“緒口”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いとぐち84.3%
いとくち7.1%
イトグチ7.1%
ちょこ1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この緒口いとぐちに、お仙の話を匂わせてみようかと、治郎吉は、次のことばを喉まで出しかけたが、やっぱり、人がいては、まずい気がした。
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
通を曲って横町へ出て、なるべく、話の為好しいしずかな場所を選んで行くうちに、何時か緒口いとくちが付いて、思うあたりへ談柄だんぺいが落ちた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
神のシメさしたものとするのであるが、尚其ばかりではうつかり見外される虞れのある処から、特別の工夫が積まれてゐるので、此処にだしの話の緒口イトグチはついたのである。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
コウタケのことをこの辺では馬喰茸ばくろうたけといっているが、その名の通り見た眼には恐ろしい茸で、形は傘をお緒口ちょこにしたようなものだが、色が黒く、毛だらけで、いかにも馬喰らしい。
山の秋 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)