があると、岩殿山へ遊びに来て、幼い日のことを思い出していた」
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほど経て窻を閑(さ)す音(おと)。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
話柄が途切れて閑(しん)とすると、暑さが身に沁みて、かんかん日のあたる胴の間に、折り重なっていぎたなく寝そべった労働者の鼾が聞こえた。
かんかん虫 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
荻生さんが心配して忙しい郵便事務の閑(すき)をみて、わざわざ弥勒(みろく)まで出かけて行くと、清三はべつに変わったようなところもなく、いつも無性(ぶしょう)にしている髪もきれいに刈り込んで
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
宗吉はかくてまた明神の御手洗(みたらし)に、更に、氷に閑(とじ)らるる思いして、悚然(ぞっ)と寒気を感じたのである。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
コックスが肥後か肥前の王五十万石を領すといえるは忠広なる事疑いなくこの人勇武なるのみならず外人に接する礼に閑(なら)い世辞目なき才物たりしと見ゆ。
左枝の、支える側から流れてゆく、跫音(あしおと)のみが高く、この一座はあまりにも閑(ひっ)そりとしていた。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)