“あが”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アガ
語句割合
42.3%
11.4%
5.9%
足掻5.4%
5.2%
3.3%
3.3%
2.8%
2.4%
上陸2.2%
(他:169)15.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
岡田はこう云い捨てたなり、とうとう自分の用事を聞かずに二階へあがって行ってしまった。自分もしばらくして風呂から出た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
急いでいるからであろう、若僧はすぐにその手拭で泥足をあらましに拭いて、提灯を持ったまま、ずんずんとあがり込んだ。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ゆえに英文学を論ずるものは、『失楽園』を批評するにあたり、ミルトンの神をけなし、ミルトンの悪魔をあがめぬものはない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「大名物」の「きわめ」をあがめて、他の無銘の雑器に冷やかなのは、真に「大名物」の美を知らないからだと云ってよい。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それは三吉が姉と一緒に東京で暮した頃の事実ことで、ところどころ拾って読んで行くうちに、少年時代の記憶が浮びあがった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
船が桑港サンフランシスコへつくと、石川氏はくだんの洋服姿で軍鶏しやものやうにぐつと気取つてあがつて往つた。
「重忠、重忠。——おかからでは手ぬるい。あれまで射手をすすめて、敵の足掻あがきせぬまで、射て射て、圧倒してしまえ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三千人と一ト口に言うが、大したものだ、要所要所に上飯台の連中を配置し、寸分も足掻あがきを効かせまいと行届いた手配だ。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
さるれえの脳髄とお勢とは何の関係も無さそうだが、この時突然お勢の事が、噴水のほとばしる如くに、胸を突いてあがる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それともいきほひに駆られ情に激して、水は静かなれども風之を狂はせば巨浪怒つてあがつて天をつに至つたのだらうか。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「釣れる段か、こんな晩にゃあうなぎが船の上を渡り越すというくらいな川じゃ。」と船頭は意気すこぶあがる。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天下の公道をわがもの顔に横領して、意気すこぶあがる如きふうあるは、われら平民の甚だ不快とする処である。
「貴方昨晩もあがらなかつたし少し召食らんとお體がだん/\弱る許りですよ」とお金は珍しく枕許についてゐて斯う言つた。
ねえさん、しみじみ嬉しいけれど、ほんとに三ちゃん、お前さん、おあがりならい、気の毒でならないもの。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
食堂で朝食を濟ませてから、又甲板へ出て見ると、もう雨はあがつてゐたが、まだ、煙のやうな雲が山々の峽を去來してゐる。
「寒くなった。……出ようじゃないか。——ああ西日が当ると思ったら、向うの蕃椒とうがらしか。慌てている。が雨はあがった。」
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたくしはそこで対岸たいがんのおしろ最後さいごあがるのをながめたのでございます。
私のはつしと打ち込んだ熊手が、はからず向ひ合つた人の熊手の長柄に喰ひ込んだ途端、きやアと驚きの叫び声があがつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
万吉は自分の落伍に落胆していた。ところが、ある夜、抜荷屋ぬきやの船から上陸あがって、四国屋の寮へしのんできた男がある。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれは明け方に鳴門の渦潮うずしおを見物する者と称して、土佐泊へ上陸あがったが、そこから忽然こつぜんと影をかくしていた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかるに某日あるひのこと、樵夫きこりが山稼ぎに出かけると、の虎ヶ窟の中から白い煙の細くあがるのを見た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
南条駅を過ぎる頃から、畑にも山にも寒そうな日の影すらも消えてしまって、ところどころにかの砂烟すなけむりが巻きあがっている。
春の修善寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
名刺を差出すとどうぞ暫くと、云い残して二階へあがって行くと入違いに快活な三十歳位の男が降りて来て磊落らいらく語調ちょうし
誘拐者 (新字新仮名) / 山下利三郎(著)
その夜はのままにして再び寝台へあがったが、の怖しい顔がまだ眼のさき彷彿ちらついて、とても寝られる筈がない
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
で法王がおあがりになる肉類はここから供給されますので、日々に法王だけの膳に供えるためにお用いになる羊が七疋ずつなんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「ほんとに、お前さんは臆病だよ」女房は笑うのをして真顔になり、「さ、御飯ごはんを早くおあがりよ」
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「だが親分、高が犬ころが逆上あがってるだけ、それにこの大暴風雨、悪いこたあ申しませんぜ、お止めなすっちゃいかがですい。」
「先にこっちで訊いたことを、今度は自分から訊いていやがる。はははは。この飛脚、よほどどうかしておるぞ。逆上あがッておる」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それより、もっと、ぐんぐんおあがりよ、楽しみは、ゆっくりあとにした方がたのしみだ。どうせあとで売物、壊しちゃあ駄目だ」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「さあ、さっぱりとお心持よく此盃これあがって、そしてお結局つもりになすったがようございましょう。」
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
甲「さア何時までべん/\と棄置くのだ、二階へ折助おりすけあがったり下りて来んが、さ、これを何う致すのだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甲「うん成程、気が付かんだったが、さきあがっていたか、至極どうも御尤ごもっともだからう致そうじゃアないか」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして、細目に開けた大戸の隙から手招きしている鼠鳴ねずみなきに呼び込まれ、そのままふらふらと登楼あがってしまった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だまって、うなずいた顔が、何だか不愍ふびんだったので、露八は、折箱おりと一緒に、登楼あがってしまった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
岩「それでは何か途中であが金米糖こんぺいとうでも上げましょう、じゃア明日あしたわしが板橋までお送り申しましょう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ずいぶん手軽にすみましたね。……けさは、なにをおあがりになったの?」
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
鳥屋の店先であをぶくれの若者が、パタ/\あがいてゐる鷄をつかんで首をおツぺしよるやうに引ンねぢツてゐることや
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
彼は其の惱を以て祖先の遺傅から來た熱病の一種と考へ、自ら意志を強くして其のバチルスを殲滅せんめつしようと勤めて而してあがいてゐた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
爾來そのとき尼院につらなれる廊道わたどのみちの前なる黒漆の格子あがりて、式の白衣を着たる一群の尼達現れ、高く天使の歌を歌ふ。
念の爲に下谷へ引返して、徳藏稻荷の氏子うぢこ總代——和泉屋といふ町内の酒屋の主人に逢つて訊いてみると、思ひも寄らぬ新事實があがりました。
向うももう参上あがりませんといい放った最後の言葉に対して、彼の前へ出て来る気のない事は知れていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
十兵衛は不束ふつつかに一礼して重げに口を開き、明日の朝参上あがろうとおもうておりました、といえばじろりとその顔下眼ににらみ、わざと泰然おちつきたる源太、おお
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わたしぁ桑摘むぬしきざまんせ、春蚕はるご上簇あがれば二人ふたり着る。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蚕の上簇あがりかけるころになると、町はにわかに活気を帯びてくる。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「お客来きやくらいの所へあがりまして、伯母さん、飛んだお邪魔致しましてネ」と梅子の気兼ねするに「ほんとにねエ」とお加女も相和す、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
是まで伺いませんでしたが、大分だいぶお悪い御様子だと承りましたから、一寸ちょっと御病間で、お顔だけでも拝見して帰りたいと存じましてあがりました、これは誠に詰らないものではございますが、旦那様はおすきで入らっしゃいますから、少々ばかりですが
小禽来てひと日楽しむ豆柿はあが楽しみてむにまかせぬ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
れまさむあが御子みこ益荒男ますらをならば、
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
しかもその優美さ絢爛さにも増して、数百人の侍女や奴隷たちから姫君とあがめられているロゼリイスの美しさ、気高さというものは!
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「べれんの国にお生まれなされたおん若君様、今はいずこにましますか? おんあがめ給え。」
おぎん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
土地の習慣ならはしから『奥様』と尊敬あがめられて居る有髪うはつの尼は、昔者として多少教育もあり、都会みやこの生活も万更まんざら知らないでも無いらしい口の利き振であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
尊敬あがめてなので御座いましょうけれどね
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「遅くあがって御気毒様、」と来た少女はかろく言った、奥にむかって。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
実は何でございます。今回私共が×××省御主催の展覧会に出品いたして居りまする真珠塔につきまして、誠に不思議な事が起りましたので、早速警視庁へ御相談にあがりました所、あちらではそう云う事は却って貴君あなたに御願い申すがよかろうと云う事で、はなはだ御迷惑ながら御依頼に上った次第でございます。
真珠塔の秘密 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
自殺者の眼のやうに、あがつてござるお月樣、
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
どのうをもみんなあがつてしまふ。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
へえなんだかうも滅茶めちやでげすな……おゝ/\大層たいさう絵双紙ゑざうしあがつてゐますな。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「此の礁が一日も早くれまして、此の荒海を往来する諸人もろびとをお助けくださいますようにお願いいたします。こうして犠牲いけにえあがりました私の生命いのちは、速刻お召しくださいましてもいとうところでございません」
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
——しからざる時は、諸君は取返しのつかぬことになる、私が一時間ばかり前からにッちもさッちも足悶あがきがとれなくなってしまったように——。
庸三は憂鬱ゆううつになったが、こういう場合一つ掘り下げはじめると、際限なく下へ下へと掘り下げてしまって、どうにも足悶あがきのないのが、彼の性癖であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)