“のど”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ノド
語句割合
咽喉48.5%
38.4%
7.2%
長閑1.7%
1.4%
1.0%
0.4%
音声0.3%
咽頭0.2%
野堂0.2%
喉頭0.1%
0.1%
咽候0.1%
喉咽0.1%
喉嚨0.1%
声調0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうでなければ何を書いているだろう?……まだ後れて来るかも知れないとBは食物も咽喉のどに通らないで、戸口の方を見詰みつめていた。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
傷はのどへ一箇所、馬乗りになって突いたものでしょうが、よッぽど落着いた手際で総兵衛はたぶん声も立てずに死んだことでしょう。
「平気、平気。畜生め、一ひねりだ。おっちょこちょいの、此ののどを、こんな具合にしめつけると、ぴいと鳴るから奇妙なものさ。」
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
他日、近く旗を京都にのぼせ、諸州の群雄どもをしずめ、かみ御宸襟ごしんきんをやすめ奉った上には、心ゆくまで、長閑のどけき空へ鷹も心も放ちとうぞんずる
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なぜ白状しないか」と叫んで玄機は女ののどやくした。女はただ手足をもがいている。玄機が手を放して見ると、女は死んでいた。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
のどかな秋の日ざしのなかの、芒や萩の伏枝をみてわびしいおもいをたのしむような気持は、もう妹たちにはなくなっているのだ。
日本婦道記:風鈴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これは、君命を帯びて辺土の防備に行くのだが、その別を悲しむ歌である。これも彼等の真実の一面、また、「大君のにこそ死なめのどには死なじ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
どこからともなく蹣跚よろばい出てくるお艶は、毎日決まって近江屋の門近く立って、さて、天の成せる音声のどに習練の枯れを見せて、往きし昔日むかしの節珍しく声高々と唄い出でる。
しかし、今まで快く感じられてゐた沈默が急に僕には呼吸いき苦しくなり出す。ジヤズが僕の咽頭のどをしめる。僕はグラスをひつたくる。僕はそれを飮まうとする。
不器用な天使 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
大坂にてかれこれ食卓料理あまた弘りたれど野堂のど町の貴徳斎きとくさいほど久しくつゞきたるはなし
出三郎はかっと頭へ血がのぼり、喉頭のどへ固い玉のような物が詰まるのを感じた。足ががくがくし、眼はかすみでもかかったように、ぼうと視界が(ほんの短い瞬間ではあったが)くらくなった。
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
全く、関東の何処どこにもない情緒と温味のある自然であり、春ののどやかさと初秋の美しき閑寂さは東京の下谷したや根津ねづ裏で下宿するものにとっては、誘惑されるのも無理でない事なのだ。
それほど名誉が大切なら、なぜあのことを見られた当座に、飛かかって秀を殺してその手を返して咽候のどを切って、御自害をなさらなかった。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「頸筋のきずは、後ろから刺したんだ。いいか、ぼんのくぼは大変な急所だが、喉咽のどや胸と違ってあまり血が出ねえ、——ところで、少しばかりの血が、目隠しの手拭の下へ付いているのはどういうわけだ」
銀のかさは次第に大いになりて、金貨さへその間に輝けり。われは喉嚨のどの燃ゆるが如きを覺えたれば、葡萄酒一杯を買ひてこれにそゝぎつ。黄白の山はみる/\我前にそびえたり。
下品な唄を、高調子で繰返す稼ぎのせいか、またうまれつきの声調のどか、幅があって、そしてかすれた声が、気さくな中に、寂しさが含まれる、あわれも、情もこもって聞こえた。